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ひなちゃん誕生おめでとう!

 ひなちゃんが我が家に初めてやってきたのは9月の終わり。風が心地よい秋晴れの日だった。
この時に合わせて広島から駆けつけてくれた妻の母と、僕の両親も一緒に病院へお迎えに行った。出産の立ち合いは一人だけしか認められなかったため、僕以外はひなちゃんと初対面なのだ。
改めてひなちゃんに触れて感じたことは、やはり小さい!指なんて爪楊枝のように細いし、頭もちょっと大きめのみかんぐらいじゃないか。
当たり前のことだが、こんなに小さくても指には一つ一つ関節があって爪もある。身体の機能としては、すでに大人とさほど変わらないのだ。恐るべし赤ちゃん!
そんな感動している僕をしり目に、だっこひもにすっぽり収まったひなちゃんは静かに寝息を立てていた。
「おとなしくしてるやん」
母子同室も六日目になり、少し疲れている様子の妻に僕は言った。
「昨日も夜大泣きして寝なかったから」
なるほどそういうことか…。
入院している間、妻とは毎日電話で状況を教えてもらっていた。その時に聞いていたことといえば、夜中中泣いてなかなか寝ないということ。ある日なんて、病院の助産師さんが一晩中何をしても泣き止まず、とうとう朝には声がカラカラにかすれてしまったらしい。
さすがは我々の子供、自己主張が激しいわけだ・・・なんて呑気なことを考えていた。その時の自分に一言言ってやりたい。
「そう言ってられるのも今のうちだけやぞ!」と。
 そんなこんなで妻と子供も入れた6人というなかなかの大所帯で我が家に帰ってきた。正真正銘今日から毎日電気をつけることにした我が家に。
ひなちゃんとの帰宅をゆっくりかみしめる間もなく、すぐに役所に出かけた。出生届と住民登録の手続きである。
なにも急いでこの日にする必要はなかったのだが、これからは思い立った時にすぐ出かけるというのは難しくなるだろう。それなら両親も来ているこのタイミングで、面倒な手続き関係はなるべく終わらせておきたかった。
 役所の人はとても丁寧に手続きの仕方を教えてくれた。一方で、デジタル化が叫ばれる昨今でも、こんなにも紙の書類にいろいろと記入しないといけないのかとげんなりした。
おかげで一緒に行った僕の父親は大活躍だったわけだが。
一人の新しい命が誕生するということは、それほどまでに大きな出来事なのかもしれない。それ故に、スマホで簡単登録!なんてどこかのキャッチコピーみたいにいかないのもわかるが、親として我が子の出生届けを自分で書けないのは少し複雑な気もした。今後役所の手続きも、スマホやPCですべて入力できる時代が来るのを切に願う。
 一通りの用事を済ませて家に帰った頃にはもう夕方になっていた。その夜は皆でパーティーをした。我が家の特別な日にだけ登場するキルフェボンのケーキは、妻のご所望だ。
これからどんな生活が待ち受けているのだろうか。少なくともこの時はまだなにも知らない…。

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