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北海道のことば

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北海道弁や、日常のことばについて
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#猫

【エッセイ】一応のめでたし

【エッセイ】一応のめでたし

 姉には「次に動画が送らさってくるときは家出猫が見つかったときだな」と言っておいたが、ニャギが行方不明になって一週間ほどが過ぎ、もう帰ってこないんじゃないかという考えがちらつき始めた。なぜか死んだ犬の夢を見た。

 それから数日して、姉から「やっとお帰りになった」と動画が届いた。ニャムニャムと声を出しながらエサを食べる猫。その頭を「もう行くなよ、行くなよ」と手荒く撫でる姉。後ろから「良かったー帰っ

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【エッセイ】ねこ、負傷

【エッセイ】ねこ、負傷

 朝、馬屋の廊下に毛だまりができていて、スズメかツバメがカラスにやられたのだろうと思った。
 ねこは道具を置くところの奥のほうで丸くなって寝ていた。いつもは姉や母が仕事をし始めると顔を見せにくるのに今日は全然起きる気配がない。
 しばらくしてのそのそと出てきた姿を見て、廊下の毛だまりの毛はねこのものであることがわかった。
 ねこは負傷していた。
 顔の右側が腫れ上がり、赤くなった目から目やにだか膿

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【エッセイ】ねこ模様 その3

【エッセイ】ねこ模様 その3

 靴を履いていたら、外をねこが足早に歩いていくのが見えた。
「ねこ! ねこちゃん! どこいくの!」
 大きな声で呼んではみたが、ガラス越しでは聞こえないようだ。そのうちにオンコの木の向こう側に入ってしまって、見えなくなった。
 急いで外に出て、行き先を見届ける。
「ねこちゃん!」
 呼びながら追いかけると、その先に姉がいた。しゃがみこんで草むしりをしていた。
「やっと来たのか! ずっと呼んでたのに

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