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読書備忘録

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2020年7月の記事一覧

美しい刺繍小説〜水を縫う(30-50)

もう「雨はたくさん!」そんな気持ちになる日本列島、今週は北陸・東北地方に雨の被害が出ています。心からお見舞い申し上げます。 さて横になっている時間が多い私ですが、今週2冊目を読み終えました。 図書館司書さんからお勧めされ、表紙のイラストと本の帯に書店員さんたちの応援コメントに惹かれたからでした。 松岡清澄、高校一年生。一歳の頃に父と母が離婚し、祖母と、市役所勤めの母と、結婚を控えた姉の水青との四人暮らし。学校で手芸好きをからかわれ、周囲から浮いている清澄は、かわいいものや

奈落で踊れ(29-50)

今週も始まりましたが、蒸し蒸しして、雨に向かうようです。 昨日は頭痛が酷くて、半日横になったのですが、どうも調子が悪く本を読んでもなかなか進みませんでした。特に私にとって苦手とする金融や省庁を舞台とする作品だったので余計かも知れませんでしたが。 夜読み終えたのは、この作品です。 一九九八年冬、接待汚職「ノーパンすき焼きスキャンダル」が発覚した大蔵省は大揺れに揺れていた。接待を受けていた八九年入省組は処分を逃れるために、同期で“大蔵省始まって以来の変人”の異名を取る文書課

強い衝撃と私なりの覚悟 (28-50)

本当なら東京五輪で日本中が沸いているはずだった今日、小康状態であろうと予想していたcovid-19の感染状況の凄さに今更ながら、再び恐怖を感じています。 そして、昨夜読み終えた薬丸岳氏の新刊にも、強い衝撃を受けてしばらく何も手につきませんでした。 一夜明けて冷静にその作品に向き合って、この作品を皆さんに紹介したいと思います。 飲酒運転中、何かに乗り上げた衝撃を受けるも、恐怖のあまり走り去ってしまった大学生の籬翔太。翌日、一人の老女の命を奪ってしまったことを知る。自分の未

イエロー・サブマリン (27-50)

今週も始まりました。朝から防災無線は熱中症予防の放送が続いています。そろそろ梅雨明けでしょうか。 さて日曜日に読み終えた作品を紹介します。 その作品とは小路幸也氏の「東京バンドワゴン」の新作です。 続いているシリーズで第15作目というのはかなり長いのではないかと思います。今回も堀田家のほのぼのとした騒動(?)が楽しめる作品でした。 四世代が同居する堀田家には、今日も不思議な事件が舞い込む。伝説の作家のアトリエに潜む秘密、紺に届いた盗作を訴える手紙、古本を定期的に買っては

うちの父が運転をやめません(26-50)

夫がゴルフに出かけ、一人のんびりと過ごす日曜日の朝です。皆さんいかがお過ごしでしょうか? 昨日読んだ本「うちの父が運転をやめません」は、まさに高齢者の運転が色々と問題になる中、ご時世をうまく小説化する垣谷美雨氏の作品です。 実は私も先日安全装備のついた新車を買ってもらいました。 田舎町に住んでいますと、自分たちだけでなく高齢者の家族がいれば買い物だけでなく通院にも自家用車は必須だからです。 そこをどううまく小説化されたのか興味深く読みました。 「また高齢ドライバーの

巴里マカロンの謎(25-50)

こちら少し雨が少なくなってきて、気持ち梅雨明けに近づいたのではと期待させる日が続きます。 昨夜noteからのお知らせがありました。 自分の記事を書くのが精一杯で、なかなか皆さんの記事まで辿りつかない私の記事に多くのスキをいただきました。心から感謝です。 7月からカウントダウンした半年で50冊読書も早くも25冊に到達しました。 昨日読み終えたのは、米澤穂信氏の<小市民>シリーズと言われているもので春夏秋冬に発表され、本作はその4作目の新刊です。 この<小市民>シリーズ

友達以上探偵未満 (24-50)

週末に向け、図書館に予約していた本が貸し出し可能になってきたので、借りてきた積読本をなんとかこなしている感じですが、昨日読み終えたのは初読み作家 麻耶 雄嵩氏の2年前に発表された作品です。表紙を見た感じはヤングアダルト作品のようです。 三重県立伊賀野高校の放送部に所属する伊賀ももと上野あおは大のミステリ好き。ある日、部活動で訪れた伊賀の里ミステリーツアーで事件に巻き込まれる。探偵に憧れる二人はこれ幸いと、ももの直感力とあおの論理力を活かし事件を解決していくが…?(「伊賀の里

この恋は世界でいちばん美しい雨(23-50)

今週は雨が降ったり止んだりとまさに梅雨らしい日々が続いています。生き物には必要な雨ですが、それも過剰だと困り物です。 大雨での被害はまだまだ続き、予断を許さない状況ですね。どうか皆様もお気をつけください。 私もこの天候に体調が今ひとつの日もありますが、7月に入って、週に3日ジムに行くように気をつけています。身体を動かすことで睡眠を深くしたいからです。 それ以外はほとんど読書かSNS、夫とTV視聴で日々を過ごしています。 昨日読み終えたのは脚本家でもある宇山佳祐氏の作品

夜の向こうの蛹たち(22-50)

今週は図書館から新たに5冊借りてきました。そのほとんどが講談社のwebサイトtree で公開されているDaytoDayに登場された作家たちの作品です。 昨夜読み終えたのは近藤史恵氏の作品です。レズ志向の作家が主人公なのでちょっとドキドキしつつ読み始めました。 小説家の織部妙は順調にキャリアを積む一方、どこか退屈さも感じていた。そんなある日、“美人作家”として話題の新人、橋本さなぎの処女作に衝撃を受ける。しかし、文学賞のパーティで対面した橋本の完璧すぎる受け答えに、なぜか幻

ステップ(21-50)

雨の月曜日、今週も始まりましたね。いかがお過ごしでしょうか? 今日紹介するのは前回借りた最後の本で、先日映画館で映画を観た際、広報されていた映画の原作です。 結婚三年目、突然の妻の死。娘と二人、僕は一歩ずつ、前に進む――娘・美紀の初登園から小学校卒業まで。「のこされた人たち」の日々のくらしと成長の物語。(「BOOK」データベースより) 目次 ケロ先生 ライカでハロー・グッドバイ あじさい キュウリの馬に乗って サンタ・グランパ 彼岸過迄 バトン ホップ、ステップ ジャ

誘拐屋のエチケット(20-50)

今朝は小雨が降っていましたが、やっと少し太陽が顔を出してくれるようになりました。夫はゴルフに出かけました。先日の術後3ヶ月の検査の結果が良好で、普段通りの生活で良いと言っていただいたからのようです。私はもう少し気候のいい時に出かけた方がいいのになと思ってしまうのですが。 さて昨夜はTVドラマ「ルパンの娘」で一躍脚光を浴びた 横関大氏の作品を読み終えました。 SNS炎上、不倫スキャンダル、借金まみれ。人生崖っぷちの人々を攫って匿って問題解決!それが、誘拐屋。腕利きの誘拐屋・

少年と犬(19-50)

連日の大雨被害のニュースで、多くの方が被災され、亡くなられたことを知り、日本が毎年天災から逃れられない国なのだということをしみじみと感じています。 こちらも今日は雨。私も雨の中月1回の通院です。 こんな状況で直木賞候補にもなっている馳星周氏の作品は、いつにも増してこんな時だからこそ犬のように人間でない家族の力の大きさを伝えています。 家族のために犯罪に手を染めた男。拾った犬は男の守り神になった―男と犬。仲間割れを起こした窃盗団の男は、守り神の犬を連れて故国を目指す―泥棒

雲を紡ぐ(18-50)

毎日TVをつけると、大雨の被害が画面いっぱいに映されて、胸が潰れる思いです。 被害に遭われた地方の皆様、私には何もできることがなく申し訳ない気持ちですが、どうか前を向いて生きていただきますよう、お祈りいたします。 さて今月中旬には芥川賞、直木賞の発表がありますね。すでに候補作も発表されていますが、皆さんどれくらい読まれたでしょうか? 今回直木賞候補作で図書館に納められていたものは、2作品しかありません。 そのうちの1作品、伊吹有喜氏の作品を読み終えました。 壊れかけた家

すべての瞬間は君だった(17-50)

おはようございます。今日は私の新車の納車日です。昨夜からワクワク、ドキドキしています。 そんな私が読み終えたのが、珍しく詩集、それも韓国の作家のものです。 今一部の韓国ドラマファンの間で話題になっているドラマの劇中にも登場しているというので、韓国でベストセラーになった作品です。 僕はもう君なしでは今までの人生を説明できないかもしれない―。君は僕の世界であり、すべての瞬間だったのだから。韓国のSNS、エンタメ業界が熱狂した胸がしめつけられるほど甘く、もどかしい運命のお話。