町工場の支える量子コンピュータ―~『モノづくり』の活性化のために~
日経電子版の記事【量子コンピューター開発支える職人技】は、スパコンで1万年かかる計算を数分でこなしてしまう最先端の量子コンピュータ―を作るのに、日本の町工場の『モノづくり』の技が欠かせない、というリポートです。
さっそく記事からその事例をピックアップしてみると――
▶量子コンピュータ―で活躍する職人技
(1)コアックス~極めて低い温度で電気信号をやり取りする超電導
ケーブル~
・・・硬く加工が困難な材料を直径1㎜程まで引き伸ばす職人技。
(2)川島製作所~ケーブル接点に使われる極小コネクター~
・・・極めて小さい部品を顕微鏡をのぞきながら組み立てる職人技。
これらの事例は、時代が進んでどんなハイテクが登場してこようとも、モノを作るには卓越したモノづくりのスキル=職人技が不可欠で、しかも、ハイテクになればなる程、求められる技術水準も高度になる、というモノづくりの重要性の現われに他なりません。
そもそも、人類の文明の発展は、『道具』を操るスキルと『コミュニケーション』を交わすスキルによって培われてきたのだとすれば、この『道具』と『コミュニケーション』という2種の神器は、今の時代にあっては、『ハイテク』と『ICT』、『モノづくり』と『IT』として綿々と受け継がれている訳です。
今、日本がこの『モノづくり』の伝統を有効に活用する事は、きわめて重要な課題であり、その為にはいくつかの施策が必要であると考えられます――
▶日本の『モノづくり』を活性化するために
(1)『オープンイノベーション』・・・日本全国の中小企業の持つ卓越した
技術リソースを見える化し、その技術を必要とする企業とのマッチング
を促進するプラットフォームによるオープンイノベーション。
(2)『分業(仲間回し)』・・・複数の中小企業が、それぞれの得意分野・
技術リソースを持ち寄って、一つのプロダクトを作り上げる仕組み。
ハブ企業などによるコーディネートが必要。
(3)『事業承継』・・・卓越した技術リソースを断絶させない承継の
スキーム。
(4)『技能伝承』・・・AIなども活用し、職人の匠の技を可視化・数値化・
言語化して、次世代に伝えていく。
(5)『BtoC』・・・中小企業が、下請けだけでなく、自らの技術リソースを
活用した自社ブランドのプロダクトで消費者と直接繋がるBtoCビジネス
でも稼げるようになること。
日本全国の中小企業の埋もれた技術リソースを見える化し、しっかりと承継・伝承しながら、自社ブランドを立ち上げてBtoCビジネスに打って出たり、オープンイノベーションに積極的に参画するなどして活性化していく事は、日本の将来にとって極めて重要な課題であると考えられます。
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