変化を生き抜く『高速開発』の仕組みと課題
日経電子版の記事【エレコム、不断の高速開発 デジタル機器で首位4割】は、年間4千もの新しいプロダクトを生み出す『高速開発』で変化を乗り切る企業のリポートです。
記事から『高速開発』のエッセンスを拾ってみると――
▶『高速開発』とは
(1)『メール上申』・・・商品化を決裁する役員会議を廃し、メール1本で
決断。
(2)『企画書のフォーマット』・・・製品の規格・コスト・販売計画等を
まとめてメール上申、根回しは一切なし。
(3)『新陳代謝』・・・まずは世に出し、売れなければすぐにやめる
即応力。
(4)『開発精度』・・・主要量販店から販売データを購入し、また、量販店
の店員が消費者から聞いた要望を営業部隊が吸い
上げて開発部門にフィードバック。
(5)『売場スペース』・・・短時日で顧客の要望を反映したプロダクトを
開発することで、店舗からスペースをもらえる。
(6)『ファブレス』・・・プロダクトの新陳代謝をスピードアップできる。
(7)『開発予算』・・・取締役会の決議を要する開発予算を引き上げる。
このような、アジャイル開発の一種とも考えられる『高速開発』でユーザーに寄り添うスピード経営は、見事にコモディティ化を回避しており、さらに一歩進めて、プロダクトの付加価値(デザイン・機能など)を高度化すれば、スタンダード品からブランド品への飛躍という課題も視野に入ってくると考えられます。
ここに、改めて『高速開発』の仕組みと課題を整理しておくと――
▶『高速開発』の仕組みと課題
(1)仕組み
① 開発のスピードを担保する仕組み
1.『決裁の簡素化』・・・メール決裁(会議廃止)・企画フォーマット
(根回し廃止)・予算引き上げ(その範囲で
取締役会の決議不要)
2.『生産の外注化』・・・ファブレス
② 開発の精度を担保する仕組み
1.『販売データの収集』・・・量販店からデータを購入する、など。
2.『ユーザーからのフィードバックの収集』・・・量販店の販売員が
ユーザーから聞いた声を収集、など。
3.『プロダクトの改廃のスピードアップ』・・・失敗したら速やかに
廃番にする勇気、など。
③ プロダクトの展開場所を確保する仕組み・・・量販店などから収集
したユーザーの声をスピーディーに新商品
に反映し、販売店の信頼を得る。
(2)課題
① アジャイルに開発サイクルを反復し、プロダクトをブラッシュ
アップしてブランドとして確立する。
② ユーザーの心に刺さる尖ったプロダクトとしての付加価値を
深掘りする仕組み。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?