コト消費の時代のCSR(企業の社会的責任)
日経電子版の記事【食品ロス減、製造現場から 大手各社が新法施行にらみ知恵】は、食べられるのに廃棄されてしまう『食品ロス問題』に取り組む企業に関するリポートです。
まず、記事などからロス削減に向けた施策の事例を整理してみると――
▶ロス削減に向けた施策
(1)鶏肉加工メーカー・・・X線検査では骨がないのにあるとの誤認の
多かったのを、AIによる識別で改善。
(2)菓子メーカー・・・製造工程を見直して賞味期限を延長。
・・・賞味期限表示を「年月日」から「年月」のみに見直し。
(3)豆腐メーカー・・・気象データを活用し、気温に左右される需要の予測
精度を高め、作りすぎを防止。
(4)パンメーカー・・・今まで使わなかった原材料・部位の活用。
(5)醤油メーカー・・・開栓後も長期間保存できる容器に見直し。
サプライチェーンの川上に位置するメーカーが、知恵を絞って、検査精度の向上・賞味期限の延長・適正量の生産・廃棄されてしまっていた原材料の活用・長期保存できる容器・等々、食品というプロダクトのあらゆる要素・側面を切り口にした施策で、『食品ロス削減』という『温暖化対策』などと並ぶ大きなCSR(企業の社会的責任)に取り組む動きが加速している事が分かります。
そして、重要な事は、このようなメーカーのCSRへの取り組みが、コト消費の時代には、消費者の体験価値にしっかりと取り込まれている、という事ではないでしょうか。――消費者にとって、CSRに積極的な企業から商品を購入するコトが、自分自身の「食べ物を大切にする」という自然な感情、姿勢の一部となっているのです。
その意味で、CSRにどの程度積極的であるかどうかという事が、自社の商品を選んでもらえるかどうかのバロメーターであり、売上に直結してくる時代が来ている、と言えそうです。
▶CSRに取り組むことで……
(1)重要な社会課題の解決へと繋がっていく。
(2)無駄なロスをなくすことで、原材料費・人件費・光熱費など様々な
コストが削減され、収益が改善する。
(3)CSR活動は、それ自体極めて効果の大きいプロモーションでもある。
(4)コト消費の時代の消費者に受け入れられ、業績の向上へと繋がる。
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