(H39) テスラが作っている車は、いわば「車輪の付いたスマホ」-3 by 三戸政和 より抜粋加筆しました。
⑺ EVにおいては、テスラが圧倒的に有利だということはだれもが認めるところ
理由は2つ。
①テスラのEVに対する市場や専門家の評価が高く、何より、ユーザーの評価が高いこと。
テスラのEVに他のメーカーが追いつくには、まだまだ時間が掛かるでしょう。
②テスラが作っているのは単なるEVではない。
テスラが作っているのは、いわば以下です。
「車輪の付いたスマホ」
モデル3の運転席は、極めてシンプル。
ハンドルなどの必要最低限の操作機器に加えて、15インチのタブレットがあるだけ。
このタブレットを通じて、車の操作のほとんどは行われます。
タブレットの中にあるソフトウェアが、EVのすべてを制御します。
ソフトウェア次第で、
テスラのEVはスポーツカーにもなるし、単なる移動のための箱にもなり得る。
要するにスマホと同じ。
ソフトウェアは通信によって、常に最新のシステムにアップデートされます。
不具合が見つかれば、すぐに改良される。
テスラのEVは、車でありながら、ソフトウェアが更新されるたびにどんどん新しくなるのです。
⑼ イーロン・マスクの営業戦略とは
イーロン・マスクは地球環境とエネルギーの問題に敏感であり、
持続可能なエネルギーを使った交通手段の確立のために、一貫してEVが社会に必要だと考えてきました。
しかし、テスラ以前のEVは、
「遅くて、ダサくて、航続距離の短い」車でした。
EVを社会に普及させるには、EVに対する世間の固定概念を打ち破る以下が必要でした。
「速くて、格好良くて、航続距離の長いEV」
そんなEVを作る、それが彼の営業戦略。
そして、それを作ったからこそ、テスラのEVは市場に受け入れられました。
移動産業が見据えるべきは、
人々が快適な「移動」のために何を必要とするか。
さらに言えば、移動の箱の中で過ごす時間を、
どうマネタイズするかを考えなくてはいけない。
これを的確に捉えているのが、テスラなのです。
つまり、イーロン・マスクは、
所与の条件の中で、この社会に本当に必要なもの、人々の生活に必要なものを明確に描き、それを形にしました。
それが、彼の営業戦略になりました。
それが、社会や人々の求めるものと一致したからこそ、
テスラには営業が不要になったのです。
テスラのEVは、
この社会や私たちの生活に必要なものを考え抜き、自動車業界が置かれている時流を見抜いた上で、さらにユーザーのエクスペリエンス志向も踏まえて作られています。
然るに、
これらの環境の変化を考慮した末に導き出されるのが、
「もう営業はいらない」という結論なのです。
圧倒的に商品価値を上げる戦略。
そして、新たな現象や存在に言葉が与えられると、一気に普及することが多い。
最近普及した言葉が以下です。
❶インサイドセールス
❷セールステック