あゆむ

小説、詩にクラシック音楽、クラシックギター、ロックにお酒に酒器に絵画に。好きなことにつ…

あゆむ

小説、詩にクラシック音楽、クラシックギター、ロックにお酒に酒器に絵画に。好きなことについてもの思うことについて。

最近の記事

蕗谷虹児×池永康晟『進化する美人画』展

蕗谷虹児記念館開館35周年企画の『進化する美人画』展に行ってきた。蕗谷虹児は元々女性誌の挿絵として女性像をたくさん描いていた、今で言う美人画の画家。その蕗谷虹児と、現在の日本画界において美人画というジャンルで人気を博す池永康晟を並べて新旧美人画の系譜、とまではいかずとも違いを確認してみようという展示会だ。元々大きくはない会場だし、展示規模は決して大きくはないものの、同じ美人画というジャンルでありながらも2人のスタイルの違いは大きく、時代性以上に作家自身の美人画(蕗谷虹児の時代

    • 忘却の功罪-カズオ・イシグロ『忘れられた巨人』

      ブッカー賞にノーベル文学賞と、錚々たる受賞歴を持つカズオ・イシグロ。その作品はいつもリアリズム的日常を描くようでいながら少しずつ現実からずれた位相に移行していき、深く人間の内面を照らす。その意味では本作は最初からある種のファンタジーである点で非現実的要素があることがわかりやすく、その分テーマもすぐ見えてくる。『忘れられた巨人』とタイトルにある通り、この作品では"忘却"が非常に大きなテーマとして扱われる。 人に過去を忘れさせる霧が満ちた国で、アクセルとベアトリスという人生も最

      • コロナ禍が変えたIngress 〜ハレの日とケの日と〜

        2021年。後世から間違いなく"コロナ禍"というひとつの時代の変わり目と言われるであろうこの年。そのコロナ禍も2年目に入り、右往左往試行錯誤しつつも国の施策や医療関係者の尽力、ニューノーマルとも呼ばれる新しい生活様式の浸透と慣れ等も含め、生活はどこかピリピリとした空気を残しつつも少しずつ平静を取り戻し始めたように思う。これまでのライフスタイルや社会や人との接し方の常識を突然に覆してしまったこのコロナ禍で、新潟という地方都市の、都市部分からわずかに外れた都市でないただの地方のA

        • 孤独の道行、吉田修一『国宝』

          吉田修一『国宝』。芸術選奨文部科学大臣賞、中央公論文芸賞をW受賞。先月audibleで『コンビニ人間』を読んで、今月は何を読もうかと選んだのがこの作品だった。先月は初audibleだったこともありとっつきやすそうなものを選んだけれど、今度は朗読で聞く意味がある作品をと思っていたところ行きついたのがこの『国宝』。九州の任侠の親分の息子として生まれながら、紆余曲折あって歌舞伎役者という道を選び、進んでいく喜久雄という人間を主人公とした大河ドラマであり、その周りの芸に生きる者たちと

        蕗谷虹児×池永康晟『進化する美人画』展

          コンビニ人間の"普通"と"普遍"

          村田沙耶香『コンビニ人間』。2016年、第155回芥川賞受賞作。芥川賞受賞作だからといって必ず読むわけではないのだけど、この本は受賞当時からずっと気になっていた。けれど他に読む本があったりそもそも読書量自体が以前よりグッと減ってしまっていたり、そんなこんなが重なり今まで未読のままきてしまっていた。この作品を知ってから実に5年に渡る、買ってもいないうちから読もう読もうと心の中で思っているだけのエア積読。 そのエア積読に終止符を打つきっかけになったのは、逆説的に最近の自分の読書

          コンビニ人間の"普通"と"普遍"

          10年目の3.11

          東日本大震災から今日で10年。あの日を境に日本中で様々なことが変わった。自分がいる新潟は直接の被災はしていないけど影響がなかったわけではないという微妙な位置で、被災者として直接語ることはおこがましいけれど、かといって何も思うことがなかったかというと当然そうでもない。自分は震災全体を語ることはできないし、被災地や被災者を代弁することもできないけれど、自分の目に見えた景色を少し書いてみたいと思う。 あの時、3月下旬になってようやく書き始めたブログは今も書きかけで下書きのままだ。

          10年目の3.11

          だけど、あれを、美しいと呼ぶことを知った

          稲刈りも終わりに近づく9月の下旬。道を走っていると、今年はやけに彼岸花が目に入る。田んぼ道の脇にずっと植えられて朱い花火の列になっているところもあれば、神社の脇にこっそりとかたまって咲いていたりする。あの家の庭にも、土手道のちょっとしたところにも、朱色の花が鮮やかに空に向かって手を広げている。10月に入った今でも、まだ至るところでその清々しい朱が自然と目に入ってくる。 こんなに色々なところに咲いてたんだっけな、とふと思う。これまで彼岸花はあまり咲いているのを見た覚えがなかっ

          だけど、あれを、美しいと呼ぶことを知った

          「I love you」を「月がきれいですね」と訳すなら、「I miss you」は「今、月を一人で見ています」くらいだろうか。今日は満月。

          「I love you」を「月がきれいですね」と訳すなら、「I miss you」は「今、月を一人で見ています」くらいだろうか。今日は満月。

          ビートルズ再発見

          なんのきっかけだったか、ここ数日ビートルズをよく聴いている。特に『Magical Mystery Tour』、『Yellow Submarine』と『Revolver』。ビートルズは父の影響で小学生の頃よく聴いていたが、中学生になり田舎に遅れてやってきたバンドブームに自分も飛び込んでいく中、BOØWYやJUN SKY WALKER(S)、THE BLUEHEARTSといったバンドに興味が移り次第に聴かなくなっていった。もちろんその後も曲単位ではたまに聴くことはあるものの、まと

          ビートルズ再発見

          Twitter開始10周年の日に思う

          朝目が覚めて、いつものようにTwitterを開くと通知が1件届いていた。 どうやら今日でTwitterを始めて10年が経つらしい。最初はなんとなく始めたTwitter、登録したのは確かに10年前の今日なのだろうけど、本格的に使い始めたのはそのもう少し後、多分2010年末~2011年初頭くらいだったと思う。その頃Facebookが一大ブームを巻き起こしていて、ビジネスでFBを活用して人のつながりを作ろうというのが流行っていた。その中で自分もFBを始めたわけだけど、合わせてTw

          Twitter開始10周年の日に思う

          夏は詩的だ

          意外に思われるかもしれないが、実は夏が好きだ。一般に夏から連想される海だの山だのバーベキューだのキャンプだのといったアウトドアとは縁がないし、実際それほど好きでもないのだけど、それらがなくても夏が好きだ。夏だからできる何かでなく、夏だからあるものゆえに、自分は夏という季節を好む。 夏の光のまぶしさと表情の豊かさ。早朝、景色を白く透き通った空気で迎えてくれる爽やかな朝日。空を雲を鮮やかなコントラストで青と白に映し出し、木漏れ日となっては暖かな色合いで影絵を埋める、真昼の力強い

          夏は詩的だ

          寝落ちて起きて ぼくらが持つ無限の抽象度

          寝落ちて起きて ぼくらが持つ無限の抽象度

          置いていかれたよ 月が音を吸い込んだ動かぬ夜に

          置いていかれたよ 月が音を吸い込んだ動かぬ夜に

          5月18日は言葉の日

          タイトルの通り、今日5月18日は言葉の日だということを知った。好きな言葉は色々あるけれど、一節何を紹介しようかと考えた時、いつも候補に出てくる詩がある。アイルランドの詩人W.B.イエイツのものだ。 「時」は燃えるローソクの 滴のようになくなっていく 山々と森はその日々を待つ それぞれの日々を あなたがたは、どうぞ、 モミから生まれた森の 昔の軌道から、お願いです 外れていかないように W.B.イエイツ『ケルトの薄明』より『時は滴り落ちる』抜粋, 井村君江訳 滴り落ち

          5月18日は言葉の日

          ようやく冬が来たか…。

          ようやく冬が来たか…。

          今この番組は、ちょっと心に痛かったな…。

          今この番組は、ちょっと心に痛かったな…。