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高校2年

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弱小演劇部で起きた奇跡のお話
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#高校演劇

高校2年 冬④好きなことが見つかり始めた17の冬

高校2年 冬④好きなことが見つかり始めた17の冬

冬休みも明けた3学期のある日

4月の新入生歓迎公演は、僕が1年生の時に全国大会で青森の高校が上演していた脚本でいくことになった。

これは生徒総会の前日を舞台にしたコメディ。

女子高生にやたらと不利な条件の校則を無理矢理通そうとするモテない副会長と、

そいつをただただおちょくりまつりあげる書記、

そして真正面から反対する女子生徒会長を軸として話が進むが

実は、前日に副会長が女の子に告白し

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高校2年 冬①なにをしたいのかわからない日々

高校2年 冬①なにをしたいのかわからない日々

最後の大会が終わった。

そして僕らも日常生活に戻る。

夢のような時間だった。

片道3時間も離れた会場で、しかも1500人とかいるような舞台で僕らは拍手喝采を浴びたのだ。

とは言え、そろそろ受験に向けた準備も進めていかなくてはならない。

僕の通っていた高校は前にも書いたようにちょっと特殊で

高2の夏頃から完全に受験に向けた授業になるために、参考書とかをそれぞれ持ち込んでの受験対策を延々と

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高校2年 秋④ボーイッシュなあの子の正体

高校2年 秋④ボーイッシュなあの子の正体

無事、本番を終えた僕たちに残されたものは、残りの高校の舞台をひたすら観ること、だった。

この会場は海沿いの街で、僕らはまったく土地のことに詳しくはなかったのだけれども、

この街が地元である友人、秀才だいちゃんとホリジには、どこを観に行ったらいいとか、近所のスーパーとかラーメン屋とかいろいろ教えてもらっていた。

そんな彼らの舞台がついに始まった。

地元なだけあって、彼らの舞台の時には観客席に

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高校2年 秋③すべてはステージに置いてきた

高校2年 秋③すべてはステージに置いてきた

いよいよ高校演劇界の晴れ舞台、県大会が始まった。

合宿で同じグループだった仲間もちらほらと。

秀才だいちゃんとホリジの高校は今年も出場していた。

全国に出ていた憧れた顔ぶれと同じステージに立てる。

これはとても光栄なことだ。

まだスタート地点。

でも、興奮は尽きなかった。

1日目は僕らは特にやることはない。

ひたすら観劇。

そして空き時間で練習をするのみ。

幸いなことに初日に見

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高校2年 秋① すすきの揺れた日

高校2年 秋① すすきの揺れた日

文化祭の成功から地区大会突破を確信した僕らはその勢いのままに大会に向けた猛練習を引き続き行う。

普段寡黙で絶望的な滑舌のおっしーがある日

「あだしはですねぇ、今回大会で勝でなかったら教師になっで、生徒を育ででこの脚本で絶対に全国にいぎますから!」

といきり立って、叫んだ。

ここで部員全員の気持ちが固まった。

"こいつが教師になったら、絶対生徒からいじめられる。教師になるのを阻止するために

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高校2年 春④悲しすぎる定期公演

高校2年 春④悲しすぎる定期公演

合宿での手応えを感じた僕は、通常の部活に戻ってからどうしてもダンスをしたくてたまらなかった。

そこで、定期公演ではダンスをしようと熱弁。

無事受け入れられることになった。

僕らにとっては2回目となる定期公演。

せいこちゃん先輩が脚本と演出を担当。

妖精たちを主役にした、おそろしくファンタジーな冒険ストーリーになった。

3年生が配役を行い、それぞれのポジションも決定。

僕は妖精(ダンサ

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高校2年 春③合宿でダンス無双

高校2年 春③合宿でダンス無双

新入部員も入り、そこそこな部員数になった僕ら。

6月の定期公演を前にして、僕らにとってとても重要なイベントが待っていた。

それは毎年恒例の合同合宿。

県内中の高校の演劇部員が集まって、それぞれのコースに分かれて2日にわたって講習を行うというものだ。

前回は基礎のコースでパントマイムだったけど、今年はなにがなんでもやりたいコースがあった。

それは"ダンス"

僕もプロダンサーのレッスン受け

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