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「福岡」と「博多」~似て非なる2つの街~

皆様こんにちは。
本田拓郎(Takuro Honda)と申します。
この記事へお越しくださいまして、ありがとうございます。

 このnoteでは、今現在観光業に就いている私が、私の目線で、「観光・旅行・歴史・文化・教育」について、知識や新たな発見の提供、その他自論を展開し、「勉強になった!」や、「こんな考え方もできるなぁ」という、古代ギリシャでいう「アゴラ」のような場所を目指します。私が勉強していることを皆様とも一緒に学ぶというスタイルで、記事を創っていきます。

 プロフィールにも記載の通り、私は福岡県福岡市の出身です。大学は東京、現在は大阪で生活していますが、よく「博多弁しゃべって!」と言われます。そこで、「福岡」と「博多」って何が違うのかって思ったことないですか?今日はその歴史に迫っていきましょう!

拙い文章力と乏しい考察力ではありますが、
最後までお付き合い、お願いいたします。

1.「武士の街」と「商人の街」

 私が6月にリリースした、結べ、関西と福岡!~港で繋いだ世界と日本~をご覧になった方はもうこの2つの街の違いは存じてるかもしれません。

 「福岡」は福岡城を中心とした城下町を指し、黒田のお殿様の家臣たちが住む武士の街でした。名付けたのは、豊臣秀吉の参謀で、NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』で描かれた黒田孝高(官兵衛・如水)です。

 彼の出身は備前国。今でいう岡山県です。その地元にある「福岡」という地名を持ってきたというのが最有力です。孝高の地元愛と、そこと同じ地名の街を発展させたいという願いが込められています。

 一方で「博多」は、博多港を中心とした商人の街で、東アジアと盛んに交易をしていた博多商人たちが生活する街でした。

 名前の由来は、街が羽の形に広がっていたことから、「羽形」から「博多」になったとか、「博く多くの物が集まる場所」として「博多」になったとか、諸説あるようです。

 歴史は博多の方が古く、平安時代末期に平清盛が港として整備したのが始まりです。その後関ヶ原の戦いの後に黒田のお殿様がやってきて、城下町としての福岡を造り、「福岡」と「博多」の2つの街が共存するようになりました。

2.県庁所在地「福岡市」の誕生

 明治時代になると、廃藩置県に伴い福岡藩から福岡県へと政治形態が変わります。そこで問題になったのが県庁所在地名をどうするか問題です。

 1889年に明治新政府は「市制および町村制」を公布します。それに伴い福岡県の県庁所在地を決めなければいけなくなったのですが、県議会は大激論。県名と同じ「福岡市」にするのか、より歴史のある「博多市」にするのか。

 全く収まらなかったので、多数決を取ることにしました。すると議員数26に対し「福岡市」13票、「博多市」13票の同数!しかし、ここに投票していなかった人物が一人います。それは、県議会議長。そして議長が投票したのは、「福岡市」。この結果、県庁所在地は福岡市に決定しました。

 何を隠そうこの県議会議長は、元福岡藩士の人物でした。つまり、城下町「福岡」の人間だったんです。

3.「博多」を無くすな

 投票で敗れた「博多」の名前は消えると思いきや、全く消えていません。県庁所在地は福岡市になりましたが、1890年に開業したターミナルの駅の名前は「博多駅」となります。現在も九州最大の駅であり、東海道・山陽新幹線の終点駅として、多くの人が利用していますね。

 そして、伝統工芸やお祭り、食などの文化関連のものにはほぼ全て「博多」の名前が使われています。博多人形博多織は世界的に人気も高い福岡の特産です。世界無形文化遺産に登録された博多祇園山笠や、ゴールデンウィークに多くの観光客が訪れる博多どんたくはかなりの知名度ですよね。福岡の豚骨ラーメンといえば博多ラーメン、コシがなく他県民は箸で持つのも難しい博多うどんなども絶品ですよね。

 思い返してみると、「博多」は商人の街。そう、世界相手に様々なものを取り扱い、様々なものを持ち込みました。つまり、多様な文化が形成されるにはうってつけの歴史を持っているんですよね。

 現代でも福岡って言っても、博多って言っても、「福岡市の人間なんだな」って日本全国で通用します。全く異なる文化や歴史を持つエリアが、1つの街に存在する場所って、そうないですよね。

 私は福岡市出身であることが本当に誇らしいですし、これからもずっと、福岡のことを愛し続けますし、福岡が大好きです。

え?私は「福岡」と「博多」とどっちの人間かって?
私は「福岡」の人間です。

でも、「博多の男なら気持ちを見せろ」なので、
これからも福岡人として熱く生きていきます!

今回も最後まで読んでくださいまして、誠にありがとうございます。
また次回お会いしましょう。
Ciao...

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