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幽霊も暴力も出てこない怖い実話7 離婚編

あまりにも生々しいので、友人の友人の友人の友人のイトコぐらいの話で、しかも脚色しまくっていると思って読んで頂けると幸い。

夫よりも7つ年上の女性だった。しかし実に女性らしく、7つ年上とは言っているものの、本当は8学年上だということをみんな知っていた。
結婚式のスピーチでは、もう結婚できないんじゃないかと案じた新婦の女友達が、感極まって涙を流すほど祝福された結婚だった。

同じ業界での共働き。加えて同じ趣味とあって、夫婦は仲睦まじく過ごしていた。しかし、夫の転職に伴って、すれ違いの日々が始まる。
ある昼、妻が仕事に行っている最中、夫はネットで調べ物をした。その際、検索履歴を見た。見てしまったんだ。
「ラブホテル 地名」「レジャーホテル 地名」「地名 セックスできる場所」という履歴、履歴、履歴……
妻の浮気を疑った夫は、有給をとって彼女の後をつけた。すると妻は、夫の親友とラブホテルに入って行った。
夫はその場に崩れ落ちた。

夫は妻を問い詰めた。妻は最初こそしらばっくれていた。しかし夫が、くだんの浮気相手に電話するぞと最終手段に打って出るそぶりを見せると、とうとう認めた。
だが夫は離婚したくない。妻も離婚したくない。二人は話し合って、一からやり直そうと決意する。
夫はすれ違う時間を極力少なくするために、給与は下がるものの転職をした。さらに、しばらく遠ざかっていた共通の趣味を再開するために、新車を購入することになった。
夫は少し背伸びして、妻の望む車を購入、そして納車の前日。妻と共に車を取りに行くぞという前の晩、夫が家に帰ると、妻の姿が消えていた。どころか、妻の購入した物すべてが消えていた。
妻は、夫を給与の少ない職場に転職させ、車という高い買い物をさせた挙句、洗濯機、冷蔵庫、テレビ、ベッド、食器棚、カーペット、挙句はハンガーまで持ち去った。
夫の元に残ったのは車のローンと、ずらりと食器の並べられたテーブル、エアコン、電子レンジ、HDDレコーダーだけだった。
夫はしばらくの間、寂しい思いをしながら、掛け布団だけで寝たのだった。
女って恐ろしいなあ……と、ここで話は終わらない。

その2、3日後、私はバッタリとその妻に会った。
ギョッとした。彼女が顔と腕に怪我を負っていたからだ。
のちのち彼女の友人に確認をした……夫は、離婚の原因と女の恐ろしさを語ったが、しかし実のところ、離婚の原因はDVだったのだ。

ああ、しまった! 暴力が出てきちゃった! ごめん。


王ケイ

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