【ショートショート】死に顔
情け知らずな人の口から、わたしは聞いた、死の知らせを。そしてわたしも、情け知らずな顔をして、耳を澄ました。
エル氏はちょうど葬儀に参列していた。外は雨が降っていた。
目の前では、故人の母親らしき人物がしきりにハンカチを目頭に当ててうつむいていた。気の毒だな、とエル氏は思った。二言三言、お悔やみの言葉を述べたりする。
「どうもご丁寧にありがとうございます。あの子も喜んでくれていると思います。」
彼女はエル氏の顔も見ずに去って行った。雨がぽつぽつ、と薄くなってきた頭皮に当