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今日の戯言

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ふと思いをよぎることを、メモのように気楽に書いています。
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#鏡

ちゃありい

ちゃありい

ちゃありい
茹でた卵をお前は食べた
揺れる白身が殻の中から現れただろう
その中にはまん丸の黄色い球体
一羽の鶏を食べたのは
ちゃありい、お前だ
ほら
冷蔵庫の中で十羽の鶏が出番を待っている。
祝祭の前は卵も産みの親も大忙しだ
インフルエンザにかかって命を落とすなかれ

ちゃありい
お前は、ただ鶏を食らう
お前は謙虚を美徳とし
貧しくも心清らかに
美の求道者であろうとしたのか
清貧とアヴァンギャルド

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ステートメント草稿

ステートメント草稿

「置き去りにされた鏡」

 今朝、鏡の前に立っていた。
「幕間」と「鏡」この二つのタイトルの間を行ったり来たりの日々が続き、私はほうっと息を吐く。
鏡の表面は少し曇り、寝ぼけた老女の顔が映っている。その背後には緑の引き出しと、描きかけの絵に洗濯物。
手にしたスマートフォンで反転した自分を撮影する。

 インスタレーションの作品から「picture」にスピンオフしてしばらく経つ。私は物語や記憶の

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「鏡に息を」

「鏡に息を」

「幕間」と「鏡」この二つの間で制作がとどこっている。

「幕間」は一昨年前から昨年にかけて、”picture”つまり私にとっての制作媒体である絵、写真、動画、それらを全て指し示す言葉の中に現れた空間だった。インスタレーションの作品からスピンオフしてしばらく経つ。私は物語や記憶の発生装置として、インスタレーションの構造を作っていたから、 記憶の瘡蓋を剥がし続け、物語=ナラティブの闘争が重苦しくのしか

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「制作メモー置き去りの鏡」

「制作メモー置き去りの鏡」

ちゃありい

茹でた卵をお前は食べた

揺れる白身が殻の中から現れただろう

その中にはまん丸の黄色い球体

一羽の鶏を食べたのは

ちゃありい、お前だ

ほら

冷蔵庫の中で十羽の鶏が出番を待っている。

クリスマスの前は卵も産みの親も大忙しだ

インフルエンザにかかって命を落とすなかれ、ちゃありい

お前は、ただ鶏を食らう

お前は謙虚を美徳とし

貧しくも心清らかに

美の求道者であろうとし

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 ”mirror(鏡)-mirage(蜃気楼)” その二

 ”mirror(鏡)-mirage(蜃気楼)” その二

「鏡を貸してくれ。もし息で表が曇るなら,それなら,これは生きているのだ」
 狂乱に陥った悲惨なリヤ王が最後に吐くこの一節は、作品の中で「鏡」をつくる時に、私の背後から役割りを与えてきました。

 先日「鏡に絵を見せたい」と私が言ったときは、「訳ががわからない」といった雰囲気が漂っていましたね。皆さんがポカンとされていたような感触がありました。違っていますでしょうか。

 鏡に絵を見せることは、リ

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mirror-mirage

mirror-mirage

覗くなかれ

カラスは彼の国では魔の手下とされていよう
お前にはカラスが見えるか
それとも鳩が見えるか

覗くなかれ

お前の眼球のレンズはまだ健在か
レンズのピントは合っているか
被写界深度は深くても浅い

おまえの眼球は身体だ

記憶の箱の中に入れたレンズは
日焼けして色をすっかり失っているぞ

鏡に向かうな

覗こうとするな

お前の身体はそこにはなく
自分を慰める
照れ笑いの

微笑み

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