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【本とわたし】 7月の読書記録

書物の新しいページを1ページ、1ページ読むごとに、私はより豊かに、より強く、より高くなっていく。

チェーホフ(ロシアの劇作家、小説家)


ブックダムのミッション(世の中に与える価値)
「本」を通してプラスのエネルギーを循環させ続ける

ここで言う「本」というのは、自社に関わる本だけではありません。本には様々な可能性が秘められています。
だからこそ、私が選んで読んだ本のなかで、思ったこと・感じたこと・考えたことをお伝えして、本を手に取るきっかけを、読んでみようかなという気持ちを、これを読んでいるあなたへ与えることが出来たら嬉しく思います。

それでは、7月に読んだ本の記録です。
どうぞお付き合いください。




▼つくることばいきることば 永井一正


永井一正さんをご存知でしょうか。ご存知でない!とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが・・・きっと、永井さんのデザインされたロゴ、ポスターデザインなどを見たことがあると思います。しかも毎日目にしているなんて人もいるかもしれません。永井さんは、日本を代表するグラフィックデザイナーです。

永井さんの“銅版画作品”と“生きた言葉”を集めた本。その作品はじっくりと見入ってしまうほど・・・ほんとうに美しいです。
添えられている、命の言葉もとても良くて。おすすめです。

人の痛みを忘れないことも
ひとつの想像力だと思う

いったん立ち止まって
すべてを考え直す時期にきている。

自分に対してどこまで
正直に生きられるかということ。
正直さが自分の内面を
輝かせてくれるのだと思う。

 



▼それでも食べて生きてゆく東京の台所 大平一枝

何も失っていない人などいない。
みな何かを喪失し、それでも立ち上がり
今日もごはんをつくっている。

22人の喪失と再生の物語。
大きな喪失を経て、再び自分の足で歩き出した人の言葉は、胸の深いところに届いてゆく。

このとき、まだ読了していなかったけど、想い溢れて一気に書き綴った記事。多くの人に目に留めていただき、また読んでいただきました。ありがとうございました。

素敵なインスタには写らない冷蔵庫の奥の味噌や、吊り戸棚上段の使わなくなった弁当箱、手焼きのペアの湯呑、使いかけの乾物、素焼きの塩壺など、思いがけないものが我先にと私に語りかけてくる。

大平さんの観察眼を通して見つめる、それぞれの物語。それは読み手へ“ひとつの希望”を与えてくれる。ピンと来た方はぜひ!



▼きれいな色とことば おーなり由子

色とりどりの気持ちや、思い出や匂い。生まれてきてこの世界に、色というものがあって良かったなぁ、と思う。

7月、とある悲しいニュースに心苦しくなっていて、他にもいろんなことが小さく積もっていった・・・。心が疲れているときに、そこから距離をおきたくて、無性に本を読みたくなる。

今はこの本でしょ!というタイミングでhontoアプリの「再入荷のお知らせ」届く。おーなり由子さんの言葉が沁みたし、イラストもほんとうに素敵!

泣きそうな気持ちを、まぶたの裏で止める。どんどんと心の底に落としていって沈めて、たがやす。
泣きそうな。わけのわからない気持ちを、わからないまま受け止めて。受け止める「いれもの」を、自分のからだの中に持つために。たがやす。

たがやす・・・
たがやす・・・
本を読むのも、泣いているのも、
耕すためだったのかも。


▼星の王子さま サン=テグジュペリ

そうして思う。二度ともう会うことができなくても、王子さまの「笑う星々」のように、空を見て、星を見て、その人の笑い声や笑顔も思い出すことができるなら、そのとき人は、どれほど心を慰められ、生きていく力を与えられることだろう、と。生者は死者によって生かされ、死者は生者によって生きつづける、ふとそんな言葉を思い出す。生は死と、死は生と、ひそやかにつながっている。

あとがき

そう、繋がっているって、私もそう思う。

大変有名は本だけれど、
まだ読んだことないって人いたら、ぜひ。


▼キッチン 吉本ばなな

なぜ、人はこんなにも選べないのか。
虫ケラのように負けまくっても、ごはんを作って食べて眠る。
愛する人はみんな死んでゆく。それでも生きてゆかなくてはいけない。

私なりの死生観を掴み取りたい。だからこそ、物語の受け止め方が、昔とは大きく変わっている。ずっとずっと深く入ってくる。ばななさんが表現する言葉が、文章があまりにも素敵でうっとりする。

本当にいい思い出はいつまでも生きて光る。
時間がたつごとに切なく息づく。
いくつもの昼と夜、私たちは共に食事をした。

川音が近づき、空が刻々と変化してゆく。
青く透ける空を通して、美しく晴れた一日がやってくる。


▼地上に星座をつくる 石川直樹

クマがいないか見てみる目的で顔をだしたのだが、頭上に広がる夜空に目を奪われた。
星々の光が濃く、空全体が発光しているかのように瞬いている。
この空を、僕は今一人で見ている。
この空の下、一人でいる。それがただ嬉しかった。

旅を続けるのは、自分の身体で世界を知りたいから。いまそこにだけ輝く一瞬を追い求め、歩いて、撮って、繋げた7年間の軌跡。

写真家であり冒険家である石川直樹さんのエッセイ。

毎晩わたしも石川さんと旅に出た。その景色を頭のなかで想像した。
その世界に浸った。そのときだけは、仕事も家庭のことも忘れている。
私は星空を見るのが好きだから、素晴らしい夜空を見上げてる石川さんを想像して、私も目と心を輝かせた。

抵抗し、拒絶し、防御するのではなく、受け入れ、溶け込み、包み込んでいく。そうした流れるようなしなやかな姿勢こそ、あらゆる状況下を切り抜ける最大の武器になり得ると信じている。


今日もありがとうございました!
夏らしく暑い日々ですね。
8月も読書を楽しみましょう!

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