#ヒーローはじめました
小説「超獣ギガ(仮)」あらすじと設定、登場人物。
昭和九十九年、東京。
その出現は予め予期されながら、正体不明の巨大モンスターが襲来する時代。地球の正統進化外生物。その外見はツノの生えた、一つ目の大猿。
モンスターは「超獣ギガ」と呼ばれていた。
ギガの現れたクリスマスの晴海埠頭。
警視庁から特殊急襲部隊、自衛隊も出動するが、その圧倒的な力になす術なく敗北してしまう。
同時刻。首相官邸を来訪する、ひとりの女性。
手にしているのは、内閣
連載小説「超獣ギガ(仮)」#6
第六話「交戦」
十二月二十五日、早朝。
超獣と超人が会敵した、東京、晴海埠頭。
わずかに融解しながら、しかし、いまだ硬く凍るアスファルトを駆ける、ふたりぶんの足音。立ち昇る冷気を切り裂いて、ふたりの超人が超々高速移動を続けていた。揺れる視界に立ち上がる影。ふたりは睨む。会敵直前。その敵の姿を捉えた。
ようやくその全容を表した太陽は、その巨体に塞がれて見えない。ふたりに先行して、花岡し
連載小説「超獣ギガ(仮)」#8
第八話「跳躍」
その日の朝の光について、彼女はよく記憶している。とりたて特徴のない、冬の朝の柔らかな陽光だった。言うならば、昨日によく似た光にしか見えなかった。昨日の朝。一昨日の朝。その前の日の朝の光。いくつ数えただろう。まだ静かに暗がる官邸の執務室にコーヒーを持ち込み、前夜の続きの議題に目を通し、次の会見に備えて原稿を用意し、あるいはもはや無目的にテレビとパソコンとスマートフォンから国内外の
連載小説「超獣ギガ(仮)」#11
第十一話「神技」
見上げると透き通る冬の青。北から鳴る風はその音色だけで耳たぶを揺らすには至らず、しかし、正面の、視界の先の南、東京湾からの潮風が凍える体にさらなる試練を突きつけていた。岸壁に立ち向かった冬の波は縦に弾けて潰れて、止まることなく落ちる。発破によく似た音塊が飽くことなく繰り返されていた。
東京、晴海埠頭。
招かれざる災厄、地球の進化外生命体とされている、超大型の類人猿、もし