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幸せって具体的には何のこと

さて「幸せを具体的に考える」ことになったウサギ仙人と亀子ですが、

亀子「ところで幸せって、人によって様々だと思うのですが、それを具体的に考えるってどうすればいいのですか?」

ウ仙「たしかにおぬしの言うように一般論としては、お金があることが幸せだという人もおれば、家族と仲良く暮らすののが幸せだという人もおるし、自分のやりたいことで自己実現するのが幸せだという人もおるのは確かじゃ」

亀子「私のママ友でも、『仕事でバリバリ働くのが幸せ』って言ってたのに、子どもを授かって育休をとった途端に『この子のために生きるのが幸せになったから、仕事はもういいや』って子もいて、同じ人によっても時や状況によって幸せって変わってくるんじゃないでしょうか?」

ウ仙「それはその通りじゃな」

亀子「そんなバラバラな価値観の中で幸せを具体化するってできるんですか?」

ウ仙「人によって幸せの価値基準が違うのは現実じゃ。しかしどの人間でも幸せを感じる要素というものが存在するのじゃ」

亀子「要素?」

ウ仙「世の中には『自分は幸せだ』と思っている人もいれば、『自分は幸せではない』『自分は不幸だ』と思っている人もおる。『自分は幸せだ』と思っている人に共通するのは、どういう条件なのかを調べた人がいるのじゃ」

亀子「人の気持ちに踏み入るってなかなか勇気のいる行動ですよね」

ウ仙「まぁ匿名のアンケート方式でな。日本人の男女1500人対して『人生の満足尺度』という数値を測り、人生に満足している(幸せを感じている)人たちは、他のどのような因子と相関関係が高いかを調べたのだよ」

亀子「誰が調べたんですか?」

ウ仙「慶応義塾大学システムデザイン・マネジメント研究科の前野隆司教授じゃ。元々はロボット工学の専門家らしいがの」

亀子「ロボットの専門家が人間の幸せを調べるんですか?」

ウ仙「ロボットを作っているうちに、人間と同じように作らないといけないので、人間に関わることをすべて研究対象としているうちに、幸福学にたどり着いたとのことじゃ」

亀子「それでさっきの高校野球のくだりで慶応の話が出てきたのですか?」

ウ仙「いや、あれはたまたま優勝校だったからじゃ」

亀子「で、人生に満足している人はどんなことが関係していたのですか?」

ウ仙「話を元に戻すとじゃな、実は4つの因子が関係していることがわかったそうじゃ」

  1. 「やってみよう」因子(自己実現と成長の因子)

  2. 「ありがとう」因子(つながりと感謝の因子)

  3. 「なんとかなる」因子(前向きと楽観の因子)

  4. 「ありのままに」因子(独立と自分らしさの因子)

亀子「なんかわかったようなわからないような・・・」

ウ仙「前野先生の詳しい解説を紹介するとな」

1.「やってみよう」因子

夢や目標ややりがいを持って、「本当になりたい自分」をめざして成長していくとき、人間は幸せを感じるという。ただし、“やらされ感”の強い目標ではなく、ワクワクする目標でなければ幸せにはなれない。

https://digital-is-green.jp/initiative/advisor/maeno/

2.「ありがとう」因子

多様な人とつながりを持ち、人を喜ばせたり、人に親切にしたり、感謝したりすることが幸せをもたらす。要は、『人を幸せにしようとすれば、自分も幸せになる』わけで、身近な人から世界中の人々に至るまで、感謝が広くて深い人ほど幸せを感じやすい。たとえ苦手な人がいても、先入観を取り払えば、相手のいいところや素敵なところが見えてくる。まずはそれを見つけ出して感謝すること。

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3.「なんとかなる」因子

いつも前向きで、「自分のいいところも悪いところも受け入れる」という自己受容ができており、「どんなことがあっても何とかなるだろう」と感じる楽観的な人は、幸せになりやすい。

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4.「ありのままに」因子

人目を気にせず、自分らしく生きていける人は、そうでない人と比べて幸福感を覚えやすい傾向がある。他人と自分を比べすぎず、自分軸をしっかり持って生きる人は幸せである。逆に、自分軸がぐらついていると、人と比べて『自分はダメだ』と思い込み、幸福度が低くなりがちである。

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ウ仙「ということなんじゃが、この4つをわしなりに解釈をすると

①成長意欲
②共生意識
③ポジティブ思考
④自己肯定感

という風に呼んでおる」

亀子「なぜこのような呼び方に?」

ウ仙「わしは、人の情報をそのまま横流しするのは嫌いな性分でな。前野先生の研究結果は参考にさせてもらうが、要はこういうことだろうと解釈したのじゃ」

亀子「これも漢字が並んでいてイメージが湧きにくいですね」

ウ仙「まぁこう呼んだほうが子育てに応用しやすいのでな。それはまた次回以降で伝授することにしよう」

こうしてウサギ仙人から幸せを具体化して教えてもらったものの、亀子は謎が深まるばかりであった。(つづく)

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