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「痛み」をわかる人間でありたい~9.12代々木「エル・デスペラード vs 葛西純」の煽りコラム~

いよいよ今日ですね。PPVを買いました。

「血が出るから嫌。怖い」は、昔から「プロレスが好き」に対して高確率で発生するカウンターのひとつです。

だからなのか、新日本プロレスやWWEといったメジャー団体では、流血戦の頻度が昔に比べてかなり下がりました。新規ファンが安心して会場へ足を運べるように、という配慮なのでしょう。

一方で、血みどろの死闘が「ショーなんでしょ?」「痛くないようにやってるんだよね?」みたいな声への反論を担っている部分もあります。「これが痛くないように見えるの?」と。

ある意味、デスマッチはマニア向けの「コアなプロレス」であると同時に、これ以上ないほどに一見さん向けの「わかりやすいプロレス」なのかもしれません。

私が初めて見たデスマッチは、学生の頃にレンタルビデオ屋で借りたFMWの試合。91年9月に川崎球場でおこなわれた大仁田厚 vs ターザン後藤の「ノーロープ有刺鉄線金網電流爆破デスマッチ」です。

途中、顔を何度しかめたかわかりません。興奮しながらもどこか切ない。子ども心にも「何でここまでしなきゃいけないんだ?」と。

この前年に週刊プロレスが彼らのデスマッチを表紙にして「わかったから、もうやめてくれ」というキャッチを付けています。まさにその心境でした。

我々はプロスポーツや芸能の世界で生きる人に対してお金を払い、代わりに彼らをダシにして(とあえて書きます)無責任に騒ぎ、楽しむことを許されています。「大衆娯楽」とはそういうもの。でもだからこそ「彼らも同じ人間」「俺たちが感じるように痛くてきついはず」「なのにここまでできるなんてすごい」という敬意を抱ける人間でいたいのです。

デスマッチを見れば他人の痛みがわかるようになる。そんな簡単な話じゃないのは重々承知しています。それでも、やっぱりもっと多くの人に見てほしい。

最後にひと言。ふたりとも生きて帰ってきてください!!

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