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芸術(アート)と仕事(ビジネス)~役に立たないという前提こそがおかしい~

 日経電子版の記事【芸術鑑賞は仕事に役立つ? 野村総研などが実証実験】は、VRで美術品を鑑賞し⇨その心理状態の変化を科学的に調べて⇨社員のストレスケアへの導入可能性を探る試みをリポートしたものです。



 近年、アートとビジネスとの、思考法や開発手法など様々なレイヤーでの対比やコラボレーションがかまびすしく論議されています。この記事からピックアップしただけでも――

アートとビジネスとのコラボ

① 美意識・感性を磨いて創造性を持った人材を育成。

② ストレス軽減による生産性の向上。

③ 美術品のビジネス需要という新たなニーズ。

④ 美術館に足を運んでもらうきっかけ。 など



 アート的なものをビジネスの世界に導入することへの積極性には、人によって、企業によって温度差があるかも知れませんが、そもそも、「芸術は仕事に役立つか?」という設問自体が、「芸術と仕事は別世界、役には立たない」という前提の下で発せられるものであり、そのような先入観がなければ、問いかけ自体が出てこない、という性質のものです。

 ――役に立つも何も、たゆまぬ革新性、イノベーションの求められるビジネスの世界は、常にアートも含めた新しい世界とのオープンな出会いを必要としているはずです。

 ――その意味では、アートとビジネスを対比させること自体に違和感があり、極論すれば間違っていて、あるべき姿は、アートとビジネスの対比ではなく、融合、組み合わせなのではないでしょうか?



 例えば、明確に定まった定義のない、ロジカルシンキング‐デザインシンキング‐アートシンキングについて、仮に次のように考えるなら――

▶3つの思考法

①『ロジカル思考』≒論理的思考
 ・・・因果関係を重視した飛躍のない明瞭な説明。
 ・・・(例)コミュニケーションPDCAに適したスキル。

②『デザイン思考』≒実験的思考≒想像的思考
 ・・・ターゲット(ユーザー)を観察し⇨課題を発見し⇨解決策を探る。
  (共感⇨問題定義⇨アイデア創出⇨プロトタイピング⇨テスト)
 ・・・(例)リーンスタートアップアジャイル開発に適したスキル。

③『アート思考』≒創造的思考
 ・・・クリエーターのアイデア・感情・哲学の表現。
 ・・・(例)文字通りアートに適したスキル。

 ――これらよく対比される3つの思考法は、因果律ドリブンであるか、ユーザードリブンであるか、クリエータードリブンであるか、その思考エンジンに特徴があり、コト消費の時代にユーザーに刺さる尖ったプロダクトを開発するという『目的』のためには、これら全部の『手段』を使って切磋琢磨した方が良いに決まっています



 アート的なものをビジネスに導入する潮流は今後ますます加速するでしょうし、その組み合わせ次第では大きなポテンシャルを発揮するかも知れません。



#COMEMO #NIKKEI

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