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舊浦亭私註

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一句鑑賞を書いていきます。
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死火山の膚つめたくて草いちご/飯田蛇笏

昨日は院の演習発表だったのでブログの更新をサボってしまった。三日続いたところだからまさに三日坊主ということになる。 夏になっても朝寝のやめられぬ友人がいて、そそろろ大学の単位がまずいようなので、ちゃんと起きて大学に行く準備をしているか毎朝電話をかけてたしかめるというのが日課になっている。単位が取れなくて大学をやめるなんてことになっては話し相手を失うおれもつまらない。 かくいうおれも、何週間か前まではたいがい六時には起きていたのに、曇りがちになって日光が部屋に入らなくなって

忌七たび七たび踏みぬ桜蘂/鈴木真砂女

外山一機さんのお誘いで始めた俳句ポッドキャスト「ハイボク」の第一回がUPされた。 1回目のハイボク 稲畑廣太郎句集『閏』 月に二回、俳句の話をしていく予定。詳細は上記ブログをお読みください。 Twitterで外山さんが告知するときに「広がれ音声配信の輪!」と書いておられた。「広がれ〇〇の輪!」という言説が外山さんから繰り出されているのがちょっと面白かった。僕が出会ったころの外山さんは「輪なんてないんですよ……」というタイプの人だったからである。余談だが今日は外山さんと知

夏を澄む飾りあふぎの狗けもの/安里琉太

北村薫・宮部みゆき編『名短篇ほりだしもの』(ちくま文庫、二〇一一)を購入。ちくま文庫からこの編者で出ている「名短篇」シリーズの一冊。 中村正常やオダサク、片岡義男なんていうラインナップも絶妙すぎておもわず笑ってしまうのだが、俳句がらみで石川桂郎と内田百閒が入っているのでオオッと思った。よく考えたら北村薫は詩歌に詳しいのである。 もう一人の編者の宮部みゆきはそういえば「角川」二〇一八・六の付録「ぼんぼん彩句」という小冊子に短編を三つ寄せている。宮部は長編型の作家だと理解して

朧夜の坂転がり来猫の鈴/長島衣伊子

このところ夏バテ気味で、もともと無精なのに、いっそうだらしなくなって、やるべきことにいっこう手がつかない。頭を働かせるために、毎日ブログを更新することにした。日記めいたことを書いたあと、一句鑑賞を書くという体裁にする。マガジン名である「舊浦亭」というのは生駒大祐さんの作った詩歌SNS「poecri」をつかう際に、ユーザー名のほかにショップ名というのを登録しなければならないという必要上、苦し紛れに思いついた亭号である。月並宗匠じゃあるまいしとは思うのだが、作ったからにはこういう