いかにしてイノベーションを成し遂げるか?
日経電子版の記事【エンジニア料理人の発想 0度で火入れ、調理ミリ単位 世界最速三つ星シェフが語るイノベーション(上)】は、「(記事より)2008年にオープンするや、僅か1年5カ月でミシュラン史上最速の三つ星に輝いた「HAJIME」」にイノベーションの何たるかを探る好リポートだと思います。
この興味尽きせぬリポートを読んで気付かされるのは、記事が料理を題材としていながら、そこに浮かび上がってくるもの、仕事に臨む考え方や姿勢といったものに、広くビジネスの世界、スタートアップ、新しい事へのチャレンジに通ずる共感を得られる事です。
さっそく記事からピックアップしてみると――
▶仕事に臨む考え方
「(記事より)重要なことは、自分がどんな料理を作りたいのか、何をしたいのか。そのイメージを最初に固めること。その到達点に対して何が足りないのかを考えながら、料理を組み立てていく」
(1) Start with vision!⇨ビジョンから始める!
この指摘を何回か読み返して分かったのは、言われている事が、
プロダクトアウトでもマーケットインでもない、という事です。
――研究開発から導出されたシーズからスタートするのでも、
市場調査から導出されたニーズからスタートするのでもない。
――プロダクトアウトやマーケットインに固執していては、社会、
そして消費者自身が気付いていないインサイト、イノベーティブな
アイデア、ビジョンには辿り着けない。
【プロダクトアウト】 【マーケットイン】 【Start with vision】
研究開発 市場調査 研究・調査などの総合
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シーズ ニーズ ビジョン
⇩ ⇩ ⇩
プロダクト プロダクト イノベーション
「(記事より)肉を調理する際、調理学校では180度のオーブンで焼くなどと教わるが、本当にそれがベストなのか」
(2)Common sense is the collection of prejudices acquired by age 18.
(アルベルト・アインシュタインの言葉)⇨常識は偏見、常識を疑え!
巷間言われている事、何の疑いもなく教えられている事、疑っても
みなかった当たり前、常識に囚われていては、進歩はない。
――最良と思われているコトも、あくまで過去の前提の上に成立して
いるに過ぎない。
――新たな知見によって、常識は、さらにより良いものに進化
できる。
「(記事より)料理が「おいしい」という感覚は、歌手でいえば「声が良い」ことにすぎません。メロディーで抑揚をつけ、そこに歌詞というメッセージをのせることで初めて人は感動するのです」
(3)体験価値を感動にまで高める!
機能性・利便性を追求するだけではダメ。
――そのプロダクト(モノ・サービス)によって得られる体験を
感動のレベルにまでもっていくにはどうすれば良いか?
――感動を呼び覚ますデザインを考える。
「(記事より)フランス料理をアレンジすることが、あなたの料理の根本ではないだろう」
(4)アレンジではなくクリエイト!
独創的・先進的なことをやっているつもりで、その実、先人たちの
成し遂げたもののアレンジに過ぎないのではないか?
――常に自分のやっている事、自分自身を見詰め直す。
――これでいいのか?
――変奏曲ではなく、主題を創らなくてはならない。
読み方次第で、このシリーズ物の記事からは、まだまだ様々な気付きを得られそうです。改めて、全く新しいモノを創る難しさと、楽しさ、喜びと言ったものを教えられた気がします。
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