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夜の向こうの蛹たち(22-50)

今週は図書館から新たに5冊借りてきました。そのほとんどが講談社のwebサイトtree で公開されているDaytoDayに登場された作家たちの作品です。

昨夜読み終えたのは近藤史恵氏の作品です。レズ志向の作家が主人公なのでちょっとドキドキしつつ読み始めました。

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小説家の織部妙は順調にキャリアを積む一方、どこか退屈さも感じていた。そんなある日、“美人作家”として話題の新人、橋本さなぎの処女作に衝撃を受ける。しかし、文学賞のパーティで対面した橋本の完璧すぎる受け答えに、なぜか幻滅してしまう。織部の興味を惹いたのは、橋本の秘書である初芝祐という女性だった。初芝への気持ちを持て余す織部は、やがて「橋本さなぎ」の存在に違和感を抱くようになる。その小さな疑惑は開けてはならない、女同士の満たされぬ欲望の渦への入り口だった…。「第13回エキナカ書店大賞」受賞作家の最新作。(「BOOK」データベースより)

近藤史恵氏の作品は第10回大藪春彦賞を受賞した「サクリファイス」第13回エキナカ大賞を受賞した「スーツケースの半分は」を読み、好きな作風です。

今回は作家が主人公ということ、さらにレズ志向ということで、構えて読んだのですが、新人作家の謎ときのようにみせて、登場人物それぞれが愛する人をつかまえようとする愛憎劇の様でした。

深読みすると、人として追い求めるテーマ、愛、人生、恋、才能について、著者の考えが提示されていて、それを見つける面白さもありました。

偶然触れることになったものにも積極的に興味を持って、できる限り感性を磨いて受け取ろうとする。
たぶん、クリエーターには重要な資質だろう。
それでもどんなにインプットに熱心でも、文章を書く才能がない人はいる。
これはもう仕方のないことで、運動や美術、音楽に向き不向きがあるのと同じだ。努力すれば進歩はするが、もともとの資質が左右する。p105

まさに私が書く文章に向けられた言葉のようで、どきっともしたし、そうだろうなと苦笑してしまいました。

もちろん著者自身も日々努力されて、結果が出ているのでしょうが、やはり資質があるのだなと思いました。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。

covid-19、今回の大雨の災害等で大きな被害に遭われた方が、早くいつもの生活に戻られますよう心からお祈りしています。





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