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ごはんドロップス

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ごはんの奥にあるストーリーを、ごはんのイラストとともに書きためていきます。
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食のエッセイ「ごはんドロップス」を書く理由

食のエッセイ「ごはんドロップス」を書く理由

 あのとっておきのお塩とそこにレモンをしぼると美味しいんだよなぁ。テレビに映るサシの入った高級そうなお肉を見ながら、表面をじゅっと焼くところを想像しながらつぶやく。

 いただいた朝採れのとうもろこしを見た瞬間、ごはんにするかそれとも片栗粉をまぶして油でさっと揚げて食べるかで目をぎゅっと瞑って苦悩する。

 やっぱり食べることって究極の癒やしだなぁ、と心から思う。

 あたしのあたまの中は結構いつ

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ごはんのことだけ考えて暮らしたい

ごはんのことだけ考えて暮らしたい

 夏野菜、といえば一番最初にあたまに浮かぶのがトマト。つやつやぴっかぴかで真っ赤っていうか朱の混じった赤い実のまるいあいつ。
 暑くなってきてから2日か3日に1回はトマトを使った料理をしてる気がする。やっと8月も下旬。まだまだザ・真夏の真っ只中。食欲も失せるうだる残暑なまいにち。今日はフードエッセイとともに夏野菜代表のトマトを使った我が家定番ごはんのざっくりレシピもいくつか書いてみようかな。

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もものかおりにつつまれたなら

もものかおりにつつまれたなら

 ももが好きだ。いろ、かたち、かおり、口に含んだときのうっとりするようなとろける舌ざわり。ももが嫌いな人なんてあたしの人生で出会ったことなんて多分いないんじゃないかな。そのくらいみんなきっとももが好き。

* * *

 この季節になるとスーパーの店頭にまあまあの値段でももが並び始める。出始めの頃はふたつで千円近い価格とかあたりまえ。「待ってました!」と、ももが大好きなあたしは今でこそ躊躇なく買っ

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めくるめく癒やしのおにぎり

めくるめく癒やしのおにぎり

あたしにとっておにぎりは癒やし。
そのフォルム、ちょうどいいかたさのお米の食感。
ひとくちほおばったとき、つい目が細くなる幸福感。
ほんのりの塩加減と入っている具材とのハーモニー。

* * *

 子どものころからお米が好きだった。全然裕福じゃなくてむしろ貧乏だったけど、ありがたいことにお米だけはずっと祖父の作る美味しいコシヒカリを食べて育ったからお米に関しては舌は肥えてるかもえへん!なんて言え

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すべてのはじまりはトマトソース

すべてのはじまりはトマトソース

 くつくつ、こぽこぽ。ふたをずらした鍋からときおり聞こえるオノマトペ。あたしは木べらでぐるぐるっと鍋底からかき混ぜる。ふわんといい香り。あともう少しこのまま。10分のタイマーをかける。あと10分でうちのトマトソースのできあがり。

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 あたしは定期的にトマトソースを作る。たくさん作ってあれやこれやと美味しく食べる。パスタもたまごもお肉もごはんもなんでも相性バツグン。あの赤を見て美味しい

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赤いごはん

赤いごはん

こどもの頃大好きだった赤いごはん。
赤いごはんとはつまりはケチャップライス。
あまくて香ばしくてちょっと酸っぱい。
赤いごはんがあれば他になーんにもいらない。

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 まだ社宅に住んでいた小さい頃、我が家は本当に貧乏で、父の給料日が近づくにつれ決まって野菜オンリーな食卓になった。3人きょうだいの長女だったあたし。当時のあたしは我が家が貧乏だとはあまりピンときてなかった。子どもだったおかげ

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