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2022年にマネージメントを意識して読んだイチオシの本10選

今年もまた、たくさんの本を読んでしまいました。

この記事は「Pepabo Managers Advent Calendar 2022」の14日めの記事です。ちなみに、エンジニアの立場でアドベントカレンダーの記事を前回書きましたが、今回はマネージメント視点で読書についてお話します。

毎年少しずつ読書ダイエット中

ブクログの読書記録2022より(読み終わった本中心)

2022年新年最初の記事は「2022年の目標は多読から雑味をへらした熟読へ」でした。この決意は2021年にアウトプット重視としてから、少しずつ読書数(インプット)を減らして行動量を上げることが目的でした。

この記事を書く直前の集計(2022/12/13時点)ですが、読書数は2022年は237冊(紙の本のみ)に抑えることができました(6-8月の電子書籍の伸びはワンピース)。2020年は309冊。2021年は257冊でした。

読む本を減らして、その分アウトプットを増やす試みを目指していますが、noteの記事数を指標にすると前年比較で同数程度。読書数は毎年1,2割減らせているので、2023年は200冊以下に厳選して行動に変換したいところです。

マネージメント関連の読書は実践重視

読書そのものは実践を重視して読んでいます。

むしろ、実践で試すために知識を得ていると言っても過言ではありません。行動するから自然と必要な本に手を出しています。知識を知恵に変えるための行動を増やすことが本来の目的です。

その前提で2022年に読んだ本は実践で活かしやすいことを意識して紹介します。加えてマネジメントの立場に響くと感じた本と合わせて10冊選んでみました。ちなみに2021年はこちらに好きな本を前後編でまとめています。

2022年に発売した本から3冊

今年発売した本より、マネージメント関連で響いた3冊を紹介します。

1. エンジニアリングマネージャーのしごと

まずは、O'Reilly Japan - エンジニアリングマネージャーのしごと。ソフトウェアエンジニア向けに書かれた本は科学的な側面もあり、マネージメント視点で参考になる話が多いです。

特に個人的には1on1の章が好きです。まずは対話しましょうという試みが大事で、そのやり方が丁寧に書かれており、そのとおりに実践できます。学術的な参照も多く、途中睡眠の重要さまで訴えています。

正直これ一冊でよいと思える内容です。私も繰り返し読み直しますし、人に説明する時にも使います。そこで、次に紹介する2冊は世の中の経営の流れ全体をつかんでマネジメントに活かす書籍を紹介します。

2. 経営戦略としての人的資本開示

経営戦略としての人的資本開示 HRテクノロジーの活用とデータドリブンHCMの実践。やや経営層よりの戦略の話ですが、2022年の潮流を知るためには抑えておきたい一冊です。

この本は、人的資本戦略論の基礎データがまとまっている点が特徴です。ISO30414として2018年に国際規定のレベルで人的資本開示求められていることは知らず勉強になり、本書では今年は開示元年と訴えています。

HRテックにCHROやHRBPが求められる流れ。また、本書紹介の経済産業省の人的資本経営の実現に向けた検討会と国の流れもあり、人材をコストではなく活かす採用・チームを考える必要性が求められていることを感じます。

3. 「顧客愛」というパーパス<NPS3.0>

「顧客愛」というパーパス<NPS3.0>。NPS創世者が語る現代顧客主義のお話です。デジタル時代だからこそアナログな生の顧客情報が大事。データとして扱い改善するためのシンプルイズザベスト案を挙げています。

2013年の前著もありますが、本書だけでも十分にその意図が伝わります。金融至上な株主市場主義な考え方から新しい指標で会社が語られる兆候も読み取れます。

事例の中ではAppleやAmazonのNPSスコアがそのまま昔と今の二つの会社の顧客満足度を表しており興味深いです。いくら外に向けて成功明大な理念を打ち出しても、実態が伴わなければ末路はあのエンロンのようになると。

今回紹介した3冊の共通点は、顧客と従業員の幸せ。人の幸せを経営やマネジメントで考える必要がある点です。データドリブンの話でもありつつ、数字だけではない世界を2022年発行の本より感じ取ることができます。

学術系より学びを得る3冊

現場の実践知は大事ですが、学術からマネジメントに活かす本もご紹介。

4. 恐れのない組織

恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす。長年チームワークの調査に関わった著者が発見した心理的安全性のお話。近年の心理的安全性に関する論文の増加の源流と言えます。

データが示す価値。その土台として紹介される心理的安全性。時代がVUCAと捉えると不安な環境は好ましくないことが見えてきます。リフレーミングできる環境が必要で、その雰囲気を作るのはリーダーの仕事であると。

外交性・内向性関係なく、個人間の信頼関係でもなく、チームというカテゴリの現象。その現象にアプローチするのはリーダー。かつ、一番パラドックスに陥りやすい立場なため、信頼を損ねる立場でもあると気付かされます。

チームを見る立場の人は心理的安全性について知ることは必須です。

5.多様性の科学

多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織。実例から多様性とは何かを問うのが本書。認知的多様性に至る最小限の図示が本質的で思わず唸ります。

どれだけ優秀な人でも盲点が存在するのが人間だと認知しておきたい学び。盲点をいかに潰して問題にあたるか。社会的指向性な脳を持つ人間だからこそ、複雑な問題にアイデアを出せるのだと思えました。

平均化の罠がおもしろく、健康的な食事は人によってバラバラという考えがおもしろいです。どの事例も新鮮で参考にする書籍も読んできたものが多く、その知見を活かした新しい考えを吸収できます。

多様性をうたうのであれば、まずはここから。

6. ソーシャル物理学

ソーシャル物理学:「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学。ビッグデータと社会物理学の今を解説。エンゲージメントの探求を組織の習慣をベースに可視化を試みています。データ駆動社会のわかりやすい実験例。

事例で語られているとおりでカリスマ的仲介者が必要。可視化の結果、弱い習慣(アイデアの流れの対流)を見つけることが容易で、生産性の変化の説明にもなり得ると興奮しました。

意外と組織内をウロウロする人が、実はコミュニティ形成の要なのかもしれません。現代はその構造を意図的に仕掛けることが可能なのが大きな進歩と言えます。組織内の関係性はデータから読み取りたいところです。

これらのお話より見えてくるのは協働する時代だということです。VUCAや多様性と言い出しているのは、衝突が前提となる時代です。心理的安全性を確保して健全な衝突に備える関係性が今の組織には求められています。

マネージメント間で共有しやすい2冊

読みやすさ重視で、ビジネスの現場で話題にあがりがちな書籍をご紹介。

7. 問題解決

問題解決――あらゆる課題を突破する ビジネスパーソン必須の仕事術。課題の発見や問題発見は現場で飛び交うキーワード。この本ではHOWに陥るなと訴えています。

これほど明確に四象限やMECEやロジックツリーの使い方を言語化した本は他に見ないです。PDCAがDDDDやPDPDになっていないか。特にWHEREの設定が秀逸で、他の問題解決本の切口との違いが明確。

問題発見と分析と深掘りの違いも丁寧で、切り口の考え方は問題を3次元に捉えることができて目からウロコ。正直、問題の捉え方はこれ一冊でよいと人にオススメできるほど明快。

8. 業務改善の問題地図とマネージャーの問題地図

業務改善の問題地図 ~「で、どこから変える?」~進まない、続かない、だれトク改善ごっこ。業務改善の可視化を地図一枚で表現。行動につなげるための急所が実務より。いわゆるシステム思考に近い考え方です。

レバレッジが効く箇所のテコ入れ活動が部門ごとに必要で、KPTのようにふりかえりをシンプルにやりたい気持ちが芽生えます。類書のマネージメント分解が気になったので手に取りましたが、こちらもオススメです。

今回は問題地図シリーズということで紹介します。マネージャーの問題地図 ~「で、どこから変える?」あれもこれもで、てんやわんやな現場のマネジメント。こちらは、モヤモヤを可視化する方法。

このモヤモヤというキーワードは使い勝手が良く、日々モヤモヤ探しをするのが実践では試しやすいです。マネージメントなメンバーにオススメしたところ広まったり、すでに読んでいる人がいたりと話題性を今年感じました。

本書の手段はHOWによりがちですが、視野の広さが得られるのは魅力的。改善や育成の時間をそもそも取らないとダメということがわかります。とっとと決めて任せ切って、全てを一旦受け止める。

紹介した本は「問題」や「改善」等のキーワードを耳にしたり考えたりしなければいけない人にはぴったりな処方箋となる書籍です。

経営視点からマネジメントを考える2冊

企業や経営の全体感を知ってから、マネジメントを捉える本をご紹介。

9.マネジメントの文明史

マネジメントの文明史 ピラミッド建設からGAFAまで。これまでマネジメント関連やマネジメント向けとした本を紹介してきましたが、そもそもマネジメントとは。その元を辿る企業論の歴史的解釈を本書から学べます。

マネージメントの話はアメリカの章(300ページ先)でようやく登場。マネジメント=経営で語っているのでマネジメントを知りたくて読んだ人には肩透かしな内容ですが、歴史は韻を踏むを追体験できます。

そもそも、歴史より企業が独占にしろ寡占にしろえげつないです。このままのやりかたでいいの?と生産のあり方や生き方が見直される10年になりそうと思える内容でした。

10. ワイズカンパニー

ワイズカンパニー: 知識創造から知識実践への新しいモデル。最後は野中郁次郎さんのSECIモデルの新しい形より、賢慮のリーダーシップ論です。

関連書籍で語られたリーダーシップ論6選の掘り下げが主役の内容。特に善の考えが好きで、企業倫理について考えさせられる本です。時にはマキャベリズムな発想も必要と。現実を湾曲する高次の発想力も求められます。

二者択一や二項対立なんて矛盾は「あれも、これも」で超えていきたい。なぜなら、経営には矛盾がつきものという視点が学べます。板挟みな立場の人に読んでいただきたいと思う本です。

この2冊からは経営の矛盾を学べます。顧客のため。社員のため。会社のため。いろんな矛盾を抱えながらマネジメントをすると思いますが、「三方よし」や「Win-Win」の関係を目指したいと思えるはずです。

まとめ:身銭を切れ

マネジメントを体験する中で実践+読書記録を綴った一年でした。

今回のまとめは、あまり本noteで紹介してこなかった本をできるだけ選んでみたつもりです。2021年に読んだ本は社会心理学の本が中心だったところから、2022年は経営を意識する本をたくさん読みました。

会社のマネージメント研修の影響もあるかもしれません。

また、人を育てる視点も求められており、問題解決や問題発見。時には、ロジカルシンキングの読書会も開催。外部情報やマネジメント間の情報共有より、心理的安全性の考え方は必須に思います。

マネジメントは2020年のライフシフトを機に新しい知識が要求されていると感じます。学術から学ぶことも多く、データや科学的な見解が求められています。

書籍はそれらを人や現場からと違った形で、新しく識者から学べる試み。今回紹介した10冊がなにかしらマネジメントを経験している人の立場の参考になればの思いです。

私はというと読書をがんばって減らして、より実践に重きをおいた活動を実施を優先します。結局、行動が全て。口だけ読むだけでは意味がありません。タレブの言葉を借りるなら、身銭を切れの一言に尽きます。

ただ、年末年始に読みたい本があと10冊ほど手元にあるので、これは2023年の課題とします。


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