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紀元前の地中海・黒海のアーリア人奴隷貿易(Ⅳ)ー 古代ローマの食材づくり、Making Ancient Roman's foodstuff

【白人奴隷貿易】120万のヨーロッパ人が犠牲となったアフリカ海賊による奴隷制の歴史

上の動画は、七世紀以降の話。このお話の舞台は、紀元前63年頃の共和制ローマの頃。この頃のローマは、ローマ市民権を持つローマ人が人種ヒエラルキーのトップだったが、決して、有色人種差別をしていたわけではない。

だから、有色人種(セム系・ハム系・アラブ系も含めて)のローマ特権支配階級が、コーカサス系の金髪碧眼の奴隷を持つ、ということも多々あったのである。もちろん、共和制ローマは、奴隷基本性の経済社会だったので、社会階層が下であれば、ローマ人種であろうとも奴隷となったのである。

小説「奴隷商人(Ⅰ)」の登場人物を借りて、ローマ時代の食材に関してお話いたします。

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 その日もムラーは日の出から起き出し洗顔を済ませた後、母屋のベランダに出て朝食を食べだした。六時半くらいに漁民のパトロヌスの長のペテロが顔を出した。「ムラーの旦那さま、今日は新鮮な魚で作ったガルム(garum、ローマ時代の調味料、魚醤)ができましたので、大瓶二本、キッチンに置いておきましたよ。それから、今朝採れたての地中海マグロの尾の身もね」

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「おお、ペテロ、それはありがたい。お前のところのガルムは味がいいからなあ。あれで酢と胡椒とオリーブオイルでマリネしたマグロのステーキは最高なんだよ。お返しと言っちゃあなんだが、私のところのオリーブオイルを持っていけよ」
「ムラー様、旦那さまの料理長からもういただきました。大瓶三本も。儂の店子の漁師共も喜ぶでしょう。旦那さまのオリーブオイルは上質ですからな」

MAKING OLIVE OIL IN ISRAEL

Shalom Sesame: Making Olive Oil

「おまえのところのガルムもそうだが、大量に作ると品質管理しやすいんだよ。それに私のところはオイルの濾過に素焼きの陶器と炭を使っているからな。綿布で濾すよりも透明度が上がるんだ。ガルムを濾すにも使えると思うよ。今度、やり方を教えてあげよう。まあ、朝食でも食べていってくれ」とムラーは自分の横の椅子をペテロに指差した。

「おお、旦那さま、遠慮なく。お宅のパンときたら、フワフワして、あの岩のようなウチのパンとは大違いでさぁ」
「それはな、私も偶然発見したんだが、ウチの料理長がパン種を作って濡れ布巾でおおっていたんだ。そこへ、奴隷女どもの喧嘩の仲裁とかで、パン種を数時間放っておいたそうだ。戻ってきて、濡れ布巾を剥がすと、パン種が膨らんでいた。『こりゃ、使い物にならないや』と捨てるところを私が通りかかって、膨らんだパン種を焼かせたら、中がフワフワして、洞穴のような穴が無数に空いている、柔らかいパンになったんだ」
「へぇ~、不思議なことが有るもんですね?」
「それでな、いろいろ研究して、まず、そのパン種をエジプトガラスの瓶に保存させた。たぶん、一、ニ日でわるくなるんで、毎日新しいパン種にその種をなすりつけておくんだよ」

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「毎朝、その日のパン種3リブラ(古代ローマの重さの単位、1リブラは328.9 g、3リブラで約1キロ)にその膨らむパン種をスプーン五杯くらい混ぜる。暫くこねてから、濡れ布巾をかけて一時間くらいおくと、ニ、三倍に膨らむんだ。その膨らんだ種からガスを抜いて、小分けする。小分けしたら季節によるが、夏なら二十分、冬なら四十分くらい放っておく。そうするとまた膨らんでくる。焼く前にオリーブオイルかバターを刷毛で塗って、焼いたのがこれさ。ペテロにも分けてやろう。料理長に言いなさいな。どう保存するか教えてくれるよ。保存するのは素焼きの壺はダメだぞ。水分を吸っちまうから。陶磁器の壺がいいだろうな」

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「ありがとうございます。これは良いことを聞いた。なんせ、ウチのパンは岩みたいに固くて、儂も年だから、歯が欠けますわい」

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「そういやぁ、年で思い出しましたが、儂の嫁も去年亡くなって、儂は独り身なんです。若い後添いをもらって正妻にすると、息子娘と遺産争いが起こります。旦那さま、性格のいい奴隷はおりますかいな?夜伽もできるような?」
「ペテロ、お前も四十過ぎで元気だな」
「五十の旦那さまに言われたくないや。もう、四十ですから、生きられて後数年でしょう。とびきり器量よしなんて贅沢は言いませんから、一人、斡旋していただけませんか?」

 そこへ宦官頭のナルセスが通りかかった。ムラーはナルセスを呼び止めて「ナルセス、ペテロの旦那がな、奥さんが去年亡くなって、夜が寂しんだとさ。後添いの代わりにウチの奴隷で適当なのがいるかね?」
 
 ナルセスはペテロの頭から足元までジッと観察して「ペテロの旦那、夜伽は激しいのがいいんですかい?それともおとなしいのが?」と遠慮なく聞いた。「昼は淑女のようで、夜は娼婦のような女がいいなあ」「ペテロの旦那、都合のいいご要望ですね。でも、ちょうどいい女がおりますよ。ムラーの旦那さま、パトラはいかがでしょうかね?」

「パトラ?あのエジプトのパトラか?あれは確か、今年で十八になるんじゃなかったかな?ちょっと、年がいっているんじゃないか?ふむ、まあ、ペテロは四十だからちょうどいいか?器量もいいし性格もいい。料理もうまいしな」とムラーが言うと、宦官頭のナルセスは、
「パトラは、私が夜伽を仕込みましたので、バッチリでさあ。ペテロの旦那が腹上死してしまいますよ」と答えた。
「確かに。確かに。あいつはまさに夜は娼婦のような女だからな。昼間の貞節さ大人しさとは真逆だ。どうだい、ペテロ、エジプト女なんだが・・・まあ、見てもらおうか。ナルセス、パトラを連れてきてくれ」

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