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「タスク管理」について ー会社員もそうじゃない人もー(1)

今回、私が「タスク管理」についての考えたこと、そして自分で現在進行形でやっている方法について、複数回に亘ってお届けしたいと思います。

この記事を書こうと思ったきっかけですが、実は「タスク管理」と「ライフハック」は私の大好物だからです。

自分の大好きなことを楽しく書いて、それがもしほんの少しでも誰かの役に立ったり、面白いと思ってもらえたら最高です。

仕事や家事でやること満載の方に読んでもらえたらいいなと思っています。


■「タスク管理」について考えたきっかけ

全ては私の「あれもこれもやってみたい病」が発端です。

note のプロフィールにもある通り、私は「グラフィック・デザイナー」「ウェブ・デザイナー」「ウェブ・プログラマー」を経て、今はフリーランスでイラストや絵を描いているという経歴で、業界的にそれ程離れてこそいませんが、これまでいくつか職業を変えて来ました。

その間に趣味で友人とバンド活動をしたり、一人で自作の音楽を自宅録音したり、小説を書いたり、マンガを描いたりしてきました。
将棋を指せるようになりたいと思い立ち、将棋の本やアプリを山ほど集めたこともありました。
刺繍や編み物の材料を買い込んで手芸に打ち込んだ時期もありました。

ひとつの仕事や趣味をじっくり極めるタイプの人もいますよね。
私は「やってみたいことをやらずに後悔したくない!」あれこれ手を出してしまう性分なのでした。

ところで、仕事にしろ趣味にしろ新たに何かを始めるには、勉強したり、練習したり、調査研究したりする時間が必要なのは言うまでもありません。
私に関して言えば、デザイナーからプログラマーに転職するときに、勉強のためにたくさんの時間が必要でした。

晴れて念願のプログラマーになった後でも、日進月歩のIT業界ではひとたび現場に出れば知らないことばかり。常に新しい情報や技術を吸収して使えるようにならないとダメなので、プライベートの時間も調べ物に明け暮れる毎日。

会社指定の国家試験(基礎知識レベルのやつですが😅)も受けなきゃいけないので、さらに勉強は続きます。

もしも私が天才肌の人間であったのならば、あれこれ手を出しても問題無かったことでしょう。

しかし私は自他共に認める「凡人以下」
色々なことをやりたがる割に、その進捗たるや目を覆うばかりです。

趣味の音楽も今では宅録機材を全部売り払い、たった一つ残っているフェンダーのギターは弦も錆びる始末。それどころか、この間久々に見たら遂にネックにカビまで・・・。

将棋も藤井五冠のブームで始めたのならまだしも、羽生七冠のブームで始めたのに、いまだ「囲い」のひとつも覚えてません。

そしてその全てに対する私の言い訳は「時間が無いんだもん」でした。
「飽きちゃったからやめた」なら良くある話ですが、私はそれでもまだ「いつかはやるんだ」と考えているから始末が悪い。

* * * * *

数年前のある日のことです。

中村A:「いつかやるって言ってる人間でホントにやれたヤツを、いまだかつて見たことがないんだけど」

中村B:「そんなこと言ったって今はムリだよ。昼間は会社に行ってるし、休日は疲れて何も出来ないしさ」

中村A:「自分でやりたいって言ったクセに。いいんだよ別に。やらなくったってホント、だーれも困らないしさ。本人さえそれで良けりゃね」

中村B:「何それ、感じ悪いわねぇ。時間が無いって言ってんじゃん」

中村A:「そんなもん待ってても湧き出て来やしないよ。時間は自分で作るって、それジョーシキでしょ」

中村B:「別にダラダラ過ごして時間が無いって言ってるんじゃ無いもん!(ダラダラ寝てるときもあるけど)実際こんなに忙しくてどこから時間を捻出しろってのよ、錬金術じゃないんだからね」

中村A:「まさか忙しいのは自分だけって思ってる訳じゃないよね? 世の中の人は大概みんな忙しいよ」

中村B:「そんなこと、言われなくてもわかってますよーだ。でもね、まぁ見てなさい。そのうち会社辞めてフリーになったら、今までやりかたかったことを全部やるんだから」

中村A:「ふ~ん。ま、やれば(半笑い)」

* * * * *

「中村B」は言うまでもなく私ですね。
で、フリーになった現在の「中村B」はというと・・・

* * * * *

  • えーっと、次の絵を描くための資料を集めなきゃな。

  • イラストのグッズ展開もやっとかないと。

  • おっと、宣伝もしないとダメだな・・・宣伝って意外と大変だよ(-_-;)。

  • 毎日ちゃんと運動しろって言われてるんだけど、そんなことしてる場合じゃないんだよね。

  • そういえば仕事部屋がぐちゃぐちゃだ。片付けなきゃ。

  • 小説の構想が全然決まらないけど、それは後回しだな。

  • あぁそうだ、ブログも立ち上げなくちゃ。

  • お風呂の掃除するの忘れてた。

  • お昼は何を食べようかなぁ。

  • あ、その前にちょっとツイッターを見て・・・と。

  • 中村Aが唐揚げ喰いたいとか言ってたな。片栗粉を買わなきゃ。

  • この間インストールした将棋アプリ、まだ一度も開いてないよ。

  • そういえばあのカビちゃったギター、まだ弾けるのかなぁ。

  • あーあ、イチゴのパフェが食べたいなぁ。

・・・あれ、ワタシ今何考えてたんだっけ?

放って置くと、私の思考(?)はこのようになります。
まるで気まぐれな猛獣か、のたうつ大蛇のようです。

つっこみどころは満載です。

まず「趣味」「仕事」「家事」が混然一体。
「いつやるか」そもそも「やるのかどうか」はっきりした自覚も無い。
「やる必要がある」のか「やりたい願望」なのかの区別も不明。
「後回し」って、いったい何の後?

などなど・・・。

ここまで酷くは無いにしろ、大抵の人は多かれ少なかれこんな風に、色々な考えに追われながら日常を過ごしているのではないかと思います。

そして「アレをやりながら、ついでにコレもやったら効率的」と考えて、同時進行できるものをまとめようとします。

所謂「マルチ・タスク」ですね。

私自身、「忙しいんだからマルチで動かなきゃ」などと言ったり言われたりした経験は一度ならずあります(言われるとカチンと来るフレーズのベスト5に入りますがね(笑))。

そこで「マルチ・タスク」について、ちょっとだけ本気で考えてみようと思い立ちました。

■「マルチ・タスク」についてちょっとだけ本気で考えました

コンピュータのマルチ・タスク

「マルチ・タスク」の最たるものは「コンピュータ」です。

今やどのご家庭にもあるPCは、画面でExcelを編集しながら、ブラウザで検索ができたりしますよね。

あれは、見かけ上は同時進行しているように見えますが、実際はそれぞれの処理をものすごく小さく分割して、その小さい断片を高速で切り替えながら実行しています。

なぜそのようなことをするかというと、コンピュータのメイン頭脳であるCPUも含めた〈リソース〉の無駄を少なくしたいからです。その過程で上手くいけば、いくつかのタスクが早く終わるかもしれません。

例えば30秒かかる「タスクA」と5秒で終わる「タスクB」があったとします。

A→Bの順番で普通に処理していると「タスクA」が終わる30秒後に「タスクB」が始まることになります。つまり、5秒で終わる「タスクB」ですが、完了するのはどうしたって35秒後です。

そして「タスクA」の実行中には使われていないリソースがいっぱいあります。その余っているリソースは「タスクA」には不要でも「タスクB」の実行には使えるのかも知れません。それでも順番待ちをしている「タスクB」は「タスクA」が実行されている間はそのリソースを利用することが出来ないので勿体ない状態です。

それはAとBが逆でも同じこと。シングル・タスクである以上「タスクA」「タスクB」のどちらかが先になり、どちらかが後回しになります。

「融通が利かないわねぇ。ちょっと一瞬でいいからそれ(リソース)使わせてよ。そしたらこっちはもう終わるんだから」と言いたくなるのが人情というもの。

そこでコンピュータはどうするかと言うと、「タスクA」も「タスクB」も短冊みたいに小さく切ってバラバラにします(ちなみに「短冊」っていうのはあくまでイメージです)。

それから「タスクA」「タスクB」を、短冊単位で一番効率の良い順番に並べ替えて実行していきます。

つまり「A-1」「B-1」「A-2」「A-3」「B-2」・・・みたいな感じです。

印刷中にカーソルを動かしたりキーボードから文字を入力できたりするのも、ちょこちょこ短冊が切り替わっているからで、厳密には同時に動いているのではありません。コンピュータと言えど一度にできるのは1つ(※シングルプロセッサの場合)なのですからね。

ただ、コンピュータがものすごく素早く切り替えているので、人間には同時に見えます。物理的に同時じゃなくても「同時に見える」なら、それはそれでOKですものね。

で、先ほど「ものすごく小さく分割して」と言いましたが、なぜ「ものすごく小さく」なのかというと、それはリソースの無駄を極限まで少なくしたいからです。ざっくり言うと、砂利を敷き詰めた場合より、砂を敷き詰めた場合のほうが「隙間」が小さいからです。

ただし、小さくし過ぎてもダメ。
実行に適さないくらい小さかったら意味が無いのは勿論のこと、細かすぎて今度は切り替えに時間がかかるようでは、それも効率が悪いからです。

マルチ・タスクを考える上で「切り替え」作業の重要性も無視できません。
効率的に並べ替えられた短冊ですが、それぞれが使うリソースは当然違います。

人間で例えれば
「家計簿」と「読書」を並列作業していて短冊を切り替える場合

  • 「家計簿」の道具(家計簿・ボールペン・レシート)

  • 「読書」の道具(本・コーヒー・しおり)

短冊が切り替わる度にこの二種類を
「ハイ、今使うのは〈家計簿の道具〉」
「ホイ、今度は〈読書の道具〉」
というように、机の上に出したり仕舞ったりしなければなりません。

マルチ・タスクの肝は、要約するとこんな感じでしょうか。

  • 「細分化」(短冊にする)

  • 「スケジューリング」(順番を決める)

  • 「切り替え」

■「マルチ・タスク」は早いのか?

マルチ・タスクと聞くと、無条件に仕事が早く終わるような印象を受けるかもしれませんが(私だけ?)、実は必ずしもそうではありません。

マルチ・タスクで実行した場合のほうがシングル・タスクより早くなることがありますが、必ずそうなるとは限りません。ただ、リソースの無駄を切り詰めることは出来ています。リソースの有効利用をした結果、一部の仕事が早く終わることはあるかもしれません。
さっきの「ちょっと使わせてくれればこっちは終わる」的な状況ですね。

つまりコンピュータのマルチ・タスクは、言ってみればタスクを細分化してジグソー・パズルのように敷き詰めることでリソースの無駄(隙間)を最少にして実行した結果として、一部のタスクの実行がシングル・タスクの場合よりも早く終わる場合もあるし、リソースを遊ばせておく時間を少なくした結果、全体的に仕事が早く終わる場合もあるという考え方です。

マルチ・タスクを行うには「タスクの細分化」「スケジューリング」「切り替え」が必要なのですが、この辺をコンピュータは素早く計算し、マルチ・タスクの効果が最大になるように上手くやってくれています。

逆に「タスクを細分化するのにコスト(負荷)がかかる」とか「切り替えにコストがかかる」のような、そもそもシングル・タスクであれば発生しないはずのロスが生じる場合、マルチ・タスクで実行するのはむしろ逆効果になります。

「順番にやったほうが、なんぼかましだわ」ということですね。

つまり極論を言えば、マルチ・タスクが効率的なのは「コンピュータが早いから」です。

コンピュータのマルチ・タスクで注目したいのは

  • 人間が右手と左手で別々の事を同時にやって「1つの事をやる時間で2つの事が出来ちゃったよ~」というイメージではないです。

  • コンピュータはマルチ・タスクを採用することで「時間を節約」しようとしているのではなく「資源の節約・有効利用」をしようとしているのです。だから場合によってはシングル・タスクで実行した時よりマルチ・タスクのほうが時間がかかっちゃったなんていう場合も、当然あります。

  • それぞれのタスク実行に必要な時間は変わりません。リソースを有効配分したり無駄な待ち時間を切り詰めただけで、それぞれのタスクに必要な時間が短くなる訳ではないからです。

あまり話が長くなると疲れちゃうので、今回はこのへんにしておきます。

次回は「じゃあ、人間がやるマルチ・タスクってどんなものなのか」について考えてみることにします。


※本記事の「コンピュータ」はシングル・プロセッサ(CPUが1個)のものを前提としています。
※本記事は実生活における人間のマルチ・タスクを考えるために、コンピュータのマルチ・タスクを引き合いに出しています。実際のコンピュータの解説とは厳密には異なる部分がありますのでご了承ください。また、コンピュータ専門の見地から見て明らかな誤謬や誤解を生む表現がありましたらご指摘いただければ幸いです。



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