社食から飛び出すイノベーション?~会社にパブリックスペースを作る意義~
日経電子版の記事【誰でも使える社員食堂 手ごろな価格で健康的なランチに】でリポートされている『誰でも社食』という装置には、計り知れないポテンシャルがあるのではないでしょうか。
まず、記事などから『誰でも社食』の特徴を整理してみると――
▶『誰でも社食』の特徴
①利用者・・・会社の訪問客・近隣住民・その会社、その会社の商品の
ファンなど
②利用者のメリット・・・社食は福利厚生施設なので、お手頃料金で
栄養バランスのとれた健康的な食事を楽しめる。
③企業のメリット・・・社員の健康を大事にしている事をPRできる。
・・・客数増によって食堂の運営効率が向上する。
④課題・・・いつどの位の外来客が来店するか予測が難しい。
・・・事前予約制にすると管理が大変だし、利用者にとっては敷居が
高くなる。
・・・ランチだけ開放するのか?夕食は?
・・・福利厚生の対象である社員と同じ価格設定で採算がとれるか?
・・・開放した場合のセキュリティは?
・・・特に物販店、スーパーやデパートなどの社食は、バックヤードに
ある商品の盗難などのリスクを考えると、『誰でも社食』には
向かないかも。
このように整理してみて気付いたのは、『誰でも社食』という装置は、またとない出会いの場である、という事です。
『誰でも社食』や共用ワーキングスペースなど、会社にパブリックスペースを設けることは、その施設が十分に魅力的で、セキュリティなどの課題さえクリアできれば、シェアオフィス以上のベネフィット(=単なるメリットを超えたより本質的な利益)、出会いによるアイデアの結合、イノベーションをもたらすかも知れません。
例えば、ある菓子メーカーのファンがいたとして、どれだけその会社のプロダクトに愛着があっても、いきなりその会社の本社に出向くことなどできない相談です。それが、その菓子メーカーの社食が『誰でも社食』であったらどうなるでしょうか?その『誰でも社食』では、発売前の開発中のデザートが食べられる、などの『魅力』があれば、きっと行ってみようと思う消費者が大勢いるはずです。その場でアンケートなどを取れば、期せずして消費者とメーカーのコ・クリエーションが成立するのです。
うまく運営できれば、会社にパブリックスペースを作るのは、イノベーションのエコシステムを作るのと同じ効果が期待できるかも知れません。
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