7.『7月24日 〈2〉』
「ハルちゃんは漫才かコントどっち?」
佐伯が歩くたびチャラチャラと音がする。鍵が擦れる音だろうか。
「どっちとも」
「両刀!?」
「いやそうじゃなく」
「ピン!? ピ、ピン? あ、フリップ!? 漫談? わかった落語家だ!」
「いや、あの、別に芸人目指そうとはしてない」
「へ?」佐伯はそのままの表情で固まってしまった。
「あれはね、なんというか、笑わせるためやなくて」
「ええええ!? それマジに言っとる? 笑わせる以外でマイク食べる理由って存在するん!?」
「するかも」
「え