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映画「レディ・バード」を観て

4月15日、「レディ・バード」という映画を観た。原題は「Lady Bird」。2017年のアメリカ映画で、グレタ・ガーウィグ監督の作品だ。

キャストは、クリスティン・"レディ・バード"・マクファーソン役のシアーシャ・ローナン、クリスティンの母役のローリー・メトカーフ、ダニー・オニール役のルーカス・ヘッジズなどである。

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あらすじは、
レディ・バードと名乗り、周囲にもそう呼ばせているクリスティン。高校生最後の年に看護師の母マリオンと進学先を決めるために大学見学に行くが、帰りの車中で地元のカリフォルニア州サクラメントから離れて都市部の大学に進みたいと言ったことから大げんかになる。それ以来、母と衝突を重ねる一方、親友のジュリーとも疎遠になってしまう・・・。
と、いったところから始まる内容。

で、観終わっての感想。

家族は、夫婦と養子縁組の3人の子ども達であることが想像できる

この家族、映画を観てゆくうちに、夫婦の子どもたちは、実子ではないことに気づく。主人公の兄はアジア系、姉も白人ではない。特に映画内での説明は無いが、ご夫婦は若い時期に、3人の養子縁組をしたと考えられる。主人公は白人の思春期の少女であるが、その流れから言っても彼女もそうだと考えられる。その家族が、父親のうつ病により収入が激減し、現在の状況になっているのではないだろうか。

経済的な問題は、人の心も貧しくさせる

この映画は、経済的な問題が背景に隠れている。
例えば、主人公の少女。大学は、ローズビルから離れたアメリカの東部の大学を希望する。しかし、経済的状況から、母は認めない。
また、彼女の住んでいる地区が線路の向こうの(スラムのような)地区であることに、後ろめたさを感じている。
ところどころに散りばめられた、貧困の状況が、少女の心にも大きく影響を与えているのだ。

母は、心の限界手前で、家族を支えている

そんな中での、母親の言動。それだけ見れば、(なんて母親だ!)と思うくらい、厳しくケチ臭い考えを持っている。でも、よく考えると、この母親は心の限界スレスレで生きている。家の家計を、母親のみが支えていると言っても過言ではない。その中での言動なのだ。だからこそ、心から素直になれない母親が、娘の大学合格に対し、何度も手紙を書いては、ゴミ箱に捨てたのだ。そのメッセージを、父親が娘の飛行機出発直前に渡す。

娘は、そんな中で青春を謳歌しようとしている

貧困をはじめとして、様々な問題が起こる中、主人公の娘は青春を謳歌している。その姿は、ある意味「無謀」とも思われるのだが、ボクはなんだか彼女の生き方に、若さゆえの勢いのようなものを感じるのだ。
それは、自分もかつて通ってきた道であり、なんだか懐かしい「若さゆえの無謀さなのである。
人生経験を重ねてきたからこそ、あの頃の気持ちは、なんだか懐かしく、共感できることもたくさんあるのだ。

一見、なにも得られない映画に見られがちである。しかし、ボクは、”なんだかノスタルジーの世界にいるような気持ち”にさせられた映画だった。


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