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bandshijin 音楽ブログ

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音楽ブログ『∴bandshijin∵』の記事を紹介する記事集。
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#音楽

Yesterday The Beatles 昨日と今日に架ける梯子

Yesterday The Beatles 昨日と今日に架ける梯子

はっとするような音程の移ろいや響きの緩急。昨日と今日のはざまを揺らぎ、つなぐいつ聴いても世界の時事ネタであり続ける名曲、The Beatles『Yesterday』リスニングメモ。今さら? いえいえ、今から。何度でも。

たいくつ 井上陽水 望郷の哀歌

たいくつ 井上陽水 望郷の哀歌

井上陽水さんの歌に感じる「冷たさ」。現実の裏面を射抜く清涼感。等価交換の原則すら顔パスした絶対領域。鑑賞中だけは何者でもないことを赦され、歓迎される。「音楽=自己表現」への最たるカウンター。

朧月夜(唱歌) 倍賞千恵子の歌唱 霞の観念

朧月夜(唱歌) 倍賞千恵子の歌唱 霞の観念

2番の歌詞がおもしろいのは、「~も」で名詞を連ねきって、そのすべてが朧月夜に霞んでく風情を歌っている点です。「●●も××も△△も……すっかり日が落ちて霞んでしまうよ、おぼろ月夜」という意趣を感じます。昼間の陽光を反射した生きとし生けるもののテクスチャも、光の量が減って見えかたが変わるのです。

春よ、来い 松任谷由実 のぞみとの距離

春よ、来い 松任谷由実 のぞみとの距離

松任谷由実さんの傑作『春よ、来い』はなんとなく「いまが春」のときに思い出したり聴きたくなったりする歌のように思うのですが、あらためて歌詞をながめてみると、まだどこかでうずくまっている春、記憶のなかにある美しかった春、これからやってくるべき春を思わせます。

誰かが PUFFY、The Birthday 最高の己を見せてやれ

誰かが PUFFY、The Birthday 最高の己を見せてやれ

誰しも、誰かを必要としている。今のあなたがそのかたち・姿でいることにうなずきを与え、個人の現実を全抱擁します。「誰かが」と、あえて遠い呼称を主題にし自己や多己の理想と現実の高みを示唆する快心作です。

潮風のアリア くるり おおらかな時間の練磨

潮風のアリア くるり おおらかな時間の練磨

息が長くおおらかなセンテンスを波のように繰り紡ぎ岩が流動するような悠久なスケール感。歌詞のあちこちがつながり始点や終点がフレキシブルする魔法。胸熱なオルガンつながりで近作California coconutsと聴き連ねも好趣向。

勇気100% 光GENJI 等身大の不思議な錯覚

勇気100% 光GENJI 等身大の不思議な錯覚

複数の調を経由して元に戻ったとき、元の調なのに新しい調に感じる錯覚。かつての120%(あるいはもっと)が、未来の100%になる。作詞と作曲とはつらつとした集合ボーカル、元気が湧く神秘。

ロビンソン スピッツ 純白を汚す風

ロビンソン スピッツ 純白を汚す風

輪郭ゆらめく美しいアルペジオの浮遊感はまるで目を離すことを許さないかまってちゃん。空も飛べるはず、スパイダーとに渡るパラレルストーリーとスピッツ詩性の端っこを幻視。漂う宇宙船、スピッツよ。

 Tigran Hamasyan“StandArt”の魂に踊る 京都音楽博覧会2023(10月9日)の寸評

Tigran Hamasyan“StandArt”の魂に踊る 京都音楽博覧会2023(10月9日)の寸評

アルメニア出身の彼のピアノは静謐に、猛烈に、突飛に。ベースとドラムの艶かしさに衝動的にシートエリアを飛び出しました。これはダンス・ミュージック。街の音楽博覧会、京都汁を堪能・感動。

くるり 感覚は道標 全曲レビュー 足跡の海

くるり 感覚は道標 全曲レビュー 足跡の海

新しい創造の手法としてのバンド(きずな、しがらみ、運命共同体……)の再会、そこに憑依するもの。のぞむ未来、キャリア、この瞬間を足跡が映します。ここにも、あそこにも海。長文ですが、少しでもリスニングのお供になれば。

くるり『真夏日』 “ピカピカの新車”、感性の針のふるまい

くるり『真夏日』 “ピカピカの新車”、感性の針のふるまい

長い後奏がライブ映え。悠久な曲想の中、4分台に入る“直通電車はピカピカの”にハイライトを感じます。変化する観察の対象と体感が主題でしょうか。長大なサイズ感を接着する部分ごとの小違い・あるいは大違いの妙。

演奏をする・させる 手段の充実と目的更新の反復

演奏をする・させる 手段の充実と目的更新の反復

演奏をするのが好きだ。プログラミングって“演奏をさせる”ことなのか? “する”のも“させる”のも広義の演奏のもと、ひとつだ。手法を研ぎ、充実させ、楽しんで走りながら、目的を更新することだと思う。

ははうえさま 一休さんの純粋な真実

ははうえさま 一休さんの純粋な真実

拠り所なさげな調性感が親元を離れたいたいけな少年の心を映します。悪知恵が働き、いたずらっぽい造形を勝手に想像していたのですが、アニメ第1話を観るにとても“出来た”人物でした。仔猫に諭すさまを想像すると健気でなおグッと来ます。

らくだの国 PUFFY 斉藤和義 哀しみの知性

らくだの国 PUFFY 斉藤和義 哀しみの知性

キラキラとした目は安寧の立ち位置からの観察を思わせる。“はしゃいでる世の中”から遠く離れたところ、案外、心のこのあたり(己のなか)にあるのかもしれない。“らくだの国” “哀しみのない国”は、知性が生む幻影か、真実か。