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「言葉の意味はよくわからんが」

試合後のコメントもプロレスの楽しみのひとつです。

大受けしたりジワったりスベッたりいろいろあります。私がいちばん好きなのは新日本プロレス・小島聡選手の↓。

「1足す1は2じゃないぞ。俺たちは1足す1で200だ。十倍だぞ十倍」

「優れたタッグチームは1足す1が20にも30にもなる」というのがプロレス界のセオリー。当時、彼は天山広吉選手とIWGPタッグ王座を保持しており、挑戦者チームの佐々木健介&越中詩郎組が急造タッグであることを揶揄したわけです。

初めてこれを「週刊プロレス」で読んだときは「王者の自信!」としか思わなかったのですが、よくよく見ると算数が。。。

先日ネット記事で「涙がチョチョ切れる」という一文に出会いました。「涙が溢れる」という意味の俗語です。途端にある記憶が蘇りました。中学、高校と卓球部に所属していたのですが、試合のとき、ある先輩が下回転のサービスで点を獲って「ナイス、チョチョ切れ!」と自信満々に叫んだのです。

「よく切れる下回転」と「あまり切れていない下回転」のサーブを同じフォームで繰り出すのは卓球の基本戦術です。下回転のレシーブには突っつきが必要。最初のサーブが切れてなくて「こんなものか」と油断すると、次に同じフォームの「よく切れる下回転」が来た時に突っつきが甘くなり、ネットにかけてしまうのです。

つまりこの文脈における「チョチョ切れ」は、相手のミスを誘う「超超切れている」サーブという意味。ならば「涙のチョチョ切れ」はどういう状態を指すのか? 

ひとつ考えられるのは、涙が止め処なく眼球から溢れ出す状況を、河川の堤防が切れて決壊する様になぞらえた、ということ。叩き台にしようと思ったのですが案外正解かも。

「言葉の意味はよくわからんが、とにかくすごい自信だ」というのは、かの名作漫画「キン肉マン」の作中セリフ。でも考えてみたら「すごい」と伝わった時点で目的を果たしています。言葉の意味も大事だけど、自信を持って訴えることでより伝わる。プロレスから学んだささやかな教えでした。

PS・小島選手、いまさらですが「いっちゃうぞバカヤロー!」ってどういう意味ですか? 


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