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つれづれ

北海道に産み落とされてしまった若者たちにとって、親戚一同を始めとするオトナから見た最大の栄誉といえば、北大(北海道大学)に入ることと道新(北海道新聞)に載ることの二点であるのは言を俟たない。大学受験産業に関わる人が「どうも北海道の人たちは北大と小樽商大と弘前大しか大学を知らないらしい」と揶揄するのを聞いたが笑い事ではない。 というおよそどうでもいい話から書き始めたのは、北海道を出て茨城に住むこと今年で六年目のワタクシ、北海道新聞に五十嵐秀彦氏から「高校時代に北海道で俳句をや

    • 初鏡

      新年詠というものにはどうにも関心が湧かず、これまでほとんど書いたことがなかった。唯一の例外は二〇一四年の一二月二三日に、当時野方に住んでいた大塚凱の家に、杉山葵、今泉礼奈、小野あらたともども押しかけて句会をした折、あらたさんが「成木責」とか「投扇興」とかを席題で出したのでしかたなく書いた時で、翌年初春の「週刊俳句」に〈ぼろぼろの投扇興の畳かな〉というのが載っているのはこのときのものである。……というような記憶は、先日になってとある人がだしぬけに当該の句をそらんじてみせて、当の

      • 堀下年鑑2018

        さて年末ということで恒例の年末回顧である。 一月 ・大学院入試で心が死んでおり何も覚えていない。日記も手帖も白紙。落ちたら進路未定という状況だった。 ・たしかこの頃、柳元君と吉川君とでメイド喫茶に行く。「句会しましょう。こっちへいけば普通の喫茶店、こっちへいけばメイド喫茶、どちらがいいですか?」。票が散らばることはなかったのである。そしてたどり着いた某店で新人メイドAちゃんにおれは一目ぼれ。席題を出してもらう。直後にAちゃんは諸事情で退店するも、裏垢で相互フォローに

        • 光斑

          先日、凱と組んで、外国人と俳句を作るという仕事をした。観光オーガナイザー・S氏からの依頼である。春に続いて二度目になる。参加者は俳句の基礎を簡単に覚えたあと、吟行に出て、英語ないしはフランス語で三行のハイクを作る(この二言語に限るのはスタッフをしてくださる通訳者の都合である)。まとまらない場合は書きたい情景や使いたい言葉をメモする程度でもいい。凱君とおれはそれをもとに日本語でゴリゴリの俳句を作り、色紙に墨書する。もともと観光客向けの体験イベントなので、自分のハイクが日本語にな

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        • 舊浦亭私註
          4本

        記事

          死火山の膚つめたくて草いちご/飯田蛇笏

          昨日は院の演習発表だったのでブログの更新をサボってしまった。三日続いたところだからまさに三日坊主ということになる。 夏になっても朝寝のやめられぬ友人がいて、そそろろ大学の単位がまずいようなので、ちゃんと起きて大学に行く準備をしているか毎朝電話をかけてたしかめるというのが日課になっている。単位が取れなくて大学をやめるなんてことになっては話し相手を失うおれもつまらない。 かくいうおれも、何週間か前まではたいがい六時には起きていたのに、曇りがちになって日光が部屋に入らなくなって

          死火山の膚つめたくて草いちご/飯田蛇笏

          忌七たび七たび踏みぬ桜蘂/鈴木真砂女

          外山一機さんのお誘いで始めた俳句ポッドキャスト「ハイボク」の第一回がUPされた。 1回目のハイボク 稲畑廣太郎句集『閏』 月に二回、俳句の話をしていく予定。詳細は上記ブログをお読みください。 Twitterで外山さんが告知するときに「広がれ音声配信の輪!」と書いておられた。「広がれ〇〇の輪!」という言説が外山さんから繰り出されているのがちょっと面白かった。僕が出会ったころの外山さんは「輪なんてないんですよ……」というタイプの人だったからである。余談だが今日は外山さんと知

          忌七たび七たび踏みぬ桜蘂/鈴木真砂女

          夏を澄む飾りあふぎの狗けもの/安里琉太

          北村薫・宮部みゆき編『名短篇ほりだしもの』(ちくま文庫、二〇一一)を購入。ちくま文庫からこの編者で出ている「名短篇」シリーズの一冊。 中村正常やオダサク、片岡義男なんていうラインナップも絶妙すぎておもわず笑ってしまうのだが、俳句がらみで石川桂郎と内田百閒が入っているのでオオッと思った。よく考えたら北村薫は詩歌に詳しいのである。 もう一人の編者の宮部みゆきはそういえば「角川」二〇一八・六の付録「ぼんぼん彩句」という小冊子に短編を三つ寄せている。宮部は長編型の作家だと理解して

          夏を澄む飾りあふぎの狗けもの/安里琉太

          朧夜の坂転がり来猫の鈴/長島衣伊子

          このところ夏バテ気味で、もともと無精なのに、いっそうだらしなくなって、やるべきことにいっこう手がつかない。頭を働かせるために、毎日ブログを更新することにした。日記めいたことを書いたあと、一句鑑賞を書くという体裁にする。マガジン名である「舊浦亭」というのは生駒大祐さんの作った詩歌SNS「poecri」をつかう際に、ユーザー名のほかにショップ名というのを登録しなければならないという必要上、苦し紛れに思いついた亭号である。月並宗匠じゃあるまいしとは思うのだが、作ったからにはこういう

          朧夜の坂転がり来猫の鈴/長島衣伊子

          俳句の前書きをイジる

          句集を読んでいると、ときおり、前書きというものがついていて、ほとんどは「◯◯死す」とか「◯◯湖にて」とか「長女誕生」とか、ごく素っ気ないものなのだけれど、中には作者のアツい思いが込められているものがある。見つけるたびにメモしていたのだが、だいぶん溜まってきたので、失礼を承知で若干イジりつつ紹介しよう。どれも作者が真剣に書いているものなので、マジで失礼なのだが、敬愛する作者の愛すべき句集を紹介したいという僕の想いもコミで読んでくれ。 さてまずは石原八束にお出ましいただこう。

          俳句の前書きをイジる

          時としてある俳句大会実施記録

          〈中七「時としてある」〉という俳句の題を思いついたので、「時としてある俳句大会」を開催することにした。専用のハッシュタグを作り、投句数無制限、よほどの数じゃない限り全句講評、締め切りは一晩(昨日の夜に告知ツイートをして、締め切りは今日僕が起きるまで)という内容でやった。難しい題だしせいぜい一〇句と踏み、万が一に三〇句くらい集まったとしてもそれくらいなら全句講評しようと考えていた。ところがどっこい、見る見るうちに句数は膨れ上がり、夜中にはハッシュタグがトレンド入りする始末、そう

          時としてある俳句大会実施記録

          狂気のゲーム〈俳句しりとり〉

          俳句しりとりというゲームがある。名前を聞くだけでだいたいルールは察せられるだろう。誰かの俳句でしりとりをするのである。句と作者を挙げていく。思いつかない場合にはその場で詠んでしまっていいが、なにぶんソウソウたる俳句に囲まれることになるので、ちょっと恥ずかしい。それから、思いつかない場合には、俳人の名前や季語でもいい。ただしこの手を使うと、自分の勉強不足を晒した気分になるので、できるだけ避けたい。 こんなクレイジーなゲームを思いつくのはもちろんクロイワトクマサを措いて他にない

          狂気のゲーム〈俳句しりとり〉

          二日で一〇〇句書いたぞの巻

          きのう今日は、毎年恒例、所属誌の寒稽古IN軽井沢。二日で一〇〇句という荒行も今年で通算三回目の参加。 二五句出し句会(吟行時間は二時間半ほど)×四回を完走し、へとへとになって帰宅。楽しかった。 ガジョーさんと寒蟬さんの選句に(取られたにせよ、取られなかったにせよ)励まされた。 やはり自分の目で見たものを書ききるのは大変だなと痛感した次第。句会終了後、寒蟬さんの感想戦を聞けたのも良かった。 (註)感想戦:将棋や囲碁などで、終局後、対局の一部始終を振り返ること。俳

          二日で一〇〇句書いたぞの巻

          昼飯を食いながら『有言実行三姉妹シュシュトリアン』第7話を観た。

          1993年に放送された特撮ドラマ『有言実行三姉妹シュシュトリアン』第7話「誰かがあなたを愛してる」を東映が公式でYouTubeに流してゐるので、昼飯を食ひながら見た。 『有言実行三姉妹シュシュトリアン』は、1993年の酉年、一年間限定で妖怪退治を請け負ふことになつた三姉妹の物語だ。第7話「誰かがあなたを愛してる」は長女・雪子にパラダイス星の美男子が恋をし、婚約を求めて執着する話だ。 この中で、高一の雪子が、学校の登校時間ギリギリに着いたのを、教師が校門で締め出さうとするシ

          昼飯を食いながら『有言実行三姉妹シュシュトリアン』第7話を観た。

          堀下年鑑2017

          年も詰まってきたので今年の名場面を振り返っておこう。 1月 〇獅子文六『七時間半』(ちくま文庫、2015)を読む。新幹線が開通する以前、東京大阪間の行き来に7時間半掛かっていたころ、その特急車内の話。もはや死語となった固有名詞や慣用句の洪水に胸が熱くなり、昭和の大衆小説をもっと読まねばと決意し、ちくま文庫からなぜか次々に復刊される獅子文六の小説をいくつか読むも、バテて続かず。来年こそはもっと読みたい。 〇日テレ土曜21時枠のドラマ『スーパーサラリーマン左江内氏』の放送開

          裏垢といふといへども

          おれは「ほりしたかける」(@fly_holly)というやつのほかに、もう一つ、非公開のTwitterアカウントを持っていて、それは世間でいうところの「裏垢」に相当するものなのだが、このあいだ、とある先達からフォロリク(鍵の掛かったアカウントのツイートを見られるようにする申請のこと)が来てしまって参った。 といっても、誰々死ね!といったような悪口を書いているものではなく、ときおり「死にたい」(=浮世の義理から逃れて一日中YouTubeを見ていたい)式のネガティブなことは書いて

          裏垢といふといへども

          ドラえもん「ハツメイカーで大発明」はおもろい

          金曜19時といえば「ドラえもん」の時間。さすがに今では毎週視聴しているわけではないのだけれど、今日は「ハツメイカーで大発明」の回だと聞きかじったので、テレビの前に座る。何を隠そう「ドラえもん」をいちばん熱心に読んでいたころ、特に愛読していたエピソードなのだ(同名タイトルの原作は「小学三年生」(1981.10)が初出。のちてんとう虫コミックス版「ドラえもん」第30巻(小学館、1984)に収録)。 こういう話だ。 冒頭、ドラえもんはのび太と喧嘩して未来に帰ってしまう。それでド

          ドラえもん「ハツメイカーで大発明」はおもろい