ほんとうのぼくの物語(後編)
大学に進学し、悪夢を見る頻度が増えた。夢は記憶のパッチワークだという言葉を聞いたことがあるけれど、僕に限った話でいえば、自分が全く経験したことのないような場所に飛ばされることが多かった。駅の電車の風に吹き飛ばされる夢は、特に寝覚めが悪かった。その駅に自動改札はなく、四角い緑色の切符を、離さないように強く握りしめているのだけれど、瞬きをしたタイミングで突風が吹いてきて、寒さが皮膚を強張らせる。何度も、何度も、それが続く。ある時から切符で暖を取るようになったが、凍えに対して効果は