オンライン講義考

私は4年ほど前から母校・東京学芸大学の非常勤講師を勤めてまして、「生涯学習社会と博物館」という講義を担当しています(春学期のみ)。聞きなれない講義科目だと思いますが、学芸員資格取得に必要な法令科目の「博物館教育論」に相当します。昨日、やっと成績処理が完了してすべてから解放されたところです(笑)
で、例年は公休日である毎週月曜日の3限に大学に行って90分間の講義をして帰る、という流れなのですが、昨今のCOVID-19拡大を受けて、今年度は広義の開始時期が遅れるとともにオンラインでの開講となりました。初めてオンライン講義というものを経験し、そのメリット・デメリットがいろいろ見えてきたので、私一個人の、一大学における一講義での例に過ぎませんが、備忘も兼ねて記しておきたいと思います。

まず私が行ったオンライン講義の形式は、講義で使うMicrosoft PowerPointのスライドファイルに音声を録音し自動再生できるようにしたものを学内のシステムにアップロードし(基本的に前日夜に)、講義当日以降に学生さんたちはそれを閲覧して期日までに課題を提出する、というものでした。なので、学生さんたちは月曜3限に必ずしも拘束されるわけではありません。私は課題の締切を毎回その週の日曜日に設定していましたから、まぁ、かなりの余裕はあったはずです。出席は課題提出を以て確認します。
この方法が学生さんたちにとって吉と出たか凶と出たかはわかりません。出席確認のために毎回課題が出ましたから、その点は大きな負担だったでしょう。一方で、時間的な拘束はありませんでしたから、自由度は増したのかもしれません。ただ最も気になるのが、この方法で意義ある学びができたのか、という点です。
私も正直、スライドの作成(というか録音)は苦痛でした。要はPCの画面に向かってただ一人しゃべっているわけで、リアルタイム進行ではないので学生さんの反応もまったく見えません。やや脱線する、でもちょっと博物館の裏側を知れる小咄的なものも挟めませんでした(これは私に技量の問題かもしれませんが)。当然、グループワークもできません。学生さんからすれば、顔も見たことない誰かの声を聞きながらスライドを見るだけなわけです。
学生さんの声を聞くことは現状ではできないので(学務課が実施したアンケートはあるがまだリターンはない)、結果として良かったのか悪かったのはわかりませんが、(来年度ももしオンラインだとしたら)来年度に向けて改善の余地は多々ありそうです。

そうそう、学生の皆さんも毎回課題をこなすのが大変だったと思いますが、採点するこちらも大変でした。受講生は60名弱ですが、読む課題(レポート)の量は増えましたし、データで提出なのでPC画面上でレポートを読むわけですよね。それが本当に辛い。こうやって長文を書いておいて何なのですが、私は液晶画面上で長文を読むのが苦手なのです。できれば紙媒体で、印刷されたものを読みたいんですよね。自宅の紙とインクがもったいないのでやりませんでしたが。まぁ自筆でないので読みにくい字に遭遇しないというメリットもありましたが。

COVID-19の拡大状況如何によっては、来年度もオンライン講義をせざるを得ないでしょうか。う~ん、嫌だなぁ…。この一点だけでも、早く収束してほしいです(苦笑)あ、下の画像は今年度のシラバスですが、例年だいたい同じ感じです(シラバスつくったのは2月なので、まだオンライン講義は決定していなかった)。来年は5年目だし、少し見直したいですねぇ…シラバス…。

シラバス1

シラバス2


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