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ヴェルデ@歴史・美術ライター
2019年6月10日 21:37
好きな仏像は、と問われれば、私は運慶の作った像を挙げるだろう。 たとえば、東大寺南大門の金剛力士像。 奈良への旅行で、間近で見た際、私は地面を踏みしめる足に向けて何度もシャッターを切った。 そこがちょうど目の高さにあったからだけではない。 重量感、力強さ、存在感…像の持つ様々なエッセンスが凝縮されているパーツと感じたからだ。 こんなに力強い像を作れる人が、日本にいたのか。
2019年6月13日 14:43
仏像、と一口に言っても、様々だ。 悟りの境地に達した如来、しなやかに体をくねらせ、アクセサリーをふんだんにつけた菩薩、武器を手にした恐ろしげな明王。 時代によって、また国によって顔が違うのも面白い。(父が出張先のミャンマーで撮った仏像は、アウンサン=スーチーさんにどことなく似ていた) そんな仏像を見て回りたい人に、僭越ながら是非読んで欲しいと思う本がいくつかある。・真船きょうこ『仏
2019年6月14日 10:35
いやあ、すごいものを読んだな… 昨日の夜から読み始めて一息に半分、そして今朝はその残りを、あっという間に駆け抜けてしまった。 書かれているのは、平家による南都焼き討ちと、そこからの興福寺の復興、関わった人々の懺悔と苦悩、そして救いを求めて生きる姿だ。 その中に、メインの主人公である悪僧範長と、その従弟で別当として高い身分にいる信円とが配置され、対比される。 範長は、摂関家という貴