「昔、あんな事がなかったら……」 それは今が辛いから思ってしまうんです。【短編】
ご高覧いただきありがとうございます。
「あの時の自分があったから、今の自分がある」。
そんな言葉を聞いた事はありませんか?
テレビでもネットでも、何でも構いません。
悲惨な過去をプラスにとらえている発言です。
「この言葉が嫌い」「虫唾が走る…」と思っている人。
結構、いるのではないでしょうか?
実は私もそう思うときがあります。
私の考えですが、この言葉を嫌悪している人は少なくないと思っています。
その理由は実は単純です。
現状が辛かったり、不安に思っているからなんです。
これは「今の現状を変えろ!」などという話ではありません。
私はキャリアアップや自己啓発の人間ではありません。
むしろ日々平穏に生きるべし!というタイプです。
巡り巡って私が影響を与えたとしても、それはアナタが頑張ったのです。
これは、ある意味で人間が「いかに単純なのか」の証明なんです。
つまり、
現在が良ければ、過去も未来も肯定的にとらえる。
裏を返せば、
現状が不安なら、過去も未来も否定的にとらえる。
それだけの客観的な事実でしかないのです。
人は過去にも未来にも生きていない。
これは哲学ではなく、至極単純な理屈です。
過去がどれだけ悪かろうと、物理的に目の前にはない。
未来がどれだけ不安でも、物理的に目の前にはない。
我々には「今、この瞬間以外は何もない」ということです。
現代の状況さえ良ければ、過去も未来も前向きになるのです。
すさまじい単純明快。
ある意味すごく分かりやすいのが人の心。
過去にあった最悪の経験が自分の為になったと思い込んでるだけ。
人とは、そういう生き物なのです。
だからこそ、我々がやるべきことは現状をより良くすることだけです。
そのようにしか本当に言えないんです。
それでも考えてしまうのは、なぜなのか?
人間は『感情』を持っているからです。
実は、過去や未来をどう思うかは、その瞬間の『感情』によります。
例えば、
仕事で失敗したり、学業で悪い成績を出した時を想像してみてください。
すると、その失敗で「自分はダメだなぁ」と思います。
この感情はなんでしょうか?
失望、悲しみ……色々あると思います。
しかし、重要なのは、その後です。
「いつも自分はそうだ。あの時だって…」
「自分はこれからもこういう辛い思いするのかな?」
このように『感情』に引っ張られて悪い事を連想するのです。
今後、アナタが過去や未来を思い描いた時の『感情』に注目しましょう。
「あんなことがなかったなら…」
そう思うならば、ある意味ではメッセージとも言えます。
つまり、「今の何かに不満や不安がある」という事なんです。
まずは一呼吸。
そして、感情へ目を向けましょう。
自分の感情さえ分かれば、後の物事はかなり楽になります。
例えば、心配の感情があるなら、その原因も分かり、対処できるのです。
最初は難しいかもしれませんが、少しずつ段階を踏んで対処していく。
するとアナタもきっと体験できるはずです。
「あの時の自分があったから今の自分があるんだ」
そんな風に思える自分がくると――。
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