#歴史
月の砂漠のかぐや姫 第29話
「あ、ああ」
予想もしなかったほどの羽の勢いに少し気圧されながら、有隣は答えました。
「竹姫は、次の日にはもう目を覚まされていたよ。どこにも怪我はされていないし、羽が心配することはないよ」
そうです、大伴が羽と共にバダインジャラン砂漠から連れ帰ってきた際には、竹姫はぐったりとして意識がない状態だったのですが、その次の朝には、無事に目を覚ましていたのでした。
そのため、最初は羽のことを酷
月の砂漠のかぐや姫 第28話
「お願いです、輝夜は、輝夜だけは、お願いです!」
そう大きく叫んだと同時に、羽は目を開きました。いったいどのような夢を見ていたのでしょうか。目が覚めたばかりだというのに、羽は酷い疲れを感じていました。意識がまだはっきりとしないまま、羽はゆっくりと上半身を起こして辺りを見回しました。
最初は自分がどこにいるのか、羽は全く分かりませんでした。頭を振って記憶を呼び覚まそうとしますが、もどかしいほど
月の砂漠のかぐや姫 第27話
見当をつけた方へ向かって砂漠を進む大伴ですが、こちらの方にもハブブの影響があったのでしょう、地形が全く見覚えのない様子に変容していました。二人が砂丘の影にでもいたら、気が付かずに通り過ぎてしまうかもしれません。
大伴は一度駱駝の足を止めて、慎重に目を凝らして辺りの様子を窺いました。その時、ある異様なものに気が付いたのでした。
「なんだ、あれは。砂漠に壁、だと」
それは、明らかに自然の法則