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【どうする家康】清須城が紫禁城に?むしろ史実通りじゃボケェ!CGをバカにするほど制作側の思うツボな罠。第4回「清須でどうする!」深掘り

NHK大河ドラマ『どうする家康』第4回の深掘り感想です。
前回の感想はこちら↓

(※以下、ネタバレ注意)

現代人がよく知る「清洲城」こそナンチャッテ?天守閣が無い史実通りの「清須城」登場!

週の真ん中でこんばんは。またまたドラマを2周してみての感想を繰り広げていくんですけど。

まず今回の記事サムネイルに使ってるのは紫禁城(中国)の写真ですが。「あれ、こっちの写真の方が『どうする家康』の清須城っぽい」とか思いません?

そうなんですよ。前回の雑感で「清城」の写真をサムネにしたら、なーんかドラマの映像とズレてるんですよ。

というか、この時点で気づいた人もいるかもしれませんが、ドラマに出てきた「清城」と、現在、愛知県清須市に建つ「清城」は違います。「」なのか「」なのか……って、もう漢字表記の時点で違っていますが。

まず現代の方の「清城」ですね。立派な天守閣がありますけど、これは実は「模擬天守」と言われるもの。信長が建てた当時には無かったものだったそうなんです。

そもそも「清城」(ドラマで出てきた方ですね)が建った時点では、信長はまだまだ尾張の若造。資金なんてそんなに無いので、天守閣なんてもの建てる余裕はなかったそうなんです。

で、実際に信長が建てた当時のものってどんな城?ってものを見てもらうには、「清須城守護館」で画像検索してもらうと、当時の再現イラストが出てきたりなんかしますけど。例えば下のブログとかにも5枚目に掲載されてますね。

まじで平屋造りの一階建てです。つーことは……つまり「天守閣がねぇじゃねぇかボケェ!」と叫んでいた人の方が、史実と認識がズレとることに……。

まぁでも、「歴史ニワカ大河大好き勢」の僕だって最初は「あれ、何か変だなー?」ってなっちゃってましたから。ここで「ナルホドね」と思っていただければいいんですよw

「平屋造りは知ってるけど、あのハデさはフィクションだろ!」と言う勢。「心象風景」って言葉を知らんの?

「『清城』が平屋造りだったってことは知ってたけど、それにしても前庭が広すぎだろ!だから『紫禁城』って言ってるんだよ!」って言う方。

なるほど、実際の「紫禁城」の映像と、ドラマの「清城」との映像を見比べて見てください……実際の「紫禁城」の前庭の方がもっと広いからw

まぁ、ガチの「紫禁城」ほど広くはなくても、CGを使うことでだいぶデカデカと作られていたのは事実。実物とどれほどのサイズ差があるのかはわかりませんけれども。

ただ普通の人間だって、初めて見るドデカイものに対して、「うわっ、大きいな!」と思ったら、実物以上のサイズ感に見えてしまいませんか?

例えば僕も、小学生のころに修学旅行で長崎に行って「平和祈念像」を見てきましたけど。これ「本体が9・7メートル、台座が3・9メートル」って言われても、なんかめちゃめちゃでっかく見えたものです。「うわっ、9メートルってこんなにデケェの⁉」って思いましたもん。

それ以来僕は、「高さ9メートル」は「バカでけぇものの基準」みたいな感覚を持ってしまいましたが……これ実際、マンションだったら3階ぐらいの高さなんですって?

「マンションの3階」だったらそんなに高いと思いませんし。やっぱり、「モノ」として見慣れてるか・見慣れてないかでも全然感じ方は違ってきます。そして、それをドラマでどう表現するか。

ドラマでは元康(家康)とその家臣が門の前に立たされて、「なんじゃこれは」「これが織田家か」とか言ってたら、もう彼らには「心象風景」として、あのCG映像にあった通りの城が目に映っていたと受け取るしかないと思うんです。

でも実際、ドラマも2周目よくよく見返してみたら、いろんな角度から撮られていました。城の中まで入って、そこから振り返って見たら、案外そこまで門が遠くなかったりね。

「史実を無視して、本当にあり得ないくらいでっかいセットの中で撮影している」のではなく、あくまでインパクトをどーんと見せるために最初にCGを効果的に使い、以降は現実的なサイズの建物の中で物語が進行していく。そういうドラマの演出だと思うんですよね。

「ひどい」と言った時点ですでに罠にハマっている!クソバカ(※褒めてる)CGに込められた狙いとは

そもそも、この「心象風景」というワードですが、『どうする家康』というドラマを読み解いていく際には、かなり重要なものになっていくと思うんです。

実際、『歴史探偵 どうする家康コラボSP』とか大河の関連番組の中でもすでに話題に上がっていました。

番組内では尾張(織田領)、三河(松平領)、駿府(今川領)、甲斐(武田領)という各国のイメージイラストが紹介されていましたけど。例えば織田の「津島とその周辺エリア」を描いたイラストでは上空にカラスが飛び交っていたりと、物々しい雰囲気。そうやって国の美術そのもので、織田信長というキャラクターの心象風景を表しているということが語られていましたね。

ちなみにそちらの絵は、『NHK大河ドラマガイド どうする家康 前編』の「どうする家康 美術の世界(114P~)」にも掲載されていますので、気になる方はぜひご覧あれ↓

でもまぁ、「書籍や関連番組を観なきゃ意図がわからない」という話をしているわけでもないです。

別にそういうところの解説を見なくても、本編を見るだけで十分。今回の大河の映像づくりへの姿勢がちゃんと示されて、誰の目にでも明らかになったのが、第4回の物語だと思うんですよ。

さすがに3回、4回繰り返したら、もう例のCGが「現実の映像じゃない」ってことはわかるでしょう。いまだに「リアリティが無い、ヘタクソCG!」とかって言っちゃいますか?だからそもそも、製作側は最初から、そういった演出にリアリティなんて追及してなかったの!

そりゃ僕だって、第1回から「馬が上下運動しかしてない」だの「空の様子がゲームっぽい」だのってSNSで言われてて、一緒になって「ひどいよねーw」なんつって笑ってたんですけれども……。

第4回にして「ああ、もうこれはむしろ意図的にやってたんだ」というのがわかる展開になっていたんです。この、非現実的に見えてしまう違和感こそが、「これは心象風景を表してますよ」っていう合図だったんですね。

別に、それ自体が「完全に新しい表現手法」というわけではないです。言ってみれば、それこそ『源氏物語』のような古い時代から使われていた伝統的な手法ですね。

あれも、物語の中でしょっちゅう雨の描写が出てきますが、「こんなに雨ばっかり降ってたら作物も何も育たんだろう。宮中だって腐り果てて倒壊してしまうわ」なんて真面目にツッコミを入れる人はいないわけです。『源氏物語』こそ、「雨」という心象風景の描写を用いて、登場人物の心情を表現していると言います。

要は、「『どうする家康』のCGがヒドイ、リアリティが無い」なんて批判は、『源氏物語』に対して「天気が雨ばっかでヒドイ」と、演出には気づいていながらその意図が何もわからず文句言ってるのと同じだったというわけですね……完全に、製作側の罠にはめられてしまったと。まるで、織田信長の桶狭間の罠みたいにね……もう首も取られているのかもヨ。

清須の町を見下ろせる丘は無いが、それすら意図的な可能性もある

最後に、元康とお市が、馬で高台に登って清須の町を見下ろすシーンがありましたが。あれについても「清須は平地だ。そんな丘はどこにも無いぞ」と話題になっていました。あれは製作側のミスなんでしょうか?

でも、あれも個人的には意図的である可能性があると思うんですよね。そこまで高くなくても、ちょっと建物の屋根が連なって見える程度の位置からでいいです。どこまでも続く建物が見えるとすると、やはり心象風景としてあのような映像に見えて、「清須が、これほどまでに栄えているとは」というセリフが出てきちゃうと思うんです。

逆に、見る位置が高すぎてもダメです。そうすると、国の境や海なんかが見えてしまいますからね。境界が見えた途端に「ああ、この程度か」と落胆する気持ちが出てしまう。

そういえばかつて、20世紀初頭のアメリカの小説家、スコット・フィッツジェラルドなんかも、エンパイア・ステート・ビルディングに登り、ニューヨークという大都会の限界を知ってしまって絶望した、なんて話もありましたっけ……って、急に時代も国も違う話になってしまって恐縮ですが。

でも逆に、境界が見えなければ、「どこまでも続く、どこまでも栄えた町」と錯覚してしまうのも無理はありません。やはりあれも「製作側のミス」なんかではなく、「元康の心象風景だったのでは」と思えてならないのです。

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