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映画「八日目の蝉」を観て

10月7日「八日目の蝉」という映画を観た。原作は角田光代。
2011年の日本映画で、成島出 監督の作品だ。

キャストは、秋山恵理菜役の井上真央安藤千草役の小池 栄子野々宮希和子役の永作博美秋山丈博役の田中哲司岸田孝史役の劇団ひとりなどである。

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あらすじは、
秋山丈博の愛人であった野々宮希和子は秋山宅に侵入していた。眠っていた赤ん坊(秋山恵理菜)を一目見るためだったが、赤ん坊が笑いかけたのを見て衝動的に誘拐する。
希和子は「薫」と名づけた赤ん坊とともに逃亡を始め、まず事情を知らない親友の手を借りた。その後、偶然に遭遇した女性だけで共同生活を送る「エンジェルホーム」に入所。さらにエンジェルホームで出会った共同生活者の手助けを得て、小豆島に逃亡し、安心感を得た生活を送ったものの、1枚の写真がきっかけで希和子は逮捕されることとなる。
成人した恵理菜は、妻子持ちの岸田と付き合う中で希和子と同様に妊娠し、岸田は丈博同様頼りにならなかない中、自分で判断を下した。また、恵理菜の前に、かつてエンジェルホームにいたという安藤千草が登場する。最後は瀬戸内海の場面で「仮の親子」の記憶を呼び戻す。
と、いった内容。

で、観終わっての感想。

原作を、以前読んだことがあるが・・・

実はこの作品、原作の小説を読んだことがある。
原作を読んでから、映画を観るとかなり端折り感があることは否めない。
一番大事な最後のシーンが全く違うのである。
それだけに、とても残念でならないというのが正直な感想である。
あのシーンは、この小説の原作の肝にもなるだけに、なぜカットしてしまったのだろう。ただ、ただ、疑問である。

ある意味「因果応報」のようなストーリー

事件は、あってはならない。犯人の野々宮希和子が起こした犯罪は許されるものではない。しかし、ここに至るには犯人だけを責められない、秋山の妻の言動や嫌がらせがあったことは事実である。つまり、この事件が起きたのはある意味、喜和子を追い込んだ秋山、そしてその妻にも大きく係る。言ってみれば「因果応報」の事件かもしれない。

見え見えの男のウソ、それに引っかかる女

それにしても、原作の角田光代氏は男性の心理をよくついている。
そう、妻子持ちの男性が不倫をした場合、ほぼ間違いなく嘘をつく。
それは、だいたい「妻とはうまくいっていない」に始まり、「いつか君と一緒になるように動く」で騙す。そして不倫相手が妊娠すると「生んでほしい、ただ・・・・」という言い訳をする。本当に最低である。
でも、そんな男に「騙される女」がいるから、この話が成立してしまうのも、忘れてはならない気がするのだ。

瀬戸内の海を前に、少女時代の母の愛を思い出す

映画では、最後に瀬戸内のフェリーターミナルに立ち、当時のことを思い出すシーンがある。そのシーンを見て、(果たして、どちらが母親としての愛があったのだろう。)と思ってしまう。事件が起きたことから、実の母親は病んでしまい、娘にことごとく辛く当たる。娘は、幼少期、取り乱す母にただわけもなく「ごめんなさい」と謝り続ける。
もし事件が起きなかったら・・・たられば、なのでのその姿がわからない。
ただ、野々宮希和子に対し「あなたは空っぽ」という罵声を浴びせる女が、いい母親になれるかは疑問ではある。

いずれにせよ、被害者は誰?加害者は誰なのか?という気持ちにさせられる映画であった。

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