ウサギ仙人と亀子の出会い
亀子が七つの玉を並べて「出でよ。神龍」と唱えました。
「神龍さま。どうかうちの子どもが立派な大人に育ちますように、願いをかなえてください」
しばらくすると、ウサギ仙人(以下、ウ仙)が出てきました。
ウ仙「何の用じゃ?」
亀子「あれ、7つの玉をそろえて呪文をとなえたら、何でも願いをかなえてくれるんじゃなかったのですか?」
ウ仙「それはドラゴンボールの話じゃ。これは単なるビリヤードの玉。わしが呼ばれたのかと思ったんじゃが・・・わしは願いはかなえられんが、子育てのことじゃったら何でも教えることができるぞ」
亀子「ちょうどよかったです。ワタシ、子育てしてるんですけど、まったく何もわからなくて。立派な大人になってほしいと思っていたのに、最近、子どもたちが全然言うこと聞かなくなってきたし・・・」
ウ仙「子どもたちが全然言うことを聞かなくなった?いいことじゃないか」
亀子「えっ?言うこと聞かないことがいいことなんですか?」
ウ仙「そうじゃよ。自立した子どもに育ってきたという証拠じゃよ」
亀子「そうなんですか?子どもたちがワガママになってきたので、これからどうなるかと心配で心配で・・・」
ウ仙「それはワガママではなく、自我が確立してきたということなんじゃよ。それと子育てに心配は百害あって一利もないぞ」
亀子「そうなんですか?子育てのことがまったくわからなくて、心配だらけなんです」
ウ仙「おぬしは、子どもにどうなってほしいんじゃ?」
亀子「幸せになって立派な大人になってほしいです」
ウ仙「よく『子育てに正解はない』という人がいるが、あれは嘘じゃ。子育てに目的がないから、正解が決まらないだけじゃ。幸せになってほしいという目的があるなら、幸せに近づく方法が正解、幸せから遠ざかる方法が不正解ということになるじゃろ。」
亀子「なるほど。目からウロコが落ちた気分です」
ウ仙「ドラゴンボールの孫悟空も息子の悟飯に『サイヤ人と戦える逞しさを身に付けてほしい』と思ったから、当時悪の大魔王だったピッコロに預けたんじゃろ?」
亀子「ドラゴンボールは昔過ぎて覚えてないですけど・・・」
ウ仙「まぁいずれにしても、子育ての失敗というのは『こうなってほしい』という思いと、実際の子どもが育った姿がかけはなれていくところで起こるのじゃ」
亀子「じゃ悟空の奥さんのチチは子育てに失敗したんですか?」
ウ仙「ドラゴンボールのことをよく知っておるじゃないか(笑)チチは意外と教育ママじゃったからな。そこは悟空とチチの思いに相違があったからであって、ほんらい子育ては両親が意見を一致させて行うべきなんじゃ」
亀子「そういうことなんですね」
ウ仙「いずれにしても、子どもを幸せにしたいということであれば、ポイントになることがいくつかあるので、ここで会ったのも何かの縁ということで、それを伝授することにしよう」
亀子「ぜひお願いします。ところでウサギ仙人様はなぜ子育てのことをよく知っておられるんですか?」
ウ仙「わしは、
子育て講演の仕事を15年近くもやっておるし、子育てで悩んでおる親たちの相談にもよくのっておる
んじゃ」
亀子「子育てのエキスパートということなんですね」
ウ仙「もちろんわし自身にも、
高2の息子、中1の娘、小4の娘と3人の子どもがおる。自分の子育てで試した経験もたくさんある
んじゃ」
亀子「
理屈だけの学者ではなく、子育ての現場もよくご存知
だということですね。それは安心しました。ご教授のほう、よろしくお願いいたします」
こうして亀子はウサギ仙人から、子どもを幸せにする「子育てのコツ」を伝授してもらうことになったとさ。(つづく)
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