(E55) コロナ禍が峠を越えても、経済の「V字回復」を目指してはいけない理由 (2020.3.28) by 鈴木明彦 より抜粋加筆しました。
⑴ パンデミック(世界的大流行)が起こった背景には以下がある
①世界貿易機関(WTO)加盟後の中国経済の成長
②グローバル化の進展
中国が感染源となった2002~03年に流行したSARSと比べると、今回は感染が一気に世界中に広がりました。
その理由としては以下です。
①気が付かないうちに感染が広がりやすい以下の特徴があります。
ⓐ新型コロナウイルスが感染しても症状が現れないことが多い
ⓑ潜伏期間中でも人に感染することもある
②今や中国の各都市は直接世界各国と結ばれ、人の行き来が盛んになっている
新型コロナウイルスの感染の広がりは、中国が推し進める一帯一路の広がりと重なり合います。
③SARSが流行した頃と比べて、世界経済に占める存在感が格段に高まっている
中国は、世界のGDPの15%程度を占める世界第2位の経済大国であり、世界の輸出の1割強を占める世界一の輸出国です。
グローバルなサプライチェーンの重要な一角を担うようになっています。
⑵ グローバルエコノミーはコロナショックで逆流する
アジアを中心に感染が広がっていた新型コロナウイルスですが、欧米や中東・アフリカなど世界中に広がってきました。
結果として、
感染を阻止するために人の移動や経済活動を止めてしまう対応が世界に広がり、世界経済に大きなダメージを与えることになりました。
グルーバルエコノミーの流れに逆行し、
各国が国内経済に回帰するのだから、経済活動に与える影響はこれまで経験したことのないものになるかもしれません。
さらに、経済活動が止まってしまうので、企業も個人もお金が入ってこなくなリます。
現金収入が枯渇した企業は、手元に現金を確保しようとします。
資金調達市場がひっ迫し、資金が調達できず、資金繰り倒産する企業が出てくるようになると、信用不安が連鎖します。
また、仕事がなくなったり、会社を解雇されたりと、お金が回らなくなる人も出てきます。
⑶ コロナショックは短期的「V字回復」は避けるべき
今やるべきことは、まず感染を抑えること。
有効な治療法やワクチンの開発が最も重要な対策。
ただ、これには時間がかかるし、ウイルスを完全に制圧することにはなりません。
一度は収まっても、また感染が広がってくることは覚悟しなければならない。
スペイン風邪のときも、流行は3回にわたって起こりました。
しかも2回目の流行で、致死率の高い悪性のウイルスに変異したそうです。
中国では、経済活動を再開する動きが始まっています。
ただ、経済活動を再開するタイミングは、遅すぎても早すぎてもいけません。
1~3月期の落ち込みを取り戻すべく、V字回復を狙って大型の経済対策を打つことは適当でありません。
無用に感染リスクを高めるだけです。
真っ先に中国が、一抜けしそうです。
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