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本当の人脈【新生湯@旗の台駅/荏原町駅】(1/2)

 人脈は重要だ。広告クリエイティブ業界で名が知られている株式会社GOの三浦崇宏さんは、新R25のインタビューで「人脈なんて言葉を使ってるやつはクソだよね。」と語っているけれど、それは人脈自体を否定しているわけではなく、「人脈という言葉の意味を理解していない人が多い」ということを伝えたいのだ。
 これについて、僕も最近似たようなことを考えていた。人脈とはただの結果でしかないことを悟ったのである。というのも、たまたまプライベートで親交のある知人から新しく仕事の相談を受けている時に、「僕は今まで自分から仕事を探したことが無くて、待っていると友人や知人から仕事の依頼や紹介の連絡が来るんですよね」と言ったことがきっかけで、僕自身は人脈を作ろうとしていなかったにも関わらず、結果的に人脈が構築されていたことに気付いたためだ。

 あれは2020年11月5日(木)のことだった。その日も例によって友人から依頼された仕事を自宅で済ませた僕は、デスクワークによる疲労と肩こりを解消すべく、銭湯に行くことを決めたのだった。自宅からのアクセスが悪くなく、遅い時間帯まで営業されていて、もちろんサウナがあり、かつ身体の疲れをほぐしてくれそうな銭湯はあるだろうか。そんなことを考えながらGoogleで検索を始めると、ある銭湯が目に留まった。

ーーここに行くしかなさそうだな。

 僕は早々に荷物をまとめて電車に乗り込んだ。旗の台駅に到着したのは22時を少し過ぎた頃。このエリアの土地勘は全く無く、周りに見える全ての景色が新鮮だった。商店街と住宅街が混在しているような、ごちゃっとした街並みが趣深い。その景観にさまざまな思いを巡らせながら歩いていると、駅から5分も経たずに今日の目的地に到着した。

「はじめまして、新生湯さん」

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 そう、今回訪れたのはここ、新生湯である。新生湯は全国初の健康増進型銭湯として、公式サイトにも以下のように記載がある。

東京都が「銭湯(公衆浴場)を町の健康増進拠点に活用していく」という事業の第1号店となりました。
(新生湯公式サイト:http://www.shinseiyu.jp/ )

 そのような銭湯だからか、店内マップを見る限り、他の銭湯とは明らかに一味違った個性が光っていた。

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(新生湯公式サイト:http://www.shinseiyu.jp/guide.html )

 新生湯では週替わりで男女のお風呂場が入れ替わるらしく、僕が伺った日は「太陽の湯」だった。この「おもしろ発想・達人銭湯まっぷ」を見ると、お風呂の種類が豊富であることはわかったのだけれど、特に「洞くつ風呂」や「流水歩行プール」などに興味をそそられた。

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 僕は暖簾をくぐり、さっそく中に入って「37(サウナ)」の下駄箱に靴を預けると、すぐ脇にある券売機で入浴料の470円とサウナ利用料の230円、合わせて700円のチケットを購入した。良心的な価格設定である。
 それを受付に渡すと、バスタオルとサウナ利用を証明するリストバンドを渡された。ちなみに、このバスタオルはサウナマットとして利用するためのものだ。

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(品川区公衆浴場商業協同組合: https://shinagawa1010.jp/list/shinseiyu/ )

 そのまま脱衣所に進むと、年季の入った、味のある空間が広がっていた。良い意味で銭湯らしい趣がある。そしてロッカーに荷物をしまい、僕はいよいよ浴室へと足を踏み入れた。

「なかなか良さげな雰囲気じゃないですか!」

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(品川区公衆浴場商業協同組合 https://shinagawa1010.jp/list/shinseiyu/ )

 幸いなことに、混雑している様子は見られない。僕はまず体を清め、メインのお風呂に浸かって体を温め始めたのだけれど、ここに併設されている「ヒップアップエステ風呂」がどうしても気になったので試してみたところ、今までに伺ったどの温浴施設でも体験したことのない独特な快感が得られたのだった。そこはお湯に浸かりながら中腰の状態で座ることができるようになっていたのだが、ボタンを押すと強力なジェットが僕のかわいいお尻に直撃したのである。大量の空気砲によって僕のお尻は揉みほぐされ、いろんな意味で気持ちがよくなった。

 次に僕が向かったのは「流水歩行プール」だ。少し緊張しながらも、ゆっくりと階段を降りてプールに浸かってみた。

「なんだこれはwww」

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(東京銭湯マップ: https://www.1010.or.jp/map/item/item-cnt-429 )

 これは腰のあたりまで水位が保たれた楕円形の温水プールなのだが、どうやらこの中を時計回りに歩かなければならないようだ。ただ、このプールの注目すべきポイントはそこではない。なんと、そこに設置されたポンプのボタンを押すことによって反時計回りの水流が生み出され、その抵抗を受けながら温水の中を歩くことができるようになっていたのである。温水の浮力によって体の負担が減らされつつ、楽しみながら体を動かすことができるなんて、まさに全国初の「健康増進型銭湯」の名に恥じない設備である。これが銭湯の中にあるだなんて信じられない。

 そこで2周ほど軽めの運動をした後に露天スペースへと移動したのだが、ここには”ととのい椅子”が3脚並んでいて、そのそばには露天風呂があったのだけれど、そのさらに奥には例の「洞くつ風呂」が繋がっていた。僕はそのお湯に誘われるがままに、洞窟の奥へと進むことにした。

「なにここ!! すごいな!!!www」

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(東京銭湯マップ: https://www.1010.or.jp/map/item/item-cnt-429 )

 洞くつ風呂は、本当に洞窟の中にいるような感覚で入浴ができる個性的なお風呂だった。ただでさえ僕にとっては銭湯自体が非日常的な場所であるにも関わらず、個性が強すぎるお風呂を味わったことで、さらに僕の気分は高揚していた。

「では、行きますか」

 その独特な空間をしばらく楽しませていただいてから、いよいよサウナに向かうことにした。サウナ室のドア付近にはフックがあり、あらかじめここに掛けておいたバスタオルを手に取って、僕はゆっくりと中に入っていった。

「銭湯に相応しいサウナだな〜」

 サウナ室の中は少し薄暗く、二段構成で物理的には8人程度が座れるほどの広さがある。銭湯サウナによくある、いわゆる「コンフォートサウナ」と呼ばれる王道タイプで、岩塩ブロックに囲まれたガス遠赤外線ヒーターが90℃程度の温度を保ってくれていた。
 そこで空いている上段に腰をかけて、テレビの音に耳を傾けながらじっくりと10分ほど蒸されていると、全身からは大量の汗が流れ出して、呼吸は荒くなり、心臓の鼓動も激しくなってきた。

「そろそろ出よう……」

 僕は立ち上がり、サウナ室を出てすぐ脇にあった水風呂に、汗を流してから肩まで沈み込んだ。

「うおおおぉぉぉおおお!!! 気持ち良い!!」

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(※参照:新生湯インドアビュー)

 さすが、天然の地下水を使用しているだけあって肌あたりが優しく、刺激が少ないので心地いい。水温は22℃。そこで火照った体を30秒ほど冷やした後に僕が向かったのは ”ととのい椅子” ではなく高濃度炭酸泉だ。こちらは38℃の不感温。交感神経が優位になっている僕の体を優しく包み込んでくれる気持ちよさ。宙に浮いているような、この不思議な感覚がたまらない。
 それから頭がぼーっとしかけてきたタイミングで立ち上がり、露天スペースの ”ととのい椅子” に腰をかけて大きく深呼吸をすると、全身を冬の冷気に包まれた僕の思考は徐々に停止していき、極上の快感が得られたのだった。

「はぁ〜……最高だ……」

 そのまま目が半開きになった状態で1分ほど経過すると、副交感神経が優位になってきた僕の心臓の鼓動はすっかりと落ち着きを取り戻していた。

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 結局、僕はそのあとに2セット、合計3セットをいただいてから帰路に就いた。そして、それから4ヶ月以上が経った2021年3月18日(木)のこと。僕は電車に乗り込み、仕事の疲れを癒すために再び新生湯へと向かったのであった。今回は「太陽の湯」ではなく、男女でお風呂場が入れ替わった「大地の湯」を目指して。

(written by ナオト:@bocci_naoto)

YouTube「ボッチトーキョー」
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①僕たちは自費でサウナに伺います ②それでお店の売上が増えます ③noteを通して心を込めてお店を紹介します ④noteを読んだ方がお店に足を運ぶようになります ⑤お店はもっと経済的に潤うようになります ⑥お店のサービスが充実します ⑦お客さんがもっと快適にサウナに通えます