忌七たび七たび踏みぬ桜蘂/鈴木真砂女

外山一機さんのお誘いで始めた俳句ポッドキャスト「ハイボク」の第一回がUPされた。

1回目のハイボク 稲畑廣太郎句集『閏』

月に二回、俳句の話をしていく予定。詳細は上記ブログをお読みください。

Twitterで外山さんが告知するときに「広がれ音声配信の輪!」と書いておられた。「広がれ〇〇の輪!」という言説が外山さんから繰り出されているのがちょっと面白かった。僕が出会ったころの外山さんは「輪なんてないんですよ……」というタイプの人だったからである。余談だが今日は外山さんと知り合って丸五年の記念日である。

さて、今日の一句。

忌七たび七たび踏みぬ桜蘂/鈴木真砂女『居待月』一九八六

誰の命日だろうか、七回目のその命日が巡ってきた。それを「桜蘂を七たび踏む歳月」と言い換えている。「桜蘂」だけでは季語にならないとする説があるが、この場合は踏んでいるので、落ちたものなのは自明。

「踏みぬ」の「ぬ」は完了の助動詞「ぬ」の終止形。したがってこの句は上五「忌七たび」で名詞切れになったあと、中七でふたたび切れているということになる。いわゆる三段切れの句なわけだが、この句の場合、その断絶感が「忌」にまとわる寂寥とした思いと直結しているのだろう。「ぬ」にはおのずからそうなったというようなニュアンスがある。またうかうかと歳月を過ごした、という気分を看取するのは読み過ぎだろうか。

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