人と創造するということ
私はアーティストではないので、自分ひとりだけで何かを創り上げるということはできない。
それでも、何かを創ることが好きだし、ゼロから何かを生み出したいという欲求があるから、モノづくりに携わる仕事をしている。
最近やっと、「人と一緒に創造する」ことの本当の楽しさを理解できたような気がする。
昔は、自分の考えや意見に固執していて、
「自分の思い通りにするためにはどうするか」ばかり考えていた。
自分の思い通りにならないことが怖かった。
自分の中にしか正解がないから、
その正解にいかに近づけていくかの作業になってしまっていた。
この作業は一生100点には辿り着けない、とても苦しいことだった。
今は違う。
自分の思い通りにならないことも含め、楽しめている。
チームで何かを創る時、それぞれの立場があって、その上でそれぞれの意見がある。
人は立場によって意見や考えが変わるので、それはとても当たり前のことだ。
自分の考えも付かなかった意見や、想像もしていなかった意見を聞いた時に、少し戸惑ってしまう。
でもそこで拒否するのではなく、一度受け入れてみる。
正解は一つ、ではない。
モノづくりに正解は、ない。 だから面白い。
自分の思考の外、自分の感覚の外に対して、勇気を持って受け入れる。
それは「流れに身を任せる」という感覚に少し似ている。
ここが人と何かを創るときの醍醐味だと思っている。
何かを捨てれば何かを得られるように、
自我を手放したときに、新しい視点や認識を発見できる時がある。
妥協するでもなく、諦めるでもない。
全く違う正解に出会いにいく。
この正解は、120点にも150点にもなり得るのだ。
他人の世界観や価値観や人生が、自分の世界を広げてくれる感覚。
自分はキャンバスのほんの片隅にしか絵を描いてなかったんだと気付く。
見渡せば、世界は広く、新しい。
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