ジョングク 22年5月22日 誰かに肩を揺すられて目を開けると 車窓いっぱいに海が広がっていた。 眠気が覚めていないせいか 海の風が冷たく感じられた。 僕は両腕を…
ジミン 22年5月16日 ホソク兄さんの家は とても高い地帯にあった。 大通りからだいぶ上っていき 曲がりくねった狭い路地を過ぎると 行き止まりの道にたどり着く。 …
ホソク 22年5月12日 非常口のドアを開け 階段を駆け下りた。 心臓が今にも張り裂けそうなほど ドキドキ鳴っていた。 病院の廊下で すれ違った顔は確かに母だった。 …
ホソク 22年5月10日 ナルコレプシーは 場所を選ばなかった。 仕事をしている間に突然倒れたり 道を歩いている途中、一瞬にして 気を失ったりすることもあった。 心…
ソクジン 22年5月2日 指がこわばっていくことに焦りを感じ 拳をぎゅっと握っては開いた。 ひよっとして失敗しないだろうか。 何度も繰り返したことだが、毎回怖かった…
ホソク 22年3月2日 僕は人に囲まれているのが好きだった。 養護施設から独立したのに伴い ツースターバーガーで アルバイトを始めた。 大勢の人 に接し いつも笑顔で…
ナムジュン 21年12月17日 早歩きをしていた 足取りをゆっくり緩め やがて立ち止まった。 バスさえあまり通らない 田舎の村の明け方。 夜通し降った雪に 村は白くかす…
テヒョン 20年3月20日 廊下をバタバタと 音が出るほど走っては スーッと滑るように ブレーキをかけて止まった。 少し先に "俺たちの教室" の前に立っている ナムジュ…
ジョングク 19年6月12日 海辺の駅に着いた時も 日差しはまだ熱かった。 影は足元をついて回り 日差しから身を隠しようがなかった。 波の音が聞こえたかと思うと す…
ソクジン 19年3月2日 父に連れられて入った 校長室からは 湿っぽいにおいがした。 アメリカから戻って10日目 学校制度が違うため 1つ下の学年に入るという話を 聞いた…
ホソク 10年7月23日 そのことが起きたのは 数字を4まで数えた時だった。 僕はトマトだか、メロンだか とにかく何かの果物を数えていた。 「4」数字が 口からこぼれた…
ソクジン 9年10月10日 「行こう、 逃げなくちゃ」 僕は友達の手をつかみ 教室の後ろの戸に向かった。 廊下をつたって駆け出したが振り返ると 大人たちが後ろの戸から出…
花様年華noteの再販もなく もしかしたら近々 ドラマ【YOUTH】が 放送されるかもしれない Youthは 『花様年華シリーズ』の世界観を イメージして作られたドラマです。 そ…
Asami
2023年9月9日 03:59
ジョングク 22年5月22日 誰かに肩を揺すられて目を開けると車窓いっぱいに海が広がっていた。 眠気が覚めていないせいか海の風が冷たく感じられた。 僕は両腕を抱えて外に出た。 いつの間にか波打ち際まで行っていた兄さんたちが振り向いて手を振った。 兄さんたちの後ろに海が広がりその上に太陽が浮かんでいた。 まるで静止画のような風景だった。 その静止画の中に風
2023年8月27日 03:24
ジミン 22年5月16日 ホソク兄さんの家はとても高い地帯にあった。 大通りからだいぶ上っていき曲がりくねった狭い路地を過ぎると行き止まりの道にたどり着く。 その一番奥にある屋上の簡易住居そこが兄さんの家だった。 部屋が1つしかない家に入りながら兄さんは、ここはまさに世界を足元に置ける都会の最上階だと得意げに言った。 兄さんが言うように屋上の簡易住居からは実に
2023年8月19日 01:38
ホソク 22年5月12日 非常口のドアを開け階段を駆け下りた。 心臓が今にも張り裂けそうなほどドキドキ鳴っていた。 病院の廊下ですれ違った顔は確かに母だった。 振り返った瞬間エレベーターのドアが開き人が溢れ出た。 一瞬、母の姿が視野から消えた。 必死に人をかき分けていくと母が奥の非常口に入ってくのが見えた。 焦って階段を2段飛ばしで下りた。 休まずに数
2023年8月10日 02:09
ホソク 22年5月10日 ナルコレプシーは場所を選ばなかった。 仕事をしている間に突然倒れたり道を歩いている途中、一瞬にして気を失ったりすることもあった。 心配してくれる人の前では平気なふりをした。 数字を10まで数えられないという事実は誰にも打ち明けられなかった。 そんなふうに倒れた日は母の夢を見た。 いつも同じような内容だったが母とバスに乗ってどこかに
2023年7月30日 12:01
ソクジン 22年5月2日 指がこわばっていくことに焦りを感じ拳をぎゅっと握っては開いた。ひよっとして失敗しないだろうか。 何度も繰り返したことだが、毎回怖かった。 ゆっくり深呼吸をしながらユンギの状況を思い浮かべた。 今頃、ユンギはすっかり酒に酔ったまま片手でライターをカタカタいじりもう片方の手では携帯電話を握っているだろう。 あるいはソファーに横になり自分が
2023年7月24日 12:52
ホソク 22年3月2日僕は人に囲まれているのが好きだった。 養護施設から独立したのに伴いツースターバーガーでアルバイトを始めた。 大勢の人 に接しいつも笑顔で、いつも活気に満ちていなければならない仕事だった。 そんな仕事が僕は好きだった。 僕の人生には笑うことも活気に満ちたこともあまりなかった。 これまで、いい人より悪い人を見たことの方が多かったのも事実だ。
2023年7月21日 12:33
ナムジュン 21年12月17日早歩きをしていた足取りをゆっくり緩めやがて立ち止まった。 バスさえあまり通らない田舎の村の明け方。 夜通し降った雪に村は白くかすんで輝いていた。 木々は白く巨大な獣のようにたたずんでいたが風が吹くたびに毛をなびかせた。 振り返らなくても分かった。 村を横切るのは俺の足跡しかなかった。 靴底が破れたスニーカーのせいでとっくに
2023年7月17日 18:22
テヒョン 20年3月20日 廊下をバタバタと音が出るほど走ってはスーッと滑るようにブレーキをかけて止まった。 少し先に"俺たちの教室"の前に立っているナムジュン兄さんの姿が見えた。 俺たちの教室。 俺は倉庫の教室をそう呼んでいた。 俺と兄さんたちとジミンジョングク、俺たち7人の教室。 息を殺して近づいた。 驚かせるつもりだった。 「校長先生!」少し
2023年7月15日 15:16
ジョングク 19年6月12日 海辺の駅に着いた時も日差しはまだ熱かった。 影は足元をついて回り日差しから身を隠しようがなかった。 波の音が聞こえたかと思うとすぐに砂浜が広がった。 夏の始まりだった。 気の早い避暑客のパラソルの花があちこちに咲いていた。 海はなぜか人を胸がいっぱいになった気分にさせる。 テヒョン兄さんとホソク兄さんが叫び声を上げながら
2023年7月13日 12:03
ソクジン 19年3月2日 父に連れられて入った校長室からは湿っぽいにおいがした。アメリカから戻って10日目学校制度が違うため1つ下の学年に入るという話を聞いたのは昨日だった。 「よろしくお願いいたします」 父が僕の肩に手をのせると無意識のうちに体がぎくりとした。 「学校は危険な所です。 規制が必要なんですね」校長は僕をまじまじと見た。 黒い背広姿の校長が
2023年7月11日 17:49
ホソク10年7月23日そのことが起きたのは数字を4まで数えた時だった。 僕はトマトだか、メロンだかとにかく何かの果物を数えていた。 「4」数字が口からこぼれた瞬間子どもの頃の僕が誰かの手を握ったまま目の前を通り過ぎた。 あの日だった。 母と初めて遊園地に行った日。色とりどりの旗と店を僕は我を忘れて見ていた。 滑稽な衣装をまとった人たちが手を振りどこに行っ
2023年7月10日 11:31
ソクジン9年10月10日「行こう、 逃げなくちゃ」 僕は友達の手をつかみ教室の後ろの戸に向かった。 廊下をつたって駆け出したが振り返ると大人たちが後ろの戸から出てくるところだった。 「待て、捕まえたら、ただじゃおかない!」大人たちの声が首筋につかみかかるように追いかけてきた。 階段を駆け下りながらどこに行こうか考えた。真っ先に思い浮かんだ所が学校の裏山だった
2023年7月10日 03:30
花様年華noteの再販もなくもしかしたら近々ドラマ【YOUTH】が放送されるかもしれないYouthは『花様年華シリーズ』の世界観をイメージして作られたドラマです。そんな中で小説を読みたい方が沢山いるとの事なので小説内容をまとめていきます。読んでる中で点と点が繋がった時の鳥肌を共有したいので考察なしで書いていきます。読みながら色んな考察をしてみるのも楽しい