つかけん

神奈川県平塚市の博物館プラネタリウムで働いています。学芸員。 天プラ、科学の本の読み聞…

つかけん

神奈川県平塚市の博物館プラネタリウムで働いています。学芸員。 天プラ、科学の本の読み聞かせの会「ほんとほんと」etc…。天文における専門は太陽系小天体と系外惑星。ほかにクラシック音楽、鉄道、日本史、城郭、登山、鉱物、地学全般、宇宙開発、料理、etc...。広く浅く?

マガジン

  • 天文歳時記

  • 博物館等訪問記

  • 博物館の日常

    学芸員や博物館の日々のお仕事の様子をお伝えします。

最近の記事

宇宙の話をしよう

先日、コスモプラネタリウム渋谷でプラネタリウム番組『プラネタリウム版 宇宙の話をしよう ~ロケット開発編~』を観させていただきました。この番組は、NASAジェット推進研究所の技術者・小野雅裕さんによる同名の児童書を原作にした作品で、彼をモデルとしたパパと娘さんをモデルにしたミーちゃんの対話を通して話が進んでいきます。ロケット開発編ということで、『地球から月へ』の作者ジュール・ベルヌから始まり、ツィオルコフスキー、ゴダード、オーベルト、フォン・ブラウンたちの軌跡をたどりつつ、彼

    • 満天NAGOYA

      昨日は、仕事をちょっと早退して、コニカミノルタプラネタリウム満天NAGOYAに行ってきました。恐ろしいことに17時に職場を出て向かって、2投影を見て、そして家に帰れちゃうんですよね(終電ですが)。それはさておき、業界で話題のプラネタリウム、ようやく見に行くことができました(実は10月28日に行く予定でチケットまで買っていたのにいけなかった…そう、ラブストーリーと子どもの病気は突然にやってくるのです…)。 さて、まずは同プラネタリウムの概要をご紹介しますと、今年(2021年)

      • キトラ古墳「天文図」見学記

        今日(2021年11月2日)、キトラ古墳壁画保存管理施設(キトラ古墳壁画体験館 四神の館 1階)へ第21回公開 開館5周年記念 国宝キトラ古墳壁画を見に行きました。今回、公開されたのは西壁の白虎と天井の天文図で、後者が最大の目的であることは言うまでもありません(笑)キトラ古墳とは何ぞや、ということはここでは割愛しますが、古墳石室天井に天文図が描かれているのは、すぐ近くにある高松塚古墳とキトラ古墳のみ。しかも高松塚の方は星宿図なので二十八宿+αしか描かれていません。中国式の星座

        • アートプラネタリウム「星と歩く」

          台風一過の晴天…によってもたらされた炎天下、横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホールで開催されている赤レンガ・アートプラネタリウム「星と歩く」というイベントに家族(妻+3歳児+2か月児)で行ってきました。いや、本当に暑かった(笑)←道中、途中からまったく日影がなくなる プラネタリウム、といえば、部屋の真ん中に投影機があるか否かは別にして、丸天井に星が映り、それを見上げるものを想像する人が大多数だと思います。しかし、このイベントでは、投影機MEGASTAR-IIやプロジェクターが逆に

        宇宙の話をしよう

        マガジン

        • 天文歳時記
          2本
        • 博物館等訪問記
          3本
        • 博物館の日常
          2本

        記事

          皆既月食0526

          2021年5月26日(水)、日本では約3年ぶりに皆既月食が見られます。もう3日前なので、かなりメディアにも取り上げられるようになってきました。せっかくなので、ここでも皆既月食について書いてみましょう。 と言っても、実はポスターは作ったので、ここではいっさい図を使わずに今回の月食について説明してみたいと思います。 月食は、月が地球の影に入って、月が見えなくなる現象です。月は太陽の光を反射して光っています。そして月は地球のまわりを回っています。そのため、月が地球の真後ろにくる

          皆既月食0526

          「国際博物館の日」に

          毎年5月18日は「国際博物館の日」です。国際博物館会議(ICOM:International Council Of Museums)が定めたもので、日付自体にはさほど意味はないのですが、この日は”博物館が社会に果たす役割について広く市民にアピールする”日とされています。コロナ禍でなければ日本各地、いや世界各地で様々なイベントが開催されるのですが…今年はそれもままならず…まぁ、しかたないですね。 というわけで、せっかくなので博物館の機能・役割について書いてみました。 一般的に

          「国際博物館の日」に

          桜と満月

          昨日3月29日は満月でした。とはいえ望の瞬間は明け方でしたので、その日の宵の空に下界を照らした月はわずかに欠けていましたが…まぁ細かいことは置いておきましょう。 昨日は陰暦二月(如月)の満月の日。そう、西行法師がこのような桜の花の下で死にたいと願った望月です。 ねかはくは 花のしたにて 春しなん そのきさらきの もちつきのころ ー『山家集』 実際、彼は文治六年二月十六日に入寂していますから、願いは叶ったと言えますね。 西行法師は桜と月を詠んだ歌を幾つか残しています。

          桜と満月

          河原先生との思い出

          長年、天文博物館五島プラネタリウム、神奈川県立青少年センター、かわさき宙と緑の科学館(川崎市青少年科学館)でプラネタリウムの投影に携わられていた河原郁夫さんが去る3月21日、ご逝去されました。→訃報 河原先生は天文博物館五島プラネタリウムの初代解説員のおひとりで、1957年以来、64年にわたってプラネタリウムの投影を続けてこられました。私が河原先生と出会ったのは2002年のこと。大学入学からほどなくして、川崎市青少年科学館でアルバイトを始めたときです。当時はほぼ毎週、土日曜

          河原先生との思い出

          「はやぶさ2」帰還カプセル世界初公開

          今日の午後から相模原市立博物館で「はやぶさ2」帰還カプセル世界初公開展示が始まりました。というわけで、午前中に行われた記念式典に参加させていただきました。 「はやぶさ」のときもそうだったと思いますが、公開されたのは帰還カプセルを構成する「前面ヒートシールド」「背面ヒートシールド」「インスツルメントモジュール」「搭載電子機器」「パラシュート」の5つ。最初は青いシートに覆われていたこれらのパーツは、本村相模原市長や國中宇宙科学研究所長らの挨拶の後、一斉にシートが引かれお目見えと

          「はやぶさ2」帰還カプセル世界初公開

          小石川さんとの思い出

          元・仙台市天文台の職員であられた小石川正弘さんが8月26日に亡くなられました。都合が合わず御葬儀などへの出席が叶わなかったので、追悼の意を込めて、小石川さんとの思い出をここで振り返ってみようと思います。 私が初めて小石川さんにお会いしたのは結構最近で、2007年9月のことでした。実は私は、移転リニューアルする仙台市天文台の最初の職員募集に応募していまして、書類審査は無事に通過し、この日が面接試験の日でした。で、試験が終わった後、当時は西公園にあった旧・仙台市天文台に伺い、投

          小石川さんとの思い出

          オンライン講義考

          私は4年ほど前から母校・東京学芸大学の非常勤講師を勤めてまして、「生涯学習社会と博物館」という講義を担当しています(春学期のみ)。聞きなれない講義科目だと思いますが、学芸員資格取得に必要な法令科目の「博物館教育論」に相当します。昨日、やっと成績処理が完了してすべてから解放されたところです(笑) で、例年は公休日である毎週月曜日の3限に大学に行って90分間の講義をして帰る、という流れなのですが、昨今のCOVID-19拡大を受けて、今年度は広義の開始時期が遅れるとともにオンライン

          オンライン講義考

          5か月ぶりの投影

          COVID-19の拡大の影響で2020年3月1日を最後にプラネタリウムの投影を休止していた平塚市博物館ですが、一昨日(同年8月8日)に感染症対策を施したうえで投影を再開しました。 8月は事前予約制(当日予約不可)で定員は5組最大25人、前後は一列おきに配席し、各組に一列ずつ割り当てました(つまり列指定)。 ドームの扉は完全には閉めず、光漏れが気にならない程度に開け、空調の運転と合わせて換気に努めています。 観覧者には検温をし、アルコールによる手指消毒とマスクの着用をお願いし

          5か月ぶりの投影

          ターニングポイント②

          引き続き、私の”天文的”人生のターニングポイントを。 3.高校地学部のプラネタリウム ①の終わりに書いた停滞期を抜けたのは高校に入ってからのことです。私の母校は神奈川県立多摩高等学校(以下、多摩高)ですが、当時は神奈川県立高校には学区という制度が存在し、私はいわゆる学区外受験でした。学区外からは定員の8 %しか生徒を採らないので、かなり狭き門だったわけです。多摩高を選んだ理由はただ一つ、地学部があるからでした(いま振り返ってみると天文学者の先輩もいます…杉山直さんとか服部誠

          ターニングポイント②

          ターニングポイント①

          私は天文が好きで、博物館の天文担当の学芸員という職に就いていて、プラネタリウムの投影をしたり、天文講座でお話したり、天文をテーマにした特別展を制作したりしているわけですが、その原点を振り返ってみたいと思います。 ただ、私はいわゆる実体験が乏しいんですよね。なので、皆既日食を見た、とか満天の星を見た、とか、その手の感動がいまに繋がっている、ということはあまり(まったくではないですが)ありません。プラネタリウムにしても同様で、プラネタリウムの投影(番組)を見て感動した、という記

          ターニングポイント①

          noteはじめました

          皆もすなるnoteといふものを、我もしてみむとて、するなり。 どうも、はじめまして。KENと申します。普段は神奈川県は平塚市にある博物館で天文の学芸員をしています(画像は職場の愛機です・笑)。それ以外にも『天文ガイド』という雑誌に記事を書いたり、天文教室の講師をしたりと、あちこちに顔を出させてもらっています。最近、隠し事…じゃない書く仕事が増えて、もうちょっと書く練習をしたいなぁという不純(?)な動機でnoteを始めました。 どうぞよろしくお願いします。 という堅苦しい話

          noteはじめました