62 無限小
朝起きる直前に、朝起きる夢を見た。それも寝坊する夢で、はっと目覚めたときにはもう午前十時を回っている。なぜ誰も起こしてくれなかったのだと、文句を言おうにも家族は皆出払った後。誰もいない室内に自分一人が取り残されて、さてこれからどうしようか途方に暮れる。とりあえず口でもゆすごうと洗面所へ向かい、鏡に映る自分の姿にぞっとする。というよりも、鏡に何も映っていないのだった。あれ、夢ってそういうものだっけ。と、夢が夢と自覚され始めたあたりから意識が薄らぐ。
そして目覚めたのだが、もしやと思って時計を見ると、午前十時を回っている。嫌な予感がして洗面所へ行くと、鏡に映る自分の姿にぞっとする。というよりも、鏡に何も映っていない。あれ、夢ってそういうものだっけ。と、夢が夢と自覚され始めたあたりから意識が薄らぐ。
そして目覚めたのだが、念のため確認してみた時計の針が午前十時を回っているのを見てもそこまでの驚きはない。洗面所へ行くとどうせ目覚めるのだろうということは、なぜだかわかる。目覚める? ということはこれは夢なのか? と、夢が夢と自覚され始めたあたりから意識が薄らぐ。
そして目覚めたのだが、すぐに時計を見ると午前十時を回っている。なんだ夢か。と、夢が夢と自覚され始めたあたりから意識が薄らぐ。
そして目覚めたのだが、見覚えのある天井を眺めると途端、ああこれは夢なのだと確信する。同時に意識が薄らぐ。
そして目覚めたのだが、その瞬間これが夢なのだと確信する。意識が薄らぐ。
そして目覚めたのだが、意識が薄らぐ。
そして、意識が薄らぐ。
意識が薄らぐ。
薄らぐ。
薄ら。
薄。
う。
。
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