SEKAI HOTELに学ぶ地域資源を活かす仕組み
講師をお招きして先進事例を学ぶ講演会を
滞在型地域課題解決プロジェクト『横から交差点』の事業の一環で開催させて頂きました。
登壇者は 大阪府の布施と富山県の高岡にて
商店街まるごと“まちごとホテル”を行われている『SEKAI HOTEL株式会社』『クジラ株式会社』代表取締役の矢野浩一さんに登壇してして頂きました。
まちごとホテルとは?
まちごとホテルの中でも
SEKAIHOTEL について詳しく知りたい方はこちら ▼
矢野浩一さんプロフィール
クジラ株式会社 SEKAIHOTEL株式会社 代表取締役社長
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目的
僕たちは、【地域課題を軸に地域に関わりたい人が、地域の資源を活かして、課題解決をしながら継続的に関わっていける仕組みを構築する】という未来を目的に "横から交差点" というプロジェクトを立ち上げました。
プロジェクトを開始し、進める中で、SEKAI HOTELがこれまで「街全体で地域課題を解決していく」というストーリーと実績を積み重ねてきたことは、非常に参考になると考え、社内で共有する機会がありました。
規模は異なるものの、地方でも同じような空き家の課題があり、既に先進的な取り組みを行っているSEKAI HOTELからの学びを深めたいという思いが強くなり、今回登壇者として招待させていただきました。
このテーマにした理由
地方において地域課題を起点にした継続的な仕組みの構築は、日々その重要性を増しています。そこで地域の資源を活用して他地域での再現性も考慮された事例からの学び、空き家に限らず地域資源を活かした新たな仕組みづくりについて、地域のみんなで考える機会をつくりたいと考えました。
地域資源を活かす仕組みとは?
SEKAIHOTELの紹介はもちろん、大きく以下のテーマについてお話をお聞きすることが出来ました。
地方が認知されるために
解像度を高めるコンセプト設計
原因を何とするのか
どういう思考でSEKAIHOTELを行っているのか
地方が目指すべき場所
地域課題解決の際に引っかかる4つの障壁
SEKAI HOTELが目指すもの
講演会には、8割以上が事業者の方でのご参加をいただけました。不動産業やホテル業、小売業から飲食店を経営されている方まで、幅広い分野の参加者が集まり、講演会は幕を開けました。
1. 地方が認知されるために
地方が知られるためには何が必要だと感じますか?
誰に聞いても "PR” という回答が返って来ます。
日本全国どこでも素敵な魅力で溢れてはいるのですが、行った事が無い方からすれば個性が無いなと思われてしまいます。
抽象度の高い魅力ではなく
もっと分かりやすい個性がないと地方が認知されるくらいのPRは出来ません
2. 解像度を高めるコンセプト設計
SEKAIHOTELのある東大阪も含め、日本全国大体の地域PRはめちゃくちゃ分かりづらいです。
ホテル業ということもありますが、地域のPRをする上で "行きたいと思ってもらえるように何をするべきか" を常に考えています。
その為、『何を楽しみにして行く街なのかを再設計して発信する』ということを会社のノウハウとして展開しています。
どう楽しめば良いのかを分かりやすく発信する。
その副産物としてインフルエンサーから取材依頼が来たりするようになっていきました。
3. 原因を何とするのか
地域を盛り上げるためのやり方は様々なアプローチ方法がありますが、原因を何とするのかから決めていかないと解決に紐付ける施策をすることは難しくなっていきます。
結果には何かしらの原因があるのでそこに焦点を当てて解決策を導き出すようにしましょう。
例えば
「熱が40度以上あるんだよね。」
これは結果でしかありません。
その結果には「服を着ていなかったのか」「布団が無かったのか」など様々な原因があります。
その様々な原因の中で何を原因とするのかで行う施策も変わってくるので、原因を見極めることが大事です。
4. どういう思考でSEKAIHOTELを行っているのか
SEKAIHOTELは3つの思いを軸に行っています。
1つ目はただ外貨を稼いでいくだけでは面白くないという事です。
外貨を稼いだ経済効果が地域の他の人の商売に波及効果を生むことをやりたいと考え運営を始めました。波及効果を期待せず、その1つでも外貨を集められれば良いのであれば大手の飲食店等を連れてくれば解決することが出来ます。
2つ目は多様な雇用がしたいということを考えています。
正社員は勿論のこと、学生や主婦を雇用したり、アルバイトや業務委託も含まれます。今ではインターンシップを重点的に取り入れているのですがこれは特に導入してよかったと感じているので皆さんも是非取り入れたほうが良いです。
3つ目は街中の保存や空き家の活用をしたいと考えています。
街中の保存や空き家の活用をしなければ、解体から新しく建築まで可能な大手ホテル等が解決してくれます。大手の目に留まらない地方では いかにコストを掛けずに地域経済に波及効果をもたらすことが出来るのかを考えています。
そして以上の3つを全て解決できるビジネスモデルが現状SEKAIHOTELしか無いと考えています。
地域課題を一つ解決すると隣の地域課題も解決するという事例も合ったので共有します。
例えば1つ目の「地域経済にこれだけ波及効果があり、これだけのお店と連携してます」となった場合、メディアに喜んでもらえる話題を提供することとなり、費用をかけずとも相手からメディア露出をして頂けます。
また、2つ目の 多様な雇用をしたい という思いから始まったインターンシップでは10代のかっこいい若い人が地元で働いているとなると子供の将来の選択肢が全く違うことになっていると感じています
地元の優秀な中学生・高校生が地元に残って仕事をする場合
「公務員・JA・地元企業・家業を継ぐ」の4つの選択肢になりがちです。
決まった将来や選択肢の少なさがなんとなく嫌だという気持ちから東京に行く地方の学生が多いがその思いは実は小学生から感じていたりします。
そういった思いを払拭させるために子どもたちのためのイベントをやっています。
5. 地方が目指すべき場所
シビックプライドの醸成がなにより大切。
「自分たちの街めちゃくちゃ良いよね。」と誇れる街にしていきたいです。
これが無い場合、地域がどんどん元気がなくなっていく原因となってしまいます。
外から来た人が自分たちの街を楽しんでいるのを見て
「やっぱ自分の街って良い街なんだ。」と再確認できる機会となります。
6. 地域課題解決したい方が引っかかる4つの障壁
1. 資金調達・補充
お金や物件などの資産をどうやって集めるかはその人次第ではあると思いますが、SEKAIHOTELを始める際には現役引退された方を回っていきました。
何処からでも集める意欲が大切で、青年会議所にも実際にお話して協賛を頂きました。
2. 空き家の改修
空き家の活用は専門的な知識や経験、センスも必要になってくるので、専門家の意見が必要になります。
3. 人材の育成
採用も勿論大切ではあるのですが、どのように『若い子の雇用をするのか / その人材を育成していくか』も大切になっています。インターンシップは全国から若者がくるので活用したほうが良いです。インターンシップで学びを用意して「来て良かった」と思ってもらうことで雇用につながることもあります。
4. 集客活動
「SNS / 予約サイト / 広報活動 / 広告」以外での集客が必要と考えています。
自社で注力しているのは「その地域でライターを育成すること」です。
発信力を持っている現状のプロは地域や地方の魅力に対して距離が遠い人が多いです。物理的な距離に対してもそうですし、人間関係としても遠い距離にあることばかりです。
地域・地方の魅力を持っている人は自ら発信を出来ない人が多いため、魅力を持つ本人または隣りにいる人が発信力を持つことが非常に大切です。
7. SEKAI HOTELが目指すもの
ホテルだけど "HospitalityではなくFriendshipで築く関係" です。
一方的におもてなしするのではなく、地域住民・観光・SEKAI HOTELが相互に効果を生み出すような良い人間関係を築き、1つのコミュニティになることを目指しています。
都会でも観光地でもない地方に行く人は、一方的なおもてなしよりそこに友達ができるような体験を求めています。
そしてその先に国籍も世代も障害者・健常者で隔たりのないゆるい時間が流れるセカイ「No Borderなセカイ」を思い描いています。
(こちらのページ下部にイメージ画像があります。)
質疑応答
インターンシップの狙いはなんでしょうか?
お金を持っている人たちとはどのようにコネクションを取りましたか
国内20ヶ所の目標を達成した後のビジョンはどのようなものですか?
まとめ
実際に地方で活躍されている矢野浩一さんの講演会は、地域活動を行う僕たちにとって非常に価値あるものでした。
今回の講演会では地域に焦点を当て、矢野さん独自の経験に基づく具体的な解決策を参加者の皆さんに共有してくださいました。
矢野さんならではの洞察力に裏打ちされたアプローチは、参加者にとって未知の回答であり、その質の高さに参加者のペンは止まることを知りませんでした。
来場者の質問もリアルで具体的であり、講演会全体で双方向のコミュニケーションをとれており、有意義なものとなりました。矢野さん本人からも今回の講演会について非常に嬉しいお言葉を頂戴しました。
この講演会を通じて、地域課題解決の複雑さや、その先に広がる充実感を実感出来ました。また、矢野さんをきっかけに参加された皆さんが共に学び合える仲間たちとの出会いもあり、地域貢献への意欲が一層強まったのは言うまでもありません。
様々な地域や業種の方々が参加し、お問い合わせも多数いただだき、関心の高さを実感しました。そして、参加者にはこのSEKAI HOTELという横展開可能で地域全体を巻き込んで盛り上げることのできる地域課題解決に対する考え方を、地域の方々に知っていただき一緒に考えることができて嬉しく思います。
矢野浩一さんという素晴らしい先輩からの学びと刺激を胸に、これからも地域において価値ある活動を進め、共に成長していけるような場を築いていきたいと思います。
イベント風景
ビーコーズについて
2016年に代表が地元である青森県十和田市にUターン移住と共に創業し、地元であることを活かした4つの事業を行っています。
クリエイティブ事業:WEBアプリケーション開発、デザイン、WEBサイト制作を中心としたサービス提供。
エリアインキュベーション事業:青森県や十和田市の自治体と連携し、課題解決モデルの構築支援や、地域内の空き店舗を活用したスペース・コミュニティの運営。
飲食事業:コミュニティカフェ「second.」を通じて、地域住民との交流拠点として活動し、地域活性化に貢献。
スタートアップ支援事業:地方のスタートアップや経営継承者に対する経営、ブランディング、技術の伴走支援。
以上4つの事業を並行して行い、今この場所・この組織でしかできないことを形づくる活動をしています。
株式会社ビーコーズはこの地域において「自分の生まれ育った街を誇れない人」や、「自分の仕事や役割にやりがいを見出すに至らない」ケースが多い現状に変化を与えます。
すべての人を救えるような社会はないのかもしれませんし、人の想いや気持ち、はたまた行動レベルで変化を与えることがとても難しいことは百も承知です。 ただそんな社会に対して、少しでも自分たちが動くことで変化を生み出し、世の中に影響を与えていけるような組織でありたいと思っています。
株式会社ビーコーズ
HP|Facebook|飲食|コワーキングスペース
代表 / 村岡 将利
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ライター
㈱ビーコーズ|三部 暖(みべ はんと)
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編集
(株)ビーコーズ|村岡 将利(むらおか しょうり)
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