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我が家にとうとう電気がつきました

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この度全盲夫婦の暮らす我が家に新しい家族が加わりましたので、合理的配慮として電気をつけることにいたしました。 同時に我が子との成長の記録もつけることにいたしました。 ごゆるりとお…
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2022年11月の記事一覧

我が子に対して我々が最初にできること / はるか (後編)

(前編の記事はこちら)
 私たちの子供には、網膜芽細胞腫という目の病気を持って生まれる可能性があった。
遺伝しているかどうかは、生まれてからの遺伝子検査でわかる。ひなちゃんの遺伝子検査の結果が出たのは生れて1ヶ月後のことだった。
結果ひなちゃんには病気が遺伝しなかった。私は夫から報告を受けた瞬間、ただ安心した。少なくとも今後この子は検査や治療から生じる苦痛を経験しなくてよいという思いからの安堵だっ

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我が子に対して我々が最初にできること / ぐっち (後編)

 以前の記事にて、僕の視覚障害の病気が我が子に遺伝する可能性について書いた。
読者の方々の中には気にかけてくださっている方もおられるかと思うので、まず結果からお伝えしたい。
今回ひなちゃんには視覚障害の病気は遺伝しなかった。
この記事では、病気が遺伝しなくて良かったという単純な感想を伝えたいわけではない。
ひなちゃんの人生にとって、最初の大きな分岐点となった物語をぜひ最後まで読んでいただきたい。

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親は誰だ!

 おむつ替え、授乳、寝かしつけとお世話に追われ、気づけば1ヶ月が経った。生後1ヶ月のイベントといえば1ヶ月検診だ。私たちもごたぶんに漏れず病院へ向かった。
小児科の待合室に入ると、看護師さんにひなちゃんを預け、身体測定などの検査をしてもらった。ひなちゃんが待合室に帰って来て数十分、私たちの名前が呼ばれ診察室に入った。
ひなちゃんは1ヶ月前の退院時よりも1キロ増え、股関節の開き具合も良好で、原子反射

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ひなちゃんの親は紛れもなく我々である

 ひなちゃんが生まれてからの1ヶ月はあっという間に過ぎた。その間親としては寝不足で辛かったが、ひなちゃんはなんの問題もなくすくすくと育っていた。
この頃にはひなちゃんの泣き方にも種類があることに気付いた。ミルクがほしい時の切羽詰まった泣き方と、だっこしてほしい時のまだ余裕のある泣き方。我々も慣れてきて、この泣き方ならまだほおっておいて大丈夫かと、少しずつ子育てにも手を抜く余裕が出てきた。
 そんな

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どうするオムツ替え!

 赤ちゃんのお世話の代表格「おむつ替え」!見えない不便さをひしひしと感じたお世話の一つでもある!
 ひなちゃんが生まれ、代えなければならないおむつを前に、早速私は頭から壁に激突したような気分になった。
一般的におしっこをするとおむつの色が変わり、一目で確認することができ、おしりふきで汚れた箇所を的確に拭き取ることもできるだろう。ところが見えない私たちの場合そうはいかない。
お尻のどこが汚れているの

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ひなちゃんとの真剣勝負!

ひなちゃんとの真剣勝負!

 ひなちゃんがやってきてからの一月は正直あまりよく覚えていない。四六時中ただただ眠くてぼーっとしていた。
この期間は妻と僕の親が交代で家事をしてくれていた。我々のミッションは、この一月の間にひなちゃんのお世話を一通りできるようになること。それに徹した。
 病院で一足先にひなちゃんの世話をしていた妻に、だっこの仕方やおむつの代え方、ミルクの飲ませ方などを伝授してもらう。さすがは六日間の先輩だ。我々な

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三人家族

三人家族

 「ひなちゃんに告ぐ!母はなりたての新人である!お世話に手抜かりしかない!あしからずご了承を!」
産後の病院生活は子育ての第1関門であった。
 1日目は大半の時間を病室でゆっくり過ごし、二日目から本格的なお世話が始まった。
3時間おきのおむつ替え、授乳、寝かしつけのセットを永遠繰り返した。どの作業も意外と難しい。
一連の作業には少なくとも1時間はかかる。結果休む時間は残り2時間となった。
2時間と

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ひなちゃん誕生おめでとう!

ひなちゃん誕生おめでとう!

 ひなちゃんが我が家に初めてやってきたのは9月の終わり。風が心地よい秋晴れの日だった。
この時に合わせて広島から駆けつけてくれた妻の母と、僕の両親も一緒に病院へお迎えに行った。出産の立ち合いは一人だけしか認められなかったため、僕以外はひなちゃんと初対面なのだ。
改めてひなちゃんに触れて感じたことは、やはり小さい!指なんて爪楊枝のように細いし、頭もちょっと大きめのみかんぐらいじゃないか。
当たり前の

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