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教え込み授業が決して悪いわけではない

 2020年(令和2年)も残りわずかとなりました。

 令和3年からは新学習指導要領が完全実施されます。

 各教育課程ごとに改定のポイントがまとめてありますので、学校関係者は一読しなければなりませんね。

 さて、新学習指導要領で求められていることの一つに”主体的・対話的で深い学び”の充実があります。

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 この充実には各教科のカリキュラムマネジメントを見直し、単元を通した学習のあり方を考え、そして、1つの単元で何をどのように学び、どのように活用するのかということを考えなくてはならないです。

 つまり、単元を貫く課題を設定し、その課題に迫る過程で学習指導要領に記されている基準をクリアしていけば良いということです。

 従来の教科書で授業を行っているようであれば、主体的・対話的な学習は難しいと思います。

 答えが書いてある教科書では調べることで答えを得ることができるので、考える前に教科書で調べればいいからです。

 したがって教科書をそのまま授業していたら、主体的・対話的な深い学びの充実にはならない可能性があるということです。

 すると「教科書通りできないなら教科書はいらないじゃないか!」と反論が来そうですが、以前教科書会社の方にお話を聞いた際に、

「教科書はあくまで全国基準で用意した食材。食材をそのまま出すことはない。それを調理するのはシェフ(教員)であり、シェフの調理次第で何倍も価値のある食材に変えることができる」

と言われました。

 教科書会社の人も決して教員に任せているということではなく、全国の学校で使ってもらえるような一定の基準をクリアしたものを用意せざるを得ないということです。

 我々教員には教材研究をとおして子どもたちに美味しいと言わせる食材の提供の仕方を模索しなければならないと改めて感じました。



 よく、自分の職場で「教え込みの授業を無くしていこう」「アクティブに活動できる授業を重点的に行おう」という声かけが非常におおく出てきています。

 もちろんいいことなのですが、”何のための教え込みを削減していくのか”をきちんと考えているのか疑問です。

 教え込みの授業は、知識を獲得させるのにはもってこいの授業形態であることは間違いありません。

 しかし、その教え込みだけの授業では子どもたちが自ら学びに向かう姿勢であったり考えることをしなくてもいいので、それらのスキルを獲得することができません。

 だから、アクティブに活動する授業も必要であると言われていると自分は解釈しています。

 そのアクティブに活動するために知識を獲得することも力を入れないといけないのではと思うのです。

 さらに一概に知識を教え込む授業がダメであるということではないことをきちんと理解しなければならないと思います。

 知識を教え込む方法もたくさんあると思います。

 例えば、プレゼンのスキルの向上で非常に面白い講義になることだってあります。

 Youtubeの中田敦彦さんの動画などが印象的です。

 非常に学びに向かうとっかかりとして有効だと感じています。

 45分・50分の授業にみるみる引き込まれ、あっという間の時間だったけれど、すごく学びが多かったと感じることだってできるようになります。

 または、知識構成型ジグソー法を用いたりして知識を様々な方法を用いて効率的に獲得することができるプログラムを作ってあげることです。

 知識の獲得というと、教科書をただ読んで知識を得ていくということしかないと思われがちですが、知識の獲得の方法はたくさんあります。

 その方法をうまく使うと、必要な獲得しなければならない知識を効率的に得ることができ、余った時間を主体的・対話的な深い学びに向かう題材に向かうことだってできます。

 時間は有限なのだからこそ、その時間の効率的な学習の方法として知識を教え込む学習の携帯は切り離せないと思いますし、その方法をとることが悪いことだと思い校内研修などで見せないのもどうかと思ってしまいます。

 逆に、知識の効率的な獲得方法を開発し、校内研修で全教員が知り、全教科に取り入れることができたら非常に”主体的・対話的で深い学び”を充実することができるのではないでしょうか。

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