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読書感想文、読むことに関するnoteまとめ
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2022年4月の記事一覧

愛してるって言わなくちゃ。夏目漱石「こころ」

愛してるって言わなくちゃ。夏目漱石「こころ」

かの夏目漱石が I love you. を、月が綺麗ですねと訳せばいいと言ったのは有名な話だ。「こころ」を読み終えた今、それはロマンティックというよりむしろ、脆く儚い言葉に思えてならない。

アラサーにして、初めてきちんと「こころ」を読んだ。自分にも人のこころがあったんだなあと思い出すくらい、涙がぽろぽろ溢れてきた。

きっかけは、夢中になっていた恋愛ゲームの攻略相手が「先生」だったからという頓珍

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神よ、私だけの小説を書かせてください。

神よ、私だけの小説を書かせてください。

ベッドに潜り込む時、横のテーブルに築かれた本のタワーが目に入る。定期的に片付けているつもりでも、気づくとまた山ができてる。

買ったことはずっと覚えていた。お酒でいい気分になったひとりの夜、えいやと勢いで購入ボタンを押した「ローレンス・ブロックのベストセラー作家入門」。これまた唐突に気分がのって、えいやっとこの2日で読みきった。

楽しい読み物というよりも、1年かけて学ぶ教科書をいっぺんに読破した

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“孤島”の沼へいらっしゃい。推しミステリ小説3冊

“孤島”の沼へいらっしゃい。推しミステリ小説3冊

山荘か孤島かと言われたら、わたしは断然後者が好きだ。最近読んだ東野圭吾の「仮面山荘殺人事件」も年間マイベスト入りしそうなほどの面白さだったが、どっちか選べと言われたら、やっぱり孤島がいい。

海のある風景が好きというのもある。そして、日常からの“断絶感”。山荘だって犯人が橋を落としたり道を塞いだり、嵐がきたりで現実から切り離されるけど、物理的にも精神的にも圧倒的な海に囲まれた非日常感が、もうドロド

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誰かじゃなくて自分が、だよ。3月の読了本まとめ【10冊の感想メモ】+1冊追加あり

誰かじゃなくて自分が、だよ。3月の読了本まとめ【10冊の感想メモ】+1冊追加あり

書き出して気づいたんだけど、自分比でなかなか読んた月だった。

4冊のみの2月と同じノリで書き出したら、まあ終わらない終わらない。

色んな意味で、濃い読書月間だった。

「インテンシティ」ディーン・クーンツサイコな殺人鬼と心理学を学ぶ女性が対峙するサスペンス小説。

誰それが衝撃のあまり数日寝込んだとか、読むと気が狂うとか、そう噂される本ってたしかにある。ただ、まさか自分がそうなるとは思わなかっ

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